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もう存在しない世界

世界の終わりで

旅人は自由を見つけた

それは――ある声がくれた自由だった


オフィスを出た。交通はいつも通り遅く、人々はいつも通り真面目で、私は――いつも通り、疲れていた。


「ねえ、飲みに行かない?」と誰かが言った。誰?どうして私なの?


「…いいよ」私は、ほとんど機械的に返事をした。


世界は、ただただ退屈で、つまらない。かつて読んだ言葉を思い出す――人は自由になるために生まれた、と。けれど、この世界は自由を知ることを許してくれない。


働いて、働いて、また働いて。貯めて、貯めて、もっと貯めて。ほんの数日だけ休めて、また戻る――この世界は人を食うために設計されている。


それでも、小さなことには価値があると思う。今日はまた職場まで歩いて、途中で猫が撫でさせてくれた。昨日はルートを少し外れて、新しいカフェに入ってみた。それだけでも、悪くなかった。


でも、その「小さなこと」では、この問いの空白は埋まらない――「生きる」とは何なのか?


それは、たぶん、自分が何を感じるかにかかっている…


世界は、私と一緒に考えてはくれない。仕事帰りは、ただの「今日も終わった」という印でしかない。頼んだ酒も、ただの酒だった。


日常は、ただの日常…


私は誰と、何を知れば、こんな考えを捨てられるのだろう?

もし世界が終わったら、私はどうするのか?


* * *


目を覚ました。まだ朝だったけど、頭が痛かった。アルコールの瓶を見つけて、「まぁ、いいか」と思って飲んだ――最悪の選択だった。


過去の夢を見た。正直に言えば…今はもう恋しくない。昔は少し寂しくて、懐かしさに飲まれていたけれど。


でも今は違う。

声がそばにあるだけで、世界の見え方は変わる。


二日酔いから何とか回復して、また歩き出した。


今日は彼女と話せない。雨が降っていて、電波がない。でも、彼女はメッセージを残してくれたから大丈夫だった。


だから今日は、少し気を抜いてもいい気がした。

雨の日だけど、どこか静かで穏やかだった。


古い家を見つけて、中に入って荷物を下ろした。二階に上がって、古い椅子をひとつ持って窓を開け、外が見えるように椅子を置いた。


そして座って、ただ、外を眺めた。


雨に打たれながらも平然としている動物たち、風に揺れる木々、静かに降り注ぐ雨。


昔、こんな問いを自分に投げかけた――

「もし世界が終わったら、私はどうするのか?」


千の答えを挙げられるけれど、そのすべては嘘かもしれない。

だって、本当のところ、まだ分からないから。


でも――世界が終わって、ようやく気づけたことがある。


私たちは、世界に合わせるんじゃない。

自分自身に、合わせるべきなんだって。


自由は訪れる

春の雨のように

永遠の季節に降り注ぐ


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