表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】結婚の約束をした幼馴染と再会しましたが、陽キャになりすぎていて近寄れません。  作者: 木山楽斗
二学期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

180/227

12.後輩とは割と未知の存在である。

 俺は由佳とともに、ランニングを続けていた。

 走るというのが案外気持ちがいいことであるということは、こうやってランニングをし始めなければわからなかっただろう。

 最近は体を動かすことに対して面倒くさいとも思わなくなっている。むしろ、こうやって体を動かさなければ気持ちが悪いくらいだ。

 そんな風に自分が変化したという事実は、我ながら驚くべき事柄である。


「……あれ? 由佳先輩?」

「……え?」

「ん?」


 そんな感じで走っていた俺達は、聞こえてきた少し高い声に足を止めることになった。

 声が聞こえてきた方に目を向けてみると、見知らぬ小柄な少女がいた。少し日に焼けている彼女は、由佳と俺を交互に見ている。


「あ、静良(せいら)ちゃん。こんな所で奇遇だね?」

「静良……?」


 由佳の呟いた名前は、俺が今までに聞いたことがない名前だった。

 口振りからすると、彼女は恐らく一年生であるのだろう。後輩と関わりがない俺にとっては、割と未知の存在である。

 しかし考えてみれば、由佳だって後輩とは関わりがないはずだ。部活にも入っていない訳だし、一体どういう知り合いなのだろうか。


「いやはや、本当に奇遇ですね。由佳先輩もランニングですか?」

「あ、うん。一応そうなるかな……」

「おっと、すみません。もしかして、私はお邪魔虫だったでしょうか?」

「あ、ううん。そんなことはないよ」


 静良と呼ばれた少女は、嬉しそうな顔をしながら俺達の方に近づいてきた。

 なんというか、由佳はかなり慕われているみたいだ。これは昨日今日知り合ったという関係性ではなさそうだし、もしかしたら中学時代の知り合いとかかもしれない。


「あ、すみません。藤崎先輩……ですよね? なんだか、置いてけぼりにしてしまいましたよね?」

「え? ああ、いや、別に構わないが……」


 そこで、少女はこちらの方に目を向けてきた。その真っ直ぐな視線に、俺は思わず目をそらしてしまう。

 既に察していたことではあるが、この少女はかなりコミュニケーション能力に長けてそうだ。この距離の詰め方は、四条一派と同じものを感じる。


「私は、高坂静良といいます。一年生です。静かで良いっていう名前ですが、まあ見ての通りそそっかしい性格で、両親にちょっと申し訳ないなって思っています」

「そ、そうか……」


 高坂はすらすらと自己紹介をしてきた。付随してきた情報によって、彼女がどういう人間であるかもなんとなくわかる。

 つまり高坂は、明るくて元気な少女であるということなのだろう。勝手な憶測でしかないが、結構人に好かれるタイプであるように思える。


「えっと、俺は藤崎九郎、二年生だ。もっとも、俺のことは知っているらしいな?」

「ええ、それはもうよぉく知っていますよ。由佳先輩から、色々と聞いていますから」

「なるほど……」

「あはは……」


 高坂の言葉に、俺は思わず由佳の方を見てしまった。

 こういう風に俺のことが知られているのは、今までも何度か経験してきたことである。やはり由佳が、色々と言っていたのだろう。

 それによって、俺は実際以上の評価をされていたりすることが多い。今回もそうなっていないか、少々心配である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
周囲が聞かされているのは由佳フィルターのかかったろーくんだからね 俺そんなスパダリじゃないぞってなる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ