ぷーすけ君の大冒険
ぷーすけくんの大冒険
クマのぬいぐるみ春先ぷーすけ、彼は、テレビゲームが大好きで、その日も、テレビゲームをしていました。
相棒の狸のぬいぐるみ、ミギは、いつも通り眠かったのですが、ぷーすけくんに付き合っています。
その時でした。ぷーすけくんの部屋は、ガタガタ震え、ぷーすけくんは、部屋を転げました。
「ミギミギッ」
ぷーすけくんとミギは、何かにつかまろうとしましたが、家具がひっくり返ってしまっています。
ぷーすけくんは、ミギを抱きしめて、離しませんでした。
転がっているうちに、あたりが真っ暗になって、ぷーすけもミギも気を失ってしまいました。
気が付くと、ぷーすけくんとミギは、真っ暗な森の中に居ました。
仲良しの青犬のぬいぐるみワンちゃんがゼーゼー息をして、ぷーすけたちをバリアで、守っています。
ぷーすけとミギがワンちゃんのバリアに守られて目覚めます。
「ワンちゃんありがとう。」
ぷーすけくんがお礼を言います。
「ミギッ」
ミギもお礼を言います。ぷーすけがワンちゃんにお願いします。
「ワンちゃん、お願い。いつもみたいに耳を振って春先家に戻ろう。」
「ここどこだろう?多分、うちの近くだと思うんだけど。」
ワンちゃんは、うなずきます。
「そうだね。早く戻らないと、ペグが心配だし」
ワンちゃんは、いつものように耳を振りました。しかし何も起きません。
「ん?」
ワンちゃんは、不思議に思って、両耳を振りました。
するとぷーすけくんと、ミギが巨大化しました。
怪獣のように。
ワンちゃんは、耳を振って、二人を元の大きさに戻しました。
「おかしいな。魔法は、使えるけど、テレポーテーションが出来ない。どこにも行けない。」
ぷーすけが驚きます。
「えっワンちゃんにもできないことってあるの?じゃあ真理ちゃんに会えないの?梅ちゃんや、ロザリーや秀幸君やちーちゃんや、くまじいや。・・・」
ワンちゃんが諭します。
「ぷーすけくんちょっと落ち着こう。僕らのパワーもスピードも生きてる。仕方ないから、普通に移動してみよう。すぐ家に戻れるよ。」
三人は、仕方なく歩き出しました。
森を抜けると、そこは、夜の砂漠でした。
ぷーすけ。ミギ。ワンちゃんまでが口をあんぐり開けています。
「なんじゃこりゃ。」
ぷーすけ。
「ヤバイねー」
ワンちゃん。
「ミギミギーー」
ミギ。
ワンちゃんが、空を飛んで、天高く、舞い上がって、目をつぶって耳を澄ましました。五分くらいして降りてきました。もともと青い色のワンちゃんなのに、さらに青い顔をしています。
「ぷーすけくん、ミギ君、僕のテレポーテーションが使えないはずだよ。ここ地球じゃない。僕らの太陽系でもない。ここは、違う銀河の全く違う星だ。
だから、テレポーテーションが使えなかったんだ。僕は、自分の知らない場所からは、知ってる場所でも、テレポーテーション出来ない。
ここは、どこだろう?宇宙のどこかではあるんだ。異世界でも死後の世界でもない。」
ぷーすけくんが呆然とします。
「これは、ピンチだ。」
ワンちゃんは、ぷーすけとミギを元気づけます。
「まあ、森があるんだ。とりあえず、砂漠を越えよう。幸い僕たちは、水も食料も必要としない。暑さも寒さも感じない。酸素だって必要としないんだ。」
三人は、とりあえず歩き出しました。
広大すぎる砂漠をしりとりをしながら。
「真理ちゃんに会いたいよう。」
ぷーすけが愚痴を言います。
「ミギミギ」
家に帰って、寝たいとミギが言います。
ワンちゃんたちは、一晩歩いて、砂漠は、越えられませんでしたが、旅の人たちが、キャンプをしているのを見つけました。
三人は、ぬいぐるみですが、いま自分たちの立ち位置は、どうでもいいです。旅の人たちに話しかけました。
「すいません。ぼくは、春先ぷーすけと言います。こっちは、友達の春先ミギと、春先ワンちゃん、本当に変な質問をしますが、ここは、どこでしょうか?なんと言う惑星でしょうか?」
旅人たちの長老らしき老いた女性が答えてくれます。
「ここは、惑星カナンの砂漠。あんたらどこの惑星から来なすった?」
ぷーすけくんたちは、顔をみあわせました。
地球と言って、分かるかどうかと思いますし、どうもこの旅人の人たちが、自分たち動くぬいぐるみをみても驚かないのも不思議です。
ぷーすけくんたちが意を決して答えます。
「地球です。太陽系第三惑星です。」
老いた女性は、うなずきました。
「太陽系第三惑星地球ですね。噂は、聞いたことがあります。しかし、相当遠いですね。宇宙船でもとても時間がかかりますね。」
ワンちゃんが、真摯に述べます。
「僕たち、どうしても、地球に戻りたいんです。ここが惑星カナンなのは、分かりましたが、せめて太陽系用のコーラル惑星。太陽系の外周部、ケイロン惑星があるあたりまで戻れないのでしょうか?」
老いた女性は、優しく笑います。
「宇宙船では、遠いですが、この惑星は、あまりにも巨大なので、色んな惑星間を移動したり、惑星の中を移動する転送装置あります。それで、地球に帰れるでしょう。」
三人は、一気に笑顔になりました。
旅の人たちに、砂漠を超えれば、町があるし、そこに転送装置がるときけたので、三人で意気揚々と、GRAYの春を愛する人を歌いながら、砂漠を超えて行きました。
そして、砂漠を超えて町、フィエスタに着きました。
絢爛豪華な街でカルナバルでもないのに音楽が鳴っていて、白い石で出来た建物なのに、色んな旗が立っていました。
プースケ君たちは、飲み食いはしませんが、食べ物や飲み物も売ってます。
「ミギミギッー」
ミギが言います。
プースケ君が相槌を打ちます。
「そうだね。こんな時でなければ、真理ちゃんたちにお土産を買って帰りたいね。」
プースケ君とミギは、もう地球に帰れると思っていますが思慮深いワンちゃんだけが真面目な顔をしています。
サーカスのテントみたいな所に着きました。
ワンちゃんが解説します。
「ここが、転送装置のある店だね。分かるよ。僕のテレポーテーションと同じ感覚をこの中から感じる。だけど・・」
ワンちゃんの説明を振り切り、プースケ君とミギは、テントに入っていきます。すいませーん。地球まで片道三名でーす。」
プースケ君はテントの中の人にこう言われました。
「地球は、遠いから、三人だと三百万ホーテンくらいかかるよ。」
「ミギッ」
プースケ君も驚きます。
「えっ?三百万ホーテン?お金かかるの?」
「お店の人がぷーすけくんに言って聞かせます。
「そりゃ要るよ。世の中なんでもただじゃないよ。」
ぷー助とミギは、一旦お店を出て、ワンちゃんにねだりました。
「ワンちゃん。魔法でお金出して、三百万ホーテン。それか三万ホーテン出して、鈍行宇宙船で帰ろう。」
ワンちゃんは、首を横に振ります。
「お金は、ダメだよ。出せるけど、それって偽札作るのと、一緒だよ。この惑星に干渉しちゃうんだ。
太陽系だったら、僕のパワーで矛盾を修正できるけど、この惑星カナンは無理だよ。僕たちが、三百万ホーテンというお金を出したら、誰かが被害をこうむるんだよ。」
ぷー助は、悩んだうえで、結論を出しました。
「よし、仕事しよ。なんかあるでしょ。化け物退治とか、肉体労働とか、僕たちの体力や、速さは、失われていないんだから、仕事探して、パパっと三万ホーテンなんて言うココアみたいなお金払って鈍行宇宙船で帰ろう。三百万ホーテンて、多分高いと思うよ。三万ホーテンだと、一人、一万ホーテンで、三人で三万ホーテンだから、とにかく仕事探そう。」
こうしてぷー助たちの惑星カナンでの仕事探しが始まりました。
しかし、仕事はありません。
少なくともこのフィエスタの町では。
みんな口々に身分証の提示を求めてくるのでワンちゃんが身分証くらいは、と魔法で身分証を作ってくれたのですが、次にこの質問が来るのです。
「君たち、何の種族?地球から来た割に人間じゃないし動物でもないよね?」
ぷー助は、説明します。
「僕たちは、ぬいぐるみです。ただし命を持ってますし、力もあります。このワンちゃんと言うぬいぐるみなんて、コンピューターの操作は、プロ並みです。」
しかし、門前払いもいいところでした。誰も雇ってくれません。就職って大変なのです。
プースケ君とミギが膝をつきます。
「ミギー。」
「なんでだよー。真面目に働くのにちょっと三万ホーテン欲しいだけなのに。」ワンちゃんは、二人を慰めます。
「まあ、とりあえず今日は、公園でも探して休もうよ。疲れたよ。」
そんな三人に、美しい三十歳くらいの娘さんが、声を掛けました。
「あの、すいません。よかったら、うちに泊まっていきませんか?公園は、良くないですよ。」
プースケ君たちには、声をかけてくれた目が大きくて、ほっぺが赤みがかかった、ショートカットの娘さんが、天使にも仙女様にも見えました。
ぷーすけくんが言います。
「本当に泊まっていいの?僕たち一文無しだよ。」
「ええ知ってます。昼から、動き回られていたので、とても心配してたんです。うちは狭いですけど良かったらいらしてください。」
女の子は、名前をミルトスと言いました。
ミルちゃんと呼ぶことにしました。
ミルちゃんが飲み物を出してくれました。
「すぐにご飯にしますね。」
ワンちゃんが、慌てます。
「ミルさん。僕たちは飲み食いは、しないんです。」
「えっそうなんですか?でも時々、食べ物を一生懸命ご覧になっていたので、お腹がすかれているのかと」
「ミギミギッ」
ぷー助が説明します。
「それは、食べ物の仕事がないかと思ったのと、地球の友達に買っていけたらと思っただけなんです。
僕たちは、本当に飲み食いしないんです。
「そうなんですか、じゃあ私は、食べてもいいですか?私一日バザールで働いていたので、お腹すいてるんですけど。」
ワンちゃんがお辞儀をします。
「どうぞどうぞ。」
ミルちゃんは、ご飯を食べました。痩せてる割に、意外と大食いで、チマキのような餅と、お酒と、豆料理を食べました。
「あのぷー助さん。ワンちゃんさん。」
ワンちゃんが応対します。
「何でしょうか?」
「ミギちゃんを抱っこさせていただくわけには、いかないでしょうか?私が子供のころ持っていたぬいぐるみによく似ているのです。ミギちゃんが。」
ワンちゃんが笑顔になります。
「いいですよ、抱っこされるのは、ぬいぐるみの仕事の一つですから。」
ミギは、ミルちゃんの腕に飛び込んで行きました。
「なんて、可愛いんでしょう?ミギちゃんもぷー助さんワンちゃんさんも。」
ぷーすけくんは、不思議に思ってミルちゃんに尋ねました。
「ミルちゃんは、一人暮らしなの?ご家族は、居ないのかな?」
ワンちゃんが、たしなめます。
「駄目だよ。ぷーすけくん。そんなことを急に聞いたら失礼でしょ。」
しかし、ミルちゃんは、首を横に振ります。
「いえ。誰かに聞いて頂いた方が、楽です。私は、田舎に両親が居て、このフィエスタの町に働きに来ているのですが、兄も一緒に働きに来て、一緒に暮らしているのですが、兄は、一年前から行商に出たっきりなのです。兄は、行商人ですから、早く帰ってこない事もまれにあるのですが、私、心配で一人で、心細くて、食欲は、あるんですけど。やっぱり辛くて。」
ぷーすけくんが進言します。
「ミルちゃん。僕たちどうせ暇だから、ミルちゃんのお兄ちゃん探してくるよ。一宿のお礼です。それにここに居ても、仕事は無いから、ちょっと町の外に出たほうが良さそうだ。」
ミルちゃんは、喜びます。
「えっ本当ですか?兄を探してくれるんですか?じゃあこれを差し上げます。ミルちゃんが暮れようとしたのは、お金でした。」
五万ホーテンあります。兄を探す旅の路銀にしてください。
ぷーすけくんは、喉から手が出そうです。
「マジでくれるの?いいの?」
ワンちゃんが、ぷーすけくんを小突いて、ミルちゃんに言います。
「いえいえ。お金など、要らないですよ。さあもう眠りましょう。」
そう言って、みんなで眠りました。
朝、ミルちゃんが、起きてご飯を食べながら、心配そうに聞いてきました。
「本当にお食べにならないのですか?」
ワンちゃんが答えます。
「はいっ。いいです。それより、ミギを預かって頂いていいですか?ミルちゃんのボディーガードをミギにさせてもらおうと思うのです。大丈夫。ミギは、こう見えてとても頼りになるやつですよ。」
ミルちゃんは、とても喜びました。
「やった。ミギちゃん一緒にバザールに行こう。私、ナッツ売ってるんだ。」
「ミギミギッ」
ミギとミルちゃんは、手をつないで仕事に行きました。
ぷー助とワンちゃんは、町を出て、砂漠を歩きますが、ぷーすけくんは、少しご機嫌斜めです。
「なんで、お金受け取っちゃダメなの?いいじゃん。もらっとけば、ミルちゃんがくれるって言ったんだから。」
ワンちゃんが諭します。
「ぷー助あの五万ホーテンは、あの子の全財産だよ、僕は、あの部屋を注意深く見ていた。お金になりそうなものは、ないし、あの子は、財布すら持っていない毎日食べるので精いっぱいだよ。それでも、僕たちを家に泊めて、ご飯までご馳走しようとしてくれた。そんなあの子から、お金をもらうの?」
ぷー助くんは、ワンちゃんから、真実を聞いて、驚いて自分の不甲斐なさに泣き出してしまいました。
「そんな、僕は、そんなつもりじゃなかったよ。ワンちゃん。」
ワンちゃんが耳を振ります。
ぷーすけくんの手に涙をふくタオルが現れ、その時は、だれも気付きませんでしたが、ミルちゃんの家に沢山の保存の効く食料が、ワンちゃんの魔法で届けられました。
手紙も
ぷー助とワンちゃんより、食べ物の差し入れです。
ミルちゃんに聞いたのですが、ミルちゃんのお兄ちゃんの名前は、ジンさんと言うらしいです。ミルちゃんと一緒で痩せてて、ミルちゃんと違うのは、眼鏡をかけていて、髪の毛が男性にしては長く、一番の特徴は、話し方だそうです高い声で、とてもやさしい口調だそうです。
ぷー助君とワンちゃんは、ひたすら砂漠を進みます。
ぷー助が、走ります。
「ワンちゃん僕を掴まえてごらん。」
「待ってよ。ハニー。」
ワンちゃんも走ります。
そんなこんなしてるうちに二人は、砂漠を超えました。
まっ、実を言うと、途中から、人に見られやしないだろうと思って、ぷーすけくんを背中に乗せて、ワンちゃんが空を飛んで移動したんですけどね。
Ⅴユゴーと夜。
砂漠を超えて、また街に着きました。
普通の町です。流石に地球と同じ名称ではありませんがスーパーやレストランがあります。
ミルちゃんが言ってた行商と言うのは、多分宝石か何かでしょう。ぷー助君たちは、町に入っていきます。
しかしおかしいのは、急に暗くなったことです。夜なのでしょうが、なんだか普通の雰囲気では、ありません。
みんなお酒をのんだり煙草を吸ったりしています。
ぷーすけくんとワンちゃんは、慎重に進みました。
危害を加えてくる人は、居ません。
ただ何でしょう、この違和感。
みんな話をしたり、集会をしているだけで、誰も行動らしい行動をとっていません。家畜の世話をしている人や、本を読んでいる人が居ません。一人でいる人が居ないのです。
ワンちゃんとぷー助君は、困惑しました。
「何だか変だね。ワンちゃん。
ワンちゃんも同意見です。
「うん。とっても変だ。ちょっと怖いけど、ジンさんについてだれか何か知っている人がいないか聞いてみよう。」
ワンちゃんとぷーすけくんは、盛り上がって話をしている三十代くらいの、男の人たちに話しかけました。
「すいません。ジンさんと言う人を知りませんか?行商人で三十代、目が大きくて、眼鏡で痩せてて声が高くてとっても優しい口調の。」
男の人たちの誰も何も知らなようでした。ですがやっぱり変なのは、人探しで忙しいワンちゃんとぷーすけくんを映画に誘ってきました。
「どうだ?ぬいぐるみさん。今から面白い映画を見に行くんだが、一緒に行かないか?そのあと漫画でも買ってうちで読まないか?」
ぷー助君が返事ついでに尋ねます。
「すいません。ジンさんを探さなければならないので、行きます。お兄さんたちも、明日の仕事があると思うので深酒はされませんように。」
ぷー助が仕事と言う言葉を出した時でした。
「ちょっと待ちなクマとワン公のぬいぐるみ、お前らどこから来た?」
ぷーすけくんが素直に答えようとします。
「どこってフィっ。」
ワンちゃんが耳でぷーすけくんの口をふさいで言葉を遮ります。
「地球から来たよ。ここから遠いところにある星さ。僕らは、ジンさんを見つける。そして地球へ帰る。何か文句ある?」
ワンちゃんがフィエスタの名前を出さなかったのは、町の人の様子がおかしいので、万が一ミルちゃんに危険が及んでは、いけないと思ったからです。確かにミギは、ミルちゃんについていますが、念のためにミルちゃんの情報を隠しました。
町の人が、みんなこぞって、ぷー助君とワンちゃんに迫ってきます。
「地球、聞いたことあるなあ。未だに争いの絶えない不幸な星だな。可哀そうにずっとこの惑星カナンに居ろよ。こっちは、平和でいいぜ。もう朝は来ないし、働かなくても、食べていける。文明が進んでいるんでね。人間は、知識を深めたり、遊んだりしてればいいんだ。」
ワンちゃんは、全く動じず、遂に武器を取って迫ってきた住人たちに問いかけます。
「念のために聞いとくよ。君たちは、健康な人だよね?病気もケガもしてないよね?」
女の人が言います。
「それがどうしたの?」
住人たちがワンちゃんや、ぷー助に襲い掛かりました。
ぷーすけくんは、空高く飛び上がってかわしました。
「ワンちゃん戦っていいんだよね?」
ワンちゃんが頷きます。
「大けがしない程度に、お仕置きして。」
ぷーすけくんのパンチがさく裂します。
「クンフーパンチ。」
ぷーすけくんは、一人一人パンチで殴り飛ばして行きます。
時々、うでひしぎ十字固め決めました。
ワンちゃんは、念動力を使います。
ワンちゃんが耳をひらひら振るだけで、そこらじゅうの看板が住民を襲い、地面が割れて、住民が地面の裂け目に落ちたり、転んだりしましたワンちゃんは、急に襲われて、よほど腹がたったのか、炎を口から吐き出しました。
そして、ぷー助君を巨大化させました。
ぷー助君は、巨大化して、戦います。
「巨大化デコピン。」
巨大化したぷーすけくんのデコピンが住人を弾き飛ばします。
三百人くらいしかやっつけませんでしたが、他の住人は、根性がなくて、すぐに降伏しました。
ワンちゃんは、ぷーすけくんを巨大化させたままあたりを警戒します。
ぷーすけくんは、調子に乗っています。
「フハハっ。我、怪獣、春先ぷー助なり、フハハー」
ぷーすけくんは、威張るだけで特に何もしません。
しかし、その時、一人の剣を持ったシノビ装束の女性が現れました。
ぷーすけくんたちは、余裕です。
ワンちゃんは、ちょっと警戒します。
「私は、Ⅴユゴーの部下、ミラ。シノビ装束のミラ。
あなたたちは、Ⅴユゴー様に逆らうの?人間が人間らしく生きていく
過剰な労働をせずに、自然に。煩わしいことは、全て機会に任せる。なんの文句があるの?」
ワンちゃんが、反対意見を述べます。
「僕たちぬいぐるみも漫画、映画、ゲーム大好き。でも僕たちは、自分に出来ることをやって、それでもまだ足りないから、出来ることを探してる。確かにミラさんのいう通り、人間をマシンのように扱う事は、悪いです。ただ、この人たちのように夢の世界に溺れても何の意味も無いよ。人間も僕たちのようなぬいぐるみ生命体も現実を生きなきゃいけない。時には、孤独になる。うそんこの孤独じゃなくて、本当の孤独。結局、一人で何もできない人は、集まって雁首揃えても何もできない。力を合わせる事と、ただ何かにすがって群れることは、意味が違うだよ。僕とぷーすけくんは、二人だけど、この町の何百人もの人に負けはしない。
君のその身を隠すシノビ装束も意味が無いよ。かっこつけてないで、剣なんか捨てて、素手でかかっておいで。僕が相手をしてやるよ。人間は、虚構には、生きられない。人間は、個人の努力でしか輝けない。僕たち、ぬいぐるみも、勿論このぷーすけくんも一人の時間が多いけど、耐えてるよ。何をするわけじゃなくても、一人は、大変だ。何かしているならなおさらだ。」
しかし、ミラさんは、剣を取ります。
「黙れ、黙れ、黙れ、現実などつまらないことだらけよ。Ⅴユゴー様は、言ったわ。昼の後に夜が来ると、ずっと夜ならいいのよ。辛いことは、全部機械やロボットがやってくれる。子供のように遊んでいていいこの世界は理想郷なのよ。」
ワンちゃんは、耳を振って、ぷーすけくんを普通のサイズに戻します。
「どうやら、この惑星には、異変があるみたいだ。こりゃ簡単に帰れないかもね。」
ミラさんが斬りかかってきたのでワンちゃんが迎撃しようとすると、ぷーすけくんが、ミラさんを蹴っ飛ばしました。
「ぷー助。ドロップキ―ック。」
ワンちゃんが言います。
「ぷーすけくんいいんだよ。僕がなんとかするから。」
しかし、ぷーすけくんは前に出ます。
「なんかこの女の人可哀そうだから。僕がけがをさせないように改心させるよ。」
ワンちゃんは、笑顔です。
「女の人だから、優しく改心させるんだよ。」
ぷーすけくんのドロップキックは、ちょっと動きを止めて、後ろに下がらせるだけで、傷つけはしません。
ミラさんは、剣を振り回し続けます。
「このぬいぐるみがっ。虚構の存在なら、ユゴー様に従って、遊べばいいでしょ?なぜ邪魔するの?」
ぷーすけくんはひらひらと舞うように剣をかわして、回転したり宙を飛んだりしてミラさんの剣をかわし続けました。
「僕だって、本を読んだりするよ。テレビゲームもね。だけど僕は、いつも考えてるんだ。どうして僕は、生きてるの?どうして、僕は、人間を好きになるの?僕は、人間が好きだよ。悪い人もいるけど、いい人も多いし、僕はこの世界を生きてる。
ミラさんは、人間なんだから、もっと楽しく暮らせるよ。」
ぷーすけくんは、剣をよけ続け、ミラさんは、呼吸をぜーぜーしだしました。空振りは、体力を使います。
その好機を逃さず、ぷーすけくんは、うでひしぎ十字固めをかけました。
ミラさんが嫌がります。
「痛い痛い。やめなさいぬいぐるみ」
「やめてあげるよ。参ったって言ったらね。」
ミラさんは、泣き出しました。
「参ったわ。」
ワンちゃんが説明を求めます。
「それじゃあ、洗いざらい話してもらおうか。ユゴーとかいう人の事。」
その時でした。ミラさんが、袖から何か取りだしました。
ソフトボールくらいの玉でした。
「爆弾か?」
ぷーすけくんが、ワンちゃんを抱いて高く飛んで避難します。
しかし、その玉は煙玉つまり煙幕でした。
モクモクと煙が上がり、ミラさんは、煙に紛れて、オートバイで逃走しました。
「待ってよー。逃げないでー。色々聞きたいことがあるの。あと出来たら、三万ホーテンかしてくれない?」
ぷー助がおいかけようとしますが、ワンちゃんが止めます。
「ぷーすけくん。とりあえずミラちゃんは、放っておこう。この町にジンさんが居る。そうだね?諸君。
君たちは、ジンさんを隠してるね?僕の鼻が、この煙幕の中でもミルちゃんに似た匂いを嗅ぎつけたんだ。どこにジンさんは、居るの?案内しなさい。」
ワンちゃんに一括され。長い髪の女の人、ズィーナさんが、レストランの食糧庫に案内しました。
そこにジンさんは、閉じ込められていました。
ぷー助は、ジンさんに表に出てもらいます。
「どなたかは、知りませんが。ありがとうございます。私は、貴金属の行商をしていただけなのですが、何故か閉じ込められてしまいました。
ぷー助とワンちゃんは、ミルちゃんに頼まれてジンさんを探しに来たことを話しました。
「ああミルトスのところに帰りたい。あの子は、優しいからさぞ心配しているでしょう。」
ぷーすけくんが言います。
「ええ。優しい子ですね。とても心配しています。一旦フィエスタに帰りましょう。色々気になることは、ありますが、まずミルトスさんを安心させてあげない。」
ワンちゃんが、耳を揺らすと、もうフィエスタに戻っていました。
「ワンちゃん。テレポーテーション出来るようになったの?」
「うん。だけど、一度行ったところだけね。まだ地球には、戻れないよ。」
でもぷーすけくんは、ご機嫌です。
「いいよ。ミルちゃんとミギに会えるから、さあジンさん。ミルちゃんとこ戻ろう。」
お昼休みで、ミルちゃんは、お昼ご飯を食べ終えて、ジンさんが帰ってきますようにと祈っていました。ミギと一緒に。
そこに、ジンさんを連れたぷー助とワンちゃんが帰ってきてミルちゃんは、泣きながら、ジンさんを抱きしめました。
二人を見て、ぷー助たちは、安心した反面、地球の人たちに会いたくなりました。
少しして、
ジンさんが提案してきます。
「ぷー助さんたち。どうしてお金がいるのですか?仕事をお探しだとミルトスから、聞きましたが。」
ぷーすけくんは、事情を話しました。
謎の地震で、気が付いたら、この惑星カナンに居たこと。一度、地球に戻れさえすれば、ワンちゃんのテレポーテーションで、いつでも移動できること、でも転送装置を使うお金がないから、悪寒を稼いで、鈍行宇宙船で、太陽系まで行って、そこからワンちゃんのテレポーテーションで、地球に帰ろうと思っていること、まだこの惑星のの事がすっきりしないから、地球に戻ってもう一回来ようと思っていること、全てジンさんに話しました。
ジンさんが頷きます。
「分かりました。転送装置の店の主人は、私の知り合いです。必ずワンちゃんさんのテレポーテーションで、戻ってきて、この惑星のトラブルを解決し助けて下さるなら、お金は、私が出します。少し安くしてもらえると思います。
三百万ホーテンですね。」
ワンちゃんが考えを巡らせます。
「待って、よく考えたら、僕一人戻って、地球から僕がテレポーテーションで戻ってくればいいんだ。一人百万ホーテンなら、僕一人で戻ってすぐ迎えに来るよ。そして、ジンさんの知り合いだから負けてもらえれば、百万ホーテン以下で済むよ。ジンさんお金は、何とか返すからそうしよう。」
ジンさんは、頷きました。
「それがいいです。早速転送屋に、行きましょう。」
しかし、転送装置やに行くと、テントを畳んでいました。ジンさんが
交渉します。
「アハメット。どうして、テントを畳んでいるんだい?」
アハメットさんが答えます。
「この星で、実権を握りだしたユゴー様から、転送装置を使なえなくしろとお達しがあったんだ。そっちのぬいぐるみさんたちは、前も来てたね。宇宙船も
飛ばないらしい。ユゴー様は、この星と他の星の銀河、太陽系の交易を断つそうだ。
ジンさんが頼み込みます。
「アハメット長い付き合いだ。最後に一回だけ、転送装置を使わせてくれないか?あの青いぬいぐるみ。ワンちゃんだけでいい。ぬいぐるみ一体なら罰せられない。はずだ。お金も払う。」
アハメットさんは、ぬいぐるみだけだし、少し割引してもお金を払ってもらえるならと、ワンちゃんの転送を引き受けました。
ワンちゃんは、
テントは、なく風呂釜みたいなのに入れられました。
ワンちゃんが珍しく愚痴ります、
「なんか予想してたのと、違うなあ。」
アハメットさんが笑います。
「大切なのは、格好じゃない。安全に転送できることです。」
アハメットさんがボタンを押します。
「転送装置稼働します。目的地地球シンガポール。」
アハメットさんが謝ります。
「ごめんなさいシンガポールってとこにしか飛ばせないけど、大丈夫ですか?」
ワンちゃんは、風呂釜に入れられご機嫌斜めです。
「地球ならどこでもいいです。」
「転送開始。」
そのあとサイレンが鳴りました。
「失敗です転送できません。何者かにより、転送装置の機能が止めらています。転送できません」
アハメットさんが計器類を見ながら言います。
「やっぱりだめです。転送装置の故障ではなく、転送する際のエネルギーの供給もストップしてるし、お客さんを分子まで分解して転送する機能が作動していません。」
アハメットさんに言われて、ワンちゃんは、転送装置から出てきました。
これで道は、一つだ。
「太陽系まで運んでくれる密輸船を探しながら、ユゴーの正体を暴くことを同時にしなければならない。転送装置が使えないのは、ユゴーが手を回したからだよ。きっと。」
アハメットさんも同じ意見です。
「私もそうだと思います。転送装置は、この星のマザーコンピューターとつながっていますから、きっと、ユゴーが先にマザーに、転送装置を使えないようにしたのでしょう。そして密輸船でしか地球には帰れないと思います。もう、まともな宇宙船は、出ないでしょう。マザーコンピューターを抑えられた以上、この星は、ユゴーの思うがままです。」
ミルちゃんが暗い雰囲気を打ち消します。
「まあまあぷーすけくん、ワンちゃんミギちゃん。今日もうちに泊まっていってください。私も仕事が終わったら戻りますので、ゆっくり休まれてください。
意気消沈している三人でしたが、ミルちゃんの言うように、ミルちゃんの家に戻りました。
ジンさんは、アハメットさんにもし、転送装置が使えるようになったら、すぐ知らせてくださいとお願いしました。
夜になって眠りました。
朝が来て出発する三人をミルちゃんとジンさんが見送ります。
しかし、不思議なのがミルちゃんは、やけに重装備でした。日差しを遮る
フードや、ジャケットに水筒、リュックでした。
ミルちゃんとジンさんに昨日知らされました。
何と惑星カナンの転送屋のアハメットさんの持っている情報だと、惑星カナンは、地球の約二百億倍の大きさだそうです。
その情報に、三人は、開いた口が塞がりませんでした。
ですがそこは、ワンちゃんです。
「まあ、不完全ながら、テレポーテーションも出来るし、大きければそれなりの移動手段もあるだろうから、行くべきところだけいけばいいよ。」
しかし、ぷーすけくんもミギも泣きたいくらい落ち込んでいました。
三人は、ジンさんとミルちゃんにお礼を言います。
「色々お世話になりました。」
ジンさんがとんでもないと頭を下げます。
「こちらこそ。助けていただいて、何の力にもなれませんでした。旅のご無事をお祈りしています。いつでも戻ってきてください。歓迎します。」
「じゃあね。ジンさん。」
ミルちゃんも何故か、ジンさんに別れを言います。
「行ってくるね。お兄ちゃん。」
ジンさんが確認します。
「ミルトス。お金持ったね。無理するんじゃないよ。」
三人は歩き出し、ミルちゃんも歩き出しました。
ぷー助が聞きます。
「ミルちゃんどっか行くの?」
ミルちゃんは、笑みです。
「私もぷー助さんたちと一緒に行くよ。ぷー助さんたちを助けてあげなさいってお兄ちゃんが言ったの。ぷー助さんたちが寝た後、だから一緒に行く決心をしたの。私たちの惑星の問題を、ぷー助さんたちだけに押し付けちゃだめだからね。」
ぷー助。ミギ、ワンちゃんが、踊って喜びます。ぷー助君がミルちゃんに抱きつきます。
「ありがとう。ミルちゃん。僕たちとっても心細かったし、引き続き一文無しなんだ。」
ミルちゃんは、ぷーすけくんを抱きしめます」
「大丈夫。私、結構頼りになるよ。」
ワンちゃんが激を飛ばします。
「なんにせよ。まず宇宙船があるくらい大きな都市を目指そう。密輸船に乗って、この星を移動して、ユゴーをぶっ飛ばしてやろうぜ。」
「ミギッミギッ」
ミギがボディービルダーのように筋肉ムキムキのポーズを取ります。
ミルちゃんが言います。
「じゃあとりあえず宇宙船のある神我を目指そう。さあ大冒険の始まりよー。」
四人は、拳を太陽に突き立て意気揚々と惑星カナンを救う旅に出発しました。
続く
ミギからの次回予告。
何とかステーション神我に着いたんだけど、困ったことに誰も宇宙船に乗せてくれないんだ。それでスポーツバーとか、お土産屋さんをうろついてたら、ワンちゃんがぼろぼろの宇宙船を見つけたよ。年寄りだけど、筋骨隆々ですっごく怖いおじさんの船長さんと、相棒のルーシーさんていう謎の女性。なんとか船に乗せてもらえるよう交渉しよう。
お金足りるかな?
次回
ジャック船長と、ルーシーさんの船に乗れ!でまた会おう。
ミルちゃんが水をぐびぐび飲んでいます。
「あー美味しい美味しい。」
そしてご飯をバクバク食べています。
「あー美味しい。生春巻き美味しい。」
ミルちゃんは、ステーション神我のおレストランで、生春巻きを食べて、水を飲んでいました。
ぷーすけくんたちも何も注文しないわけにはいかないので、ジュースやケーキを頼んでいます。
ステーション神我に着くまで、ワンちゃんのテレポーテーションでミラちゃんとあった町まで、行った後、結構歩きました。あの町は、誰も働いていないせいで、列車が出ていなかったので、ひたすら歩いたのですが。ぷーすけくんがミルちゃんをおんぶしたり、ワンちゃんの背中に乗せて、飛んだりして進んで行きました。ミルちゃんは、体力のある女の子ですが、とてもマイペースな女の子で疲れたら休んで眠ってと奔放だったので、ぷーすけくんたちは、何とかミルちゃんをあやすようにして、やる気を出してもらいました。
食事が終わり、ミルちゃんと神我ステーションの手書きの掲示板を見ます。
ミルちゃんが言います。
「どの宇宙船も欠航だね。ぷー助君。」
ぷーすけくんも頷きます。
「そうだね。予想は、出来たことだけど、こうやって見ると、本当に何か尋常じゃない事が、起こってるって感じるね。」
ワンちゃんとミギが、大きなステーションの高い窓から、一つの宇宙船を見つめています。
ミルちゃんが聞きます。
「どうしたの?ワンちゃんミギちゃん。」
ワンちゃんが宇宙船をミルちゃんに見るように顔を動かして促します。
「見て、あのちょっと年季の入った宇宙船。さっきから、筋骨隆々のおじさんと、細くて若いけど、やたら力のある女の人が荷物を宇宙船に運び込んでるんだ。ひょっとしたら、こっそりと飛び立つつもりじゃないかと思ってね。」
ミルちゃんは、ワンちゃんの話が終わらないうちに走り出しました。
「行くわよ。乗せてもらうわよ。」
ミルちゃんは、一目散に階段を駆け下りていきます。皆さんは、階段をゆっくり手すりにつかまって降りてください。転げて大けがをしますよ。ミルちゃんは、いけない子です。
ぷー助たちは、慌てて、ミルちゃんを追いかけて行きます。
「すいませんお金を払うので、乗せてください。どこでもいいんです。ここじゃないなら。」
おじさんは、ものすごく怖い顔をしてミルちゃんに言いました。
「俺の名は、ジャック。俺の宇宙船には、部外者は、乗せん。失せろ小娘。」
ミルちゃんは、ジャックさんのあまりの冷たい言葉に泣き出してしまいました。
「ひどい。私、小娘じゃないもん。ミルトスって名前があるもん。」
ぷー助たちは、おじさんの情に訴えることにしました。
ワンちゃんが、ミルちゃんを慰めます。
「おーミルちゃん怖かったね。ただかっこいい宇宙船だから、乗ってみたかっただけなのにね。お金も払うといったのにね。」
ぷー助とミギが騒ぎます。
「ミギミギっ。」
「いーけないんだ。いーけないんだー女の子泣かしちゃいけないんだー。」
ジャックさんは、ちょっと慌てて注意します。
「おい騒ぐな。人が見るだろ」
一緒に荷物を運んでいた力の強い色白で金髪でやせ型の女の人が言います。
「ジャック老、騒がれると面倒だわ。私は、ルーシー。お嬢さんミルトスさんとか言ったわね。いくら出せるの?」
「十万ホーテンが、全財産です。人助けだと思って乗せてください。」
ぷーすけ達がざわつきます。
ひそひそとジャックさんとルーシーさんにばれないように密談します。
「ミルちゃんてスゲーね。三百万ホーテン持ってるのに、十万ホーテンって平気で嘘ついたね。」
ワンちゃんもひそひそです。
「本当にミルちゃん嘘うまいね、」
ルーシーがジャック老とミルちゃんをとりもちます。
「十万ホーテンかまあまあの金額だし、乗せてあげましょ。ジャック老。」
ルーシーさんが言った瞬間に、ミルちゃんは、ぴたっと泣き止んで、宇宙船に乗り込みました。
「よろしくお願いしまーす。ほら。ぷーすけくんたちも乗って、急ぐわよ。」
ミルちゃんの変わり身の早さにジャックさんは、ため息を吐き、ルーシーさんは、苦笑いをしました。
宇宙船は、すぐ発進します。
ジャックさんが言います。
「はっきり言うが安全の保障なんて、無いぞ。しかも俺たちが行くのは、この星を支配下に置こうとしているユゴーの領域だ。食料を運ばないといけないんでな。おまえら知ってるか?ユゴーのおかげで、表向きは、みんな働かなくて良くなったが、どこからか、人間を連れてきて、強制労働させてるんだ。俺は、そんな輩は、許せんが、みんなユゴーにびびちまって、抵抗しねえ。宇宙船の乗組員も食料を強制労働させられてる人に届けると言ったら、ルーシー以外、夜のうちに逃げちまった。ミルトスだったな。さっきは、すまなかった。少し厳しく言ってでもついてこさせたくなかったんだ。この先は、何が起こるか分からん。かと言ってどこにも停泊できないようになってるから、途中で降ろしてやることも出来ない。ルーシーが守ってくれるルーシーに引っ付いてるんだ。」
ジャックさんの言葉にぬいぐるみたちも、みるちゃんも目を輝かせていました。
一同、こう思っています。
『このおじちゃん、むっちゃかっこいいやん』
ぬいぐるみたちとみるちゃんが勢いづきます。
まずぷー助。
「船長。銃は、どこでありますか?私、敵機を撃墜するであります。」
「ミギミギっ。」
ミギは、筋肉のポーズです。
ミルちゃんも、
「お肩でも、おもみしましょうか?」
ワンちゃんもその気です。
「僕、コンピューター得意です。船の修理も出来ます。」
おじさんは、ちょっと、ふっと笑いました。ぬいぐるみとミルちゃんを心強く思ったようです。
「何もしなくていいからじっとしてるんだ。機銃など使わん。男の戦いは、常に素手と相場が決まっている。」
一同は、思いました。
『かっけー。このジャックさんについていくわ』
ルーシーさんがワンちゃんを膝に乗せて、宇宙船の操縦菅を握ります。
「みんなしっかりつかまっていなさい。飛ばすわよ。」
気が付くと二機の黒い宇宙船が追いかけてきていました。
拡声器で警告してきます。
「そこの旧式の宇宙船、止まれ、我らは、Vユゴー軍だ。
どの宇宙船も、どこにも行かせん。ユゴー様が新しい宇宙船のフライトプランを作るまで、全ての宇宙船は、飛行禁止だ。」
ジャックさんは、にやりと笑いました。
「若造が、ちょっとからかってやるぞルーシー。」
「オーケージャック。」
そう言うと、ジャックさんの宇宙船は、その大きさに見合わぬ機敏な動きを見せました。
荒野の上を高速で走行した後、ドリフトするように、急に曲がって追いかけてくる宇宙船の真下をくぐって軽く体当たりしました。
敵機の宇宙船に損害は、ありませんが、警告には十分です。
ジャックさんがどすの効いた声で、拡声器で、二機の宇宙船に怒鳴ります。
「今のは、こけおどしだ。若造ども、文句があるなら、船を降りろ。暴力は、好まないが、邪魔をするというのなら、拳で決着をつけるぞ。」
宇宙船は、沈黙しました。追いかけてきては、いますが、形だけです。
ルーシーも拡声器で悪態を吐きます。
「じゃあねー。腑抜けの坊やたち。」
そう言ってルーシーがレバーを引いた瞬間、ジャックさんの宇宙船は、低空を」猛スピードで走り、砂煙を巻き上げて、二機の宇宙船を文字通りけむに巻き、走り去りました。
ぷーすけくんたちは、感動に打ち震えています。
船は、一路、Vユゴーの領域に向かいます。
偽りの楽園
ミルちゃんが、ジャックさんとルーシーさんに尋ねました。
「私たちも、この船の乗組員ですよね?」
ジャックさんは、こう言います。
「まあ、乗ってるからな。客とは言え。」
ジャックさんと、ルーシーさんは、宇宙船を運転していましたが、
ぷー助、ミギ、ワンちゃん、ミルちゃんは、操縦席で無言で、拳を空に掲げていました。
ルーシーさんは、優しく笑っていました。
宇宙船の名前は、カエル号と言いました。
カエル号は、暗がりに隠れて、大都市の地下に潜っていきました。
ちなみに、カエルは、生き物のカエルでは無く、必ず生きて帰るから、カエル号と言う名前にしたそうです。
パラトスと言う大都市でジャックさんたちの船は、さらに地下の下の方に向かっていきます。
ぷー助たちは、気分が良かったです。かっこいい船長さんとルーシーさんの船に乗れた上に、凄い情報が手に入りました。
vユゴーの作ろうとしてるのは、決して、楽園なんかじゃありません。
ジャックさん曰く、他の惑星から、人間を大量に誘拐してきて、このカナンで働かせているというのです。
そして、カナンの人たちは、それに気づかず、大半が、ロボットや機械が、労働している肩代わりしてくれているというユゴーの嘘を信じているそうです。
ただ、ジャックさんとルーシーさんは、ただの運送屋で、荷物を運んでいる途中、うっかりその真実をしってしまい、牢屋に入れられそうになったところを、今回のように、生きてカエル号で逃げてきたそうです。
ジャックさんの言うことは、本当でした。
パラトスの地下では、色んな人種の人が物を作らされたり、食料を加工したり栽培したりしていました。
しかもその働いている人たちの方が、騙されて、働かない人たちよりも、粗末なものを食べていたのです。
ジャックさん、ルーシーさん、ぷーすけくんで、地下の人たちに、食料を運びます。
ワンちゃんは、魔法を使って、保存の効く食料をこっそり大量に出現させて、そこら中に置いておきました。
ジャックさんが不思議がります。
「こんなに、食料あったかな?ルーシー。確かに積めるだけ積んできたが。」
ルーシーさんも戸惑います。
「まあ、多い分には、いいじゃない。でも確かに多いわね。」
ぷー助がとぼけます。
「気にしない。気にしない。」
宇宙船の中で、ミルちゃんとミギがワンちゃんにお礼を言います。
「ワンちゃんありがとう。
ぷーすけくんがワンちゃんに聞きます。
「ワンちゃん、お金を魔法で出すのは、ダメなのに食べ物は、いいの?」
ワンちゃんは、毅然と説明します。
「食べ物は、消化しちゃうから誰かが、損をすることは、無いし、こおの飢えた人たちのためなら、お金だって、出現させたっていいと思う。まあお金で解決できそうな事じゃ無いからね。今日は、やらないけど。」
ミルちゃんがワンちゃんを抱きしめ、青いワンちゃんがほんのり赤くなります。
ミルちゃんと、ぬいぐるみたちは、ジャック船長の遠くに行くなと言う、言いつけを守って、少し大都市パラトスの地下の人に事情を聴くことにしました。
ミルちゃんは、うずくまっている若い女性に声をかけました。
「すいません、私、ミルトスと言います。こっちは、友達のぷー助くんとワンちゃんとミギ、失礼ですが、どこか別の惑星から来られた方ですか?」
女性は、顔を上げました。ミルちゃんとぬいぐるみたちは、気を許してもいい相手だと分かってくれたようです。
「私たちは、他の惑星から連れて来られました。この惑星の軍隊のような人々に、そして、ここで働かされているのです。とてもつらい日々です。」
ぷー助たちは、他の人たちの話を聞きましたが、皆、他の惑星から、無理やり連れて来られた人たちでした。
ぷーすけくん達が、ジャックさんの所に戻って、ジャックさんたちと一旦別れて
、パラトスの都市の部分に出て、惑星カナンを無茶苦茶にしないように言うつもりでしたが、
そこに軍隊の人たちが、カツカツとブーツの音を立てて現れました。
ワンちゃんが険しい顔で、身構えます。
ワンちゃんは、必死に耳を振って、ぷーすけくんとミギを巨大化させました。
ワンちゃんが激を飛ばします。
「ぷーすけくん。軍隊の人は、大したことなない。軍隊の中にいる緑色のパーカーを着て、眼鏡をかけて、剣を持ってる短髪の人に気をつけて、最初から全力で行くんだ。気配が人間じゃない。ミギは、ミルちゃんを守ってジャックさんとルーシーさんも戦えるでしょ?僕と一緒に戦って、すこしでもまずいと思ったら、ミギに守ってもらって。」
巨大化したぷーすけくんが、突っ込んでいって、軍隊をなぎ倒しますが、刀を持った眼鏡の人は、倒れず、刀で、ぷーすけくんの体を受け止めました。
ワンちゃんが、通常の大きさで、体当たりして、眼鏡の人を吹き飛ばしますが
眼鏡の人は、なんとか、立ち上がります。
ぷーすけくんと、ジャックさんとルーシーさんで、眼鏡の剣の使い手を抑えます。
ジャックさんや、ルーシーさんの攻撃を眼鏡剣士に剣を収めて、受け止めました。そして、ジャックさんを投げ飛ばした後、ルーシーさんを軽く突き飛ばして
「ご老人と、女性と戦う気は、ありません。引っ込んでいてください。そっちの巨大なぬいぐるみに興味があります。その耳を動かしている青い犬のぬいぐるみもね。
ぷーすけくんが前に出ます。
「ふっふっふ。この怪獣春先ぷー助が相手になってやろう。巨大化した僕ば、誰にも止められない。僕がすねてやる気が無くなった時にしかとまらないのだよ眼鏡君。」
「いいから、かかって来いよ。クマちゃん。」
ぷーすけは、眼鏡剣士の正面からパンチを打ち込みます。
眼鏡剣士は、手を十字にして受け止めて、地面を滑るように押し戻されました。眼鏡剣士は、凄まじい衝撃を感じていました。
しかし、吹っ飛びは、しません。ぷーすけくんも警戒します。
『おかしいぞ。この眼鏡君、僕のパンチは、コンクリートを砕く鉄球の重さがあるのに。』
ぷーすけくんは、巨大化した体で、眼鏡剣士に鋭い右ストレートを打ち込み、眼鏡剣士は、ぷーすけくんの拳を剣で受け止めました。
眼鏡剣士は、明らかに嫌がっています。
ぷーすけくんは、ボカボカ拳を撃ち込み続けました。
「フハハハハハ。この怪獣春先ぷー助に倒せぬ敵などいないのだ。」
眼鏡剣士は、ぷーすけくんの大きな拳に剣を突き立てますが無駄です。
ぷーすけくんは、綿で出来ているので剣は、綿に飲み込まれてるだけで、そして保険に入っているので、切れたところは、縫ってもらます。
「ちっでくの坊が手間を取らせる。」
眼鏡剣士は、高く高く飛び上がって、ぷーすけくんの後頭部飛んで、ぷーすけくんを蹴り倒しました。
ぷーすけくんは、前にべたっと倒れます。
ぷーすけくんは、怒っています。
「くそー。この眼鏡剣士め。さっさと倒れろよ。巨大化した僕は、全宇宙最強なのだぞ。」
巨大化するとちょっと強気になるぷーすけくんでした。
「剣が効かないなら投げ飛ばすまで。」
そう言って、眼鏡剣士は、ぷーすけくんの柔らかい体を掴んで、投げ飛ばしました。
巨大化して、重くなったぷーすけくんが投げ飛ばされてしまいました。
ミギは、ぷーすけくんを助けに行きたいですが、ミルちゃんを守らねばならないので、自分を抑えています。
ミルちゃんがぷーすけくんを応援します。
「ぷーすけくん負けないでー。」
ぷーすけくんは、美女の声援に、ころころと転げて立ち上がります。
「フハハ眼鏡剣士、投げ飛ばたからと言って僕は、ダメージを受けない。僕は
超生命体だ。」
眼鏡剣士は、ぷーすけくんの攻撃やタフさを本当に鬱陶しそうにしています。
ワンちゃんが耳を振ります。みんなの大きさが元に戻ります。
ワンちゃんが眼鏡剣士に、提案します。
「決着が着かない勝負をしても仕方ない。ここは、引きなさい眼鏡の剣士さん。」
ぷーすけくんは、普通の大きさに戻ったので、言動が柔らかになります。
「そうだよ。君がどんなに強くても、とりあえず僕たちには、勝てない。でも僕たちもどうも君に勝てないみたいだ。ここは、引き分けにしようか?ワンちゃん彼にお菓子あげて。」
眼鏡剣士は、
「ふざけるな」
と言って、ぷーすけくんを剣で襲いますが、ぷーすけくんは、軽く剣をかわして、バシンと、眼鏡剣士に平手打ちを食らわせます。
一進一退の攻防で全然決着が着きません。
眼鏡剣士は、、ぎらぎらと、目を光らせると去っていきました。
ミルちゃんが、ぷーすけくんに抱き着きます。
「大丈夫?ぷーすけさん。」
ぷーすけくんは、笑顔です。
「僕は、大丈夫さ。でも、眼鏡剣士強いね。普通僕があんなにぶったら、体が恐ろしい事になるのにね。」
ミギもぷーすけくんにスリスリします。
ぷーすけがミギを撫でます。
ミギの方が年上ですが、何故かミギッてぷーすけくんに甘えるんですよね。
「おーよしよしミギ」
ワンちゃんは、少し切ないです。
『多分僕が一番頑張ったんだけどな。裏方だったからかな?』
そのあと、ルーシーさんとジャックさんと一緒にパラトスのホテルに宿泊しました。
ぷーすけくんは、パラトスの下ではたかされている人を見てパラトスで楽をしている人たちを睨んでいるつもりでしたが、もともとがつぶらな瞳なので目がキラキラして見えるだけで、本当に可愛いので、みちゆくお姉さんにお菓子をもらったりして、ミルちゃんがそのお菓子を食べていました。
ミルちゃんは、食べ続けます。
みんな思います。
『よく食べる子だなあ。』
ホテルに行ってみんなびっくりしました。
パラトスの地下の方では、沢山の人が、食うや食わずで働いているのに、ホテルは、地球の高級ホテルのように立派なのです。キラキラしたロビーに広い部屋。スパまで屋上に付いてます。アメニティも充実で、バイキングレストランまで付いてます。
ミルちゃんは、素早くチェックインすると、一目散にバイキングレストランに走って行きました。
ルーシーさんとジャックさんも呆れています。ぷーすけ君に聞いてきます。
「あなたたち十万ホーテンしか持ってないんじゃなかったの?」
ワンちゃんが耳を振ってお金のことを曖昧にしようとしますが、流石に上手く行きません。
ミルちゃんは、ジャックさんとルーシーさんに軽く叱られました。
魔法は、万能ではありません、
そして、ミルちゃんは、海老やカニや春巻きや焼き肉を全く何事もなかったようにバクバク食べていました。
ぬいぐるみたちは、食べませんから、主に飲み物をテーブルに乗っけて、モリモリ食べるミルちゃんを見ています。
ルーシーさんとジャックさんは、適度にバランスよく食べています。
ミルちゃんは、紙エプロンをつけて食べ続けます。
痩せているのによく食べたます。
ミルちゃんは、ルーシーさんと、
ぬいぐるみたちは、ジャックさんと、屋上のスパに行きました。
ワンちゃん、ミギ、ぷー助君がはしゃぎます。
「わーい。大きいお風呂だー」
ジャックさんが、たしなめます。
「こら。ぬいぐるみたち。上品に入浴しなさい。」
「はーい。」
ぷーすけくんは、ジャックさんの背中を流しました。
ワンちゃんは、ミギを洗います。
三体は、結構汚れていました。
対して、ジャックさんは、荒っぽいわりに、とても身ぎれいでした。
ぬいぐるみたちの乾燥機代は、ミルちゃんが気前よく出してくれました。
なんせ結構な小銭がいります。
もし、お風呂に入ったぷーすけ君を自然乾燥させようとしたら、雨の降らない
日が四日から五日必要です。
ワンちゃんは、言います。
「あー目が回った。ぬいぐるみじゃなかったら。ここでフルーツ牛乳でもきゅっとやるんだろうなあ。」
「ミギッミギッ。」
しかしぷーすけくんは、元気がありません。
ミルちゃんが、ぷーすけくんの背中をさすります。
「大丈夫?」
ぷーすけくんが苦痛を訴えます。
「なんか気持ち悪い。」
ぷーすけくんの事をよくわかっているミギとワンちゃんは、びっくりします。
ミルちゃんは、ぷーすけくんを抱き上げます。
「どうしたんだろう?病気かな?」
「ミギミギッ」
ワンちゃんは、慌てます。
「ミルちゃん、僕たちはぬいぐるみは、病気になんてならない。確かにぷーすけくんは、寂しいと落ち込んだりすねたりするけど、体は、恐ろしく丈夫にできてる。とにかくぷーすけくんをベッドに寝かせて。」
ぷーすけくんは、小さな体をベッドに横たえて、ぐったりしていました。
ワンちゃんは、耳を振って必死にぷーすけくんを治そうとしますが、
ぷーすけくんは、「くしゅんくしゅん」と
可愛い咳をします。
ワンちゃんは、悩みます。
「どうしたんだろう?生体エネルギーもちゃんとあって外傷は、全くない。もしかして、巨大化したり砂漠を超えたりして、身体異常が・・・」
ワンちゃんは、難しく考えますが、ルーシーさんが言います。
「この子、ただの風邪よ。咳してる。手で測っただけだけど、三十八度以上熱があって、少し震えてるわ。きっと悪寒がするのね。」
「熱を確かに持ってる。可哀そうに苦しかろう。」
ぷーすけくんは、うわごとで
「真理ちゃーん。真理ちゃーん。」
と呼んでいました。
ミルちゃんは、ぷーすけくんの手を握っています。
ワンちゃんは困惑しています。
ワンちゃんですら分からないことがこの星で起きています。
ですがそれもそのはずです。ここは、ワンちゃんの知っている場所では、ありません。ワンちゃんの管轄の外です。
「ミギ~~」
ワンちゃんが言います。
「ミルちゃんぷーすけくんをおんぶしたりして移動してくれないかい?僕の背中より君の温かい腕の方が、ぷーすけくんは、安らぐかもしれない。」
ミルちゃんが頷きます。
「勿論、ぷーすけくんは、友達だもの。」
「ミギ―」
ミギが頭を下げます。
ありがとうと言っています。
ぷーすけくんを連れてみんなが、ホテルの外に出た時でした。
ぷーすけくんが激しくもがきました。
ホテルの前は、広場になっていて、そこに女性が立っていました。
あれは、間違いなく真理ちゃんです。
髪はソバージュで青い色のフリルとひらひらのついたドレスを着ていますが、真理ちゃんでした。
しかし、ミギは、駆け寄るどころか、筋肉ポーズで女性を威嚇しています。。
ミルちゃんとルーシーさんとジャックさんは、知らない人なので、こんな街中で、ドレスなんか着て、変わった人だなーと言う目で見ています。
ワンちゃんは、前に出て、しっかり女性を見つめた後で、ここ何千年も唸っていなかったのに、唸りました。
しかし、ぷー助君だけが惑わされています。
力を振り絞ってミルちゃんの腕から離れて真理ちゃんにすがりに行きます。
「真理ちゃーん。僕を助けて。産まれて初めて、体がとても苦しいんだ。」
ワンちゃんが、ぷーすけくんを何とか止めようとしますが、母を求める子供ほど、
力を発揮するものは、居ません。
ぷーすけくんは、はいつくばって、何とか真理ちゃんにしがみつきました。
しかし、真理ちゃんの口からは、発せられたのは、おそらくこの世で、一番冷たい言葉でした。
「離れろ。傀儡。」
そう言った瞬間、何と真理ちゃんは、真理ちゃんの足にしがついていたぷーすけくんを引きはがし、蹴り飛ばしました。
ぷーすけくんは、ショックで動けません。
涙も出ません。言葉が出ます。苦しそうに、
「真理ちゃん、なんで?」
ルーシーさんとジャックさんが拳骨を握ります。
しかし、ワンちゃんが、味方を一喝します。
「やめてよ。殺されるよ。君たちの太刀打ちできる相手じゃ無い。」
そう言ってワンちゃんは、耳を振ってミギを巨大化させました。
「ミギッ。全員連れて逃げろーっ。」
ミギは、ワンちゃんが心配でしたが、ワンちゃんの言うことを聞きます。
ミギも立派なぬいぐるみです。この女性の実力は、分かるし、人間を保護せねばなりません。
ミギは、ガタガタ震えていつぷーすけくんと、人間三人をひっつかんで、カエル号へ逃走しました。
神様VS神様。
ワンちゃんが尋ねます。
「あなた名前は何?」
女性は答えます。
「ビクトリア。ビクトリア・ユゴー。この世界の支配者。あなたは?」
ワンちゃんは答えます。
「ワンちゃんと言います。」
ビクトリアは、笑います。
「始祖の名前は、忘れたの?捨てたの?」
ワンちゃんは、遠い昔を思い出します。
何億年も前です。
「忘れても捨ててもいないです。ただ、名前と言うものは、名のっていい名前と使っていい名前、隠しておく名前があります。私の名を知るとあなたには、悪影響です。」
ビクトリアは、冷たい表情です。
「お利口ね。」
この女性こそユゴーです。
ご丁寧に、出向いてくれました。
しかし、ゆっくりとは、ワンちゃんもビクトリアも話さず
周りに被害が出ないように、空中へ舞い上がり、恐ろしい激闘を始めました。
この世の戦いではありません。
互いに体当たりで激突し、ワンちゃんが耳を振ります。
ビクトリアは、
「こざかしいっ!」
と生体エネルギーでワンちゃんの魔法を打ち消します。くしくもお互いに青い炎です。
ワンちゃんは、明らかに負けています。
ビクトリアが挑発します。
「真の姿を見られるのは、さぞ恐ろしいでしょうね。ぬいぐるみなどでは無い恐ろしい姿を。」
ワンちゃんは、
「はあっはあっ」
と荒く呼吸をします。ワンちゃんがこんなに苦戦するのは、誰も見たことがないのです。
その気になればワンちゃんは、この世の王ですら、耳を動かすだけでマカロンやホットケーキに姿を変えられるのです。
ワンちゃんが勝てない相手が居るとしたら、神様の中の神様くらいです。
ワンちゃんは、覚悟しました。
ビクトリアには、勝てない。遅かれ早かれ、消滅させらる。
ぷーすけくん達が、逃げ切る時間を死力を尽くして作ろう。
ワンちゃんは、力を解放しました。
ビクトリアを、地面にたたきつけます。束の間の反撃です。
そして猛攻しようとしたその時でした。
カエル号が、猛スピードで、飛んできてドリフトして、ルーシーさんの手が伸び、ワンちゃんをひっつかんで、抱きしめ、逃走しました。
ビクトリアは、余裕です。
「ハンっ、逃がすわけないでしょう」
しかしぷーすけくんは、またもミルちゃんの手を飛び出し、ワンちゃんの耳を軽くつかんで振って、巨大化しました。
「みんな逃げろー。」
ぷーすけくんは、そう言って、宇宙船を壊そうとするビクトリアに体当たりしました。
「みんなに手を出すな!」
ワンちゃんが叫びます。
「駄目だ。ぷーすけくん。」
ぷーすけくんは、声をあげます。
「この人は、僕が抑える。みんな逃げるんだ!」
ジャックさんは、冷静です。
「スピードを上げて、逃げるぞ。ルーシー。」
ワンちゃんが慌てます。
「ぷーすけ君を見捨てないで。」
ルーシーさんがぷーすけくんの方を指さします。
「見捨てないわ。一か八か、あいつらが仲間割れしてるところをぷーすけくんが逃げられるほうに賭けたの。」
「え?」
ワンちゃんが最後に見た光景。
それは、眼鏡剣士とみらちゃんが、ビクトリアに立ち向かっていくところでした。」
眼鏡剣士が咆哮を上げて、ビクトリアに切りつけます。
ビクトリアは素手で軽く受け止めます。
「何のつもりかしら?眼鏡君」
「何のつもりでもない。おまえと戦う。俺はもともと人の命令を聞くのは、好きじゃない。自由があると思っていたが、おまえは、支配者だ。気に食わないから、お前を倒す。」
ミラちゃんは、臆してます。
「おいおい、本当にやるのメガネ―。ビクトリアは、半端ないのよ。」
眼鏡剣士は、激を飛ばします。
「ビビるなミラ。確かにこいつば半端ないが、倒せない相手じゃ無いさ。」
それを聞いて、やっとビクトリアがちょっと起こります。」
「私は、倒せないわよ。」
ビクトリアは、そう言って眼鏡剣士の刀をへし折りました。
しかし、眼鏡剣士は、脇差で対抗します・
「なまくら刀、一本、折ったくらいでいい気になるなよ。」
ぷーすけくんは、心の中で呟いていました。
「眼鏡君凄い。力量もすごいけど、あのワンちゃんが、負けそうだった相手に気持ちで負けてない。」
ぷーすけくんも勇気を振り絞ります
「うおおおおー。」
ぷーすけくんは、ビクトリア押しやって、かとうじてビクトリアの動きを少し止めます。
眼鏡剣士が、何か砂のようなものを、ビクトリアにかけました。
するとどうでしょう?ビクトリアが苦しみだしたのです。
眼鏡剣士が合図します。
「ミラちゃん、くまくん。死ぬ気で走れ。長くはもたない。」
ミラちゃんとぷーすけくんと眼鏡剣士は、脱兎のごとく駆け出しました。幸い三人とも、異常に逃げ足が速かったです。
半日は、走りました。
そして、眼鏡剣士もミラちゃんも、ぷーすけくんも倒れました。
何も無い荒野でした。
三人は、しばらくの間、倒れていましたが、何とか起き上がりました。」
眼鏡剣士とミラちゃんは、少しですが、水と食料を出します・
「お前も食べるか?」
眼鏡剣士が、ぷーすけくんを気遣いますが、ぷーすけくんは、
「いえ。僕は、飲食はしない」
と断りました。
ぷーすけくんは、不思議です。
「君たち、ユゴーの仲間じゃなかったの?なんで助けてくれるの?」
眼鏡剣士が答えます。
「仲間と言うより、ビクトリアとは、同盟のはずだった。でも気が付いたらいいように顎で使われてた。それが嫌だった。」
ミラちゃんも同じです。
「確かに、美味しいものくれるし、お金もくれるし、凄い人だけど、ビクトリアは、容赦ないし、人使いも荒いのよ。」
眼鏡剣士が続けます。
「本当は、ビクトリアから逃げるだけでよかったんだけど、それじゃいつまでもあいつの陰に怯えて暮らさなきゃいけない。あいつは、そのうち、この太陽系全部を支配する。そしたら行くところがない。そこに君たちが、現れた。戦ってみて、凄いパワーだったから確信したんだ。君たちと組めば、ビクトリアを倒せるってね。」
しかし、ぷーすけくんは、うつむいています。
「眼鏡君。ごめん。多分無理。ビクトリアは、凄すぎるよ。ワンちゃんが負けるんだもん。僕たちの中では、ワンちゃんが一番強くて、賢いはずだ。そのワンちゃんがほとんど、手も足も出なかったんだよ。例え、地球に居る僕のぬいぐるみの友達全員で、かかっても絶対無理。みんな個体差は、あれど、僕とそこまで変わらない。くまじいなんか、体なまってるから、戦うのは出来ない。ねえ。眼鏡君。あのビクトリアにふりかけた砂みたいなのもっとたくさんない?乱暴だけど、あれを沢山かけて、全員でかかったら、もしかしたら何とかなるかも。」
眼鏡剣士は、首を横に振ります。
「ごめん。あれは、もう無い。それにあれは、砂じゃなくて土。俺がお守りで持ってた奥の手。多分どこにも無い。昔の昔の、何千億年以上前の、土なんだ。だから、ビクトリアが拒絶反応を起こしたんだ。危険物だから。だけどもう、持ってない。昔、人からもらったものだから、まして、たくさんはもっと無い。」
ぷーすけくんも頷きます。
「だよね。あんなのたくさんあったら最初から使うよね。」
ミラちゃんが、ぷーすけくんに尋ねます。
「ねえ、あんた私に、三万ホーテン貸してって言ってたけど、何に使うの?貸してあげたら、何か対策がある?私、お金持ってるよ。銀行行けばもっと沢山ある。お金で解決できるの?」
ぷーすけくんの顔に影が差します
「ごめん。あれは、ただ三万ホーテンあったら。鈍行宇宙船に乗って、地球に帰れると思っただけなんだ。でも無理。ビクトリアが、宇宙船飛ばないようにしちゃったし、さっきも言ったけど、僕の仲間と束でかかっても、ビクトリアには、勝てない。絶対に。そして、さらにもう一つ心配事がある。」
ミラちゃんが聞きます。
「えっ何よ?」
ぷー助が答えます。
「この沈み切った、本の空気の中、ミルちゃんみたいなプリティーガールが居なくて、ヒロインがミラちゃんみたいな弱いキャラだと、ここで読者さんが、本を読むのを止めてしまう可能性がある。シノビ装束の女の子じゃ、ちょっとねー。」
眼鏡剣士がり起ります。
「ぷーすけくん。そういう大人の事情は、言うな。読者のモチベーションを上げる反撃方法がある。」
ミラちゃんは、ぷーすけくんを殴り飛ばそうかと思いましたが、眼鏡剣士の反撃の方法に耳を傾けます。
「メガネ。どうやって戦うの?何か方法あるの?」
眼鏡剣士は、近くの岩に、小石を乗せました。
「俺が圧倒的に、青い犬のぬいぐるみより、能力が低いのに、なんとかビクトリアに対抗した理由は、これだ。まず、ただ、棒で、この小石をたたく。」
眼鏡剣士が、小石を叩きましたが、勿論、小石は、そのままです。
「でもこうすると。」
眼鏡剣士が、きれいな形の動きで、棒を叩くと、石が簡単に割れました。
ぷーすけくんは、理解できません。
「力を入れたから、割れたの?」
眼鏡剣士は、違うと言います。」
「力は、ほとんど使ってないんだ。むしろ、最初に石を叩いた時の方が、少し、力は、強かった。石が割れたのは、動きの連動で、打ったから、無駄な破壊は、無く、威力が上がる。それは、力じゃない。凝縮された衝撃だ。まあ連動撃ってとこかな?」
ぷーすけくんが何となくわかってきます。
「でも、それを使っても眼鏡剣士は、勝てなかったよ。まあいい線は、いってたけど。」
眼鏡剣士がぷーすけくんを真っすぐ見ます。
「そこさ、普通の人間の俺でもいい線いくんだよ。巨大化した君がおもいっきりこの方法で、連続攻撃すれば、ビクトリアも相当嫌だと思う。実体がある物体である以上、神だろうが悪魔だろうが、衝撃も斬撃も有効だ。現に僕の剣が鬱陶しかったから、ビクトリアは、僕の剣を破壊したんだと思う。ただ勿論あの時のビクトリアでも本気じゃ無いと思う。だから、不意をついて攻撃を仕掛け、あいつが全力を出す前に、勝負をつけるんだ。」
「勿論ワンちゃんだっけ?あの青い犬のぬいぐるみももう一体のぬいぐるみも加勢してもらう。ね、どんどん勝率上がっていくでしょう?」
眼鏡剣士の言うことは、一理あります。
賭けてみる価値は、あります。
「よし、じゃあ。早速教えて、連動撃。習得したら、急いでワンちゃんたちと合流して、作戦や攻撃と防御の隊列や、陣形を決めて、不意打ちしよう。卑怯だけど、ビクトリアに勝つには、それしかないよ。」
こうしてぷーすけくんたちは、場所を移して隠れて猛特訓を開始しました。
眼鏡剣士は、丁寧に教えます。
「パワーとスピードだけじゃダメ。大事なのは、動き!」
ぷーすけくんは、時々夜空を見上げました。
そして呟きます。
「真理ちゃん。必ず生きて帰るからね。」
一方ミルちゃんは、女の子とは思えないほど、やけ食いをしてお酒を飲んで泣いていました。
「わーーーーん。ぷーすけくんごめーん。ワンちゃんぷーすけくん生きてるかな?」
ミルちゃんは、食べる手を止めず。泣きながら飲み食いします。みんなだいぶドン引きです。
ワンちゃんが、ミルちゃんを慰めます。
「大丈夫だと思う。遠い場所だけどぷーすけ君たちの気配を感じる。だからもうその濃いハイボール飲むの止めなよ。ほぼロックじゃん。二日酔いで死んじゃうよ。」
ミルちゃんは、泣きながら言います。
「大丈夫、酔い止め飲んだから。胃薬も腸の薬もあるから」
ミギもワンちゃんもルーシーさんもジャックさんも、ミルちゃんを止めます。
「いや薬とかじゃ無理だって限界だよ。ミルちゃん。」
ミルちゃんは、やっと飲み食いを止めてくれました。
ルーシーさんが言います。
「ぷーすけくん達と合流しましょう。乗りかかった船だから、最後まで付き合ってあげる。乗せてるのは、こっちだしビクトリアを放っておくわけにもいかないし。」
ジャックさんもルーシーさんと同じ意見です。
「ルーシーの言う通りだ。ビクトリアは、野放しに出来んし、ミルトスは、放っておくとやけ酒の飲みすぎて入院するはめになる。」
こうしてミルチャンたちは、その日は、目立たない。隠れ里で宿をとって休みました。
「ミギッミギッ」
ミギがワンちゃんに相談します。
「えっ。防御だけじゃつまらない?どうしたらミギが攻撃に転じられるかだって?そうだね。ミルちゃんは、ルーシーさんとジャックさんに任せて、地球は、平和すぎたから教えなかったけど僕たちぬいぐるみの莫大な生体エネルギーをコントロールするすべを教えよう。大丈夫。生体エネルギーは、消費するんじゃないんだ。エネルギーを操るだけ手足を動かすようなものだよ。
ミギとワンちゃんも特訓を始めました。
次回予告
こんにちは。プリティーガールのミルトスです。
みんなそれぞれ特訓を開始してビクトリアの狙いってなんなのかしら?
なんで何でもできるのに、まどろこしく気長に、世界の私物化なんてやってるんだろう?
私だったら、がっとやって美味しいもの食べたり、いい服着るわ。
次回 全員集合。ぷーすけくんの最終決戦。
絶対見てね。お願いね!
眼鏡剣士が言います。
「よし。ぷーすけくんは、凄い。連動撃をここまで短時間でもものにできる人は、そうはいない。
ぷーすけくんは、照れます。
「まあねー。吸収はいいんだ。でもビクトリアユゴー相手にちゃんと打てるかな。連動撃。」
ミラちゃんが言います。
「別に百発百中じゃなくていいんじゃない?十発打って、七、八発当てればいいんじゃないのかしら?巨大化したぷーすけくんの連動撃が七発も当たれば、あのビクトリアも吹っ飛ぶわよ。」
あとは、泥臭く戦えばいいと思う。
ぷーすけくんは、暗い表情をします。
眼鏡剣士が聞きます。
「不安なの?ぷーすけくん。」
「いや。やっぱりミラちゃんにはげまされても、いまいちだね。」
ミラちゃんがぷーすけくんをはたきます。
「あんたぶっ飛ばすわよ。ぷふっ」
みらちゃんもぷーすけくんも眼鏡剣士も笑い出しまし。
みんなちょっと余裕が出ています。
遠くからワンちゃんやミルちゃんの声がします。
ぷーすけくん達の生体エネルギーを頼りに探しに来てくれたようです。
ぷーすけくんもミギも、どてらのような着物を着ています。修行頑張ったぞ言う感じの衣装です。
ミギとミルちゃんが、ぷーすけくんにスリスリします。
「ぷーすけくん大丈夫だった?」
ぷーすけくんは、いつものつぶらな瞳で答えます。
「うん。大丈夫だよ。なんとかね。」
ルーシーさんやジャックさんも居ます。
ワンちゃんが眼鏡剣士とミラちゃんに聞きます。
「仲間になってくれるのかい?」
「うんそうだよ。」
ミルちゃんが提案します。
「じゃあ。みんなでとんずらしようか?」
全員が首を横に振ります。
ワンちゃんが言います。
「ミルちゃん。今からみんなで、ビクトリアユゴーを倒しにいくんだよ。」
ミルちゃんは反対します。
「だって、怖いじゃん。ビクトリアさんすんごい強いじゃん。」
ルーシーさんが言います。
「だれもミルちゃんに戦えて言ってないでしょう?」
眼鏡剣士がこれまでの修行と、対ビクトリアユゴ戦の作戦を説明します。
さっきまで、弱気だった。ミルちゃんが強気になります。
「いけるよ。頭数は、私たちが圧倒的に多いし、みんな強いし、ぷーすけくんは、鍛えてきたし。」
ジャックさんは、口にしませんが、ミルちゃんは、現金だなとおもっていました。
ぷーすけくんは、ジャックさんの宇宙船で、最初にビクトリアと交戦した場所に行ってみましたが、ビクトリアは、居ませんでした。
「このまま居なくなってくれないかなあ。」
正直みんなそう思っていました。
しかし、都市ステーションの奥にワンちゃんが、ビクトリアの非常に強い生体エネルギーを見つけました。
宇宙船でビクトリアのところまで降りていきました。
都市ステーションの鉄の宮殿にビクトリアは居ました。機嫌が悪そうです。
戦える人は、みんな宇宙船から飛び降りました。ミルちゃん以外全員です。
眼鏡剣士、ミラちゃん、ぷーすけくん、ミギ、ワンちゃん、ジャックさんルーシーさんみんな構えます。
ビクトリアは、にやりと笑います。
「良く、臆せず、来たわね。少し時間を与えたけど、強くなったかしら?」
「ミギっ(こいつは、あいさつ代わりだぜ)ミギギギギーーー。」
ミギが、腕から生体エネルギーの衝撃派を出します。
青い炎の衝撃派で若干ビクトリアユゴーは、驚きました。
「ほうこの短期間で、生体エネルギーのコントロールを学んだか。」
ぷーすけくんも驚いています。
「何あれめっちゃかっこいいじゃん。こっちは素手だぜ」
ぷーすけくんは見せ場をとられないようにと、声を出します。
「ワンちゃん。僕を巨大化させて。ミギも。」
二体が巨大化したことで、ものすごい効果が現れました。
ミギの衝撃波が大きなえエネルギー砲になり、ユゴーを苦しめだしたのです。
「くっ。良く作戦を練ったわね。」
ぷーすけくんは、再び愕然とします。
ミギが大活躍です。
無論、ぷーすけくんも連動撃を打ち込みます。
二体の巨大なぬいぐるみの壮絶な攻撃にビクトリアは、防戦一方でした。
みんな思います。
「すごい勝てそうだ。確実に勝ってる。」
その時でした。ビクトリアがにやりと笑いました。
「メタモルフォーゼ。」そうつぶやきます。
なんと、ビクトリアが青い炎をまとい大きな槍をもっています。
そのやりで、ミギを突きます。
「ミギ~~~」
ミギは、途端に小さくなってしまいます。
凄い槍です。
一気に眼鏡剣士、ミラちゃん。ジャックさん、ルーシーさんがビクトリアに襲いかかります・
善戦していますが先ほどとは打って変わって痛くもかゆくもないと言った表情です。
さっきまでズシズシ聞いていた。ぷーすけくんの連動撃も効きが鈍くなっています。
ワンちゃんがついに少し、本気を出します。
大きくは、ないですが、長く美しい竜の姿になりました。変身には、変身で対抗しようと言う作戦です。
「ふーーーーっ。」
ワンちゃんが、ビクトリアに巻き付きます。
ビクトリアは、笑っています。
「うれしいわよ。やっとちょっと本気になったわね。」
ビクトリアがワンちゃんを掴んで投げ飛ばします。
眼鏡剣士の剣、ジャックさんルーシーさんの蹴り、ぷーすけくんの連動撃が、ビクトリアを猛追しますが、ビクトリアは、まだ余裕があります。
ビクトリアが、槍を振り回します。
恐ろしい生体エネルギーがぷーすけくん達を襲い、全員地面に倒れます。
ビクトリアは、腕を横に広げます。
すると戦っていた全員が痛がり出しました。ビクトリアは、敵全員に生体エネルギーで追い打ちしたのです。
ただし、ビクトリアも疲れたようです。「はあっはあっ」と息が荒く片膝を着きました。
勝負ありました
。ビクトリアの勝ちです。
ぷーすけくんは、悔しそうです。
「あと少しだったのに。」
その時でした。ぷーすけくんは、真理ちゃんの声を聴きました。
「どこにいるの?ぷーすけくん。」
声は、はるか遠い地球からワンちゃんが繋いでいます。最後の悪あがきです。
「帰ってこないから心配してるの早く帰ってきて寂しいよ。ぷーすけくん。」
その時、ぷーすけくんの中で、何かが覚醒しました。
真理ちゃんの声は、いつもぷーすけくんを勇気づけますが、覚醒した一番の理由は、ぷーすけくんの中でユゴーと真理ちゃんの区別がしっかりついたのです。
今までは、無意識にユゴーと真理ちゃんの区別が無意識領域の中でつかず攻撃に手心が加わっていました。
しかも幸運なのは、ぷーすけくんの巨大化は、解けていません。
ぷーすけくんは、のっそり起き上がって言いました。
「貴女は真理ちゃんじゃない!」
そう言った瞬間、ロケットのような速さで、ぷーすけくんは、ビクトリアにとても正確な連動撃を繰り出します。」
ビクトリアは、嫌がっています。
ぷーすけくんの渾身の連動撃を何とかビクトリアが迎撃しようとした時でした。
ぷーすけくんは、ビクトリアの槍で吹っ飛んだのですが、ミギが渾身のエネルギー波をビクトリアに食らわせました。
「ミギギギギーーー」
ビクトリアは、まともに受けます。
「くっ」
そしてとどめは、やはり真打のワンちゃんでした。
青い竜のワンちゃんのかぎづめが、ビクトリアをひっかき、ビクトリアは、倒れました。
決着がついたとき、ビクトリアは、膝を着いて、悔しそうにフーフー唸っていました。
敵ながらビクトリアは、良く戦いました。
ワンちゃんは、勿論。ぷーすけくんと眼鏡剣士は、とても手ごわかったと思います。
ビクトリアは、悔しがって力ない手を地面に叩きつけました。
ワンちゃんは、ビクトリアの手を止めます。
「ダメでしょ。あなた仮にも神様でしょ?神様は、他の生きとし生けるものをいじめたり、自分を傷つけたらダメだよ。」
ビクトリアにぷーすけくんとミルちゃんが声を掛けます。
まずミルちゃんです。
「あのビクトリアさん。どうして働く人と働かない人を分けようとしたのですか?」
次は、ぷーすけくんが聞きます。
「ぼくは、あなたがただの暴君には見えない。何か理由があるのでしょう。」
ビクトリアは、うつむいたままやっと語りだしました。
「労働は、人を疲れさせる。その疲れは、時に人の人生を蝕む。だから労働から、解放したのよ。」
ぷーすけくんは、意見を述べます。
「でもその分よその惑星から集めて来た人たちを働かせてたよね?それはいいの?」
ビクトリアは、うつむいたまま答えます。
「勿論、良くは無いと思ったわ。ただ反論すると、よその惑星から連れて来た人たちは、この惑星の恩恵を受けていたわ。」
ぷーすけくんは、ビクトリアに語り掛けます。
「恩恵を受けてたからって、強制労働させていいわけじゃないよ。」
ワンちゃんも意見を述べます。
「それにビクトリアさんは、神様でしょ?神様だったら、自分の世界から、労働をなくすことは、出来るでしょう?」
ビクトリアは、素直に答えます。
「ええ。出来るわ。だけどそれじゃ意味ないのよ。」
ミルちゃんが首をかしげます。
「意味?どういう意味があるの?ビクトリアさん。」
ビクトリアが答えずうつむいているのでワンちゃんが言葉を発します。
「神様の共通認識でね。労働にかかわらず、病気とかも意味があるんだ。苦しい事にはね。きつい仕事をそのまんましないのが人間のいいところさ。便利な道具を作ったり、病気を治す。お薬を作ったり、これは、労働の答えじゃないけど、僕たち神様は、人間がいろんな困難を乗り越えていくすがたもちゃんと見てるんだ。
そういう意味では、ビクトリアは、僕より神様らしいね。僕は、しばらく神様の仕事をしていないからね。ただこれは、労働の答えじゃないよ。困難で亡くなってしまう人もいる。だから神様ってのは恨まれるし、困難の中には、神様が与えたものじゃない。困難もいっぱいあるからね。」
ミルちゃんが言います。
「ビクトリアさん。私の惑星を元に戻してください。ビクトリアさんは、神様だから出来るでしょう?」
ビクトリアは、立ち上がると「ふーっ」と息を出しました。
「もとに戻したわよ。あなたたちに負けたからもう余計なことは、しないわ。ただし覚えていてね。答えは、出ていないのよ。」
そう言うとビクトリアは、幻のように掻き消えました。
ミラちゃんが言います。
「逃げちゃったね。」
ワンちゃんが言います。
「大丈夫。あの人は、神様だから、もう悪いことはしないよ。ただ疑問があっただけだよ。」
こうしてワンちゃんたち一行は、ミルちゃんの家のあるフィエスタに帰りました。
お別れ
ミルちゃんの家で、夕食をとり、街はずれに、ジャックさんの宇宙船を泊めて寝泊まりしました。
ちょっと早いですが、ぷーすけくん達は、明日地球に帰ります。
ミルちゃんは、泊まるところを借りてくれると言いましたが、誰一人その提案を受けません。みんなお金と言うものについて深く考え、ぷーすけくん達は、鈍行宇宙船で帰ることにしました。
途中までジャックさんとルーシーさんが送ってくれます。
そして出発の朝。
眼鏡剣士とミラちゃんは、自分の住所をぷーすけくんとミルちゃんに教えると帰って行きました。
「じゃあ。ありがとうなぷーすけたち。落ち着いたら飯でも食おうや。俺姉ちゃんとこ帰るわ。」
と眼鏡剣士。
「眼鏡君。お姉ちゃんと暮らしてるの?」
ぷーすけが尋ねます。
「うん。」
「私も田舎帰るよ、また会おうね。」
とミラちゃん。
ここまで、二人ともあっさり帰るのは、ワンちゃんの力が働くようになれば、いつでも会えるからです。だから緊張感が出ません。
ぷーすけくん達は、地球まで一人一万ホーテンなので、三万ホーテンミラちゃんに借りました。
「悪いことして稼いだんだから、返さなくていいよ。」
とミラちゃんは、言いましたが、ぷーすけくんは、首を横に振ります。
「お小遣い貯めて必ず返すね。」
ミルちゃんがぷーすけくん達と一緒にジャックさんとルーシーさんの船で送ってくれました。
なぜかミルちゃんだけ泣いています。
もうジャックさんともルーシーさんとも住所の交換は、済んでいるので二人は、ミルちゃんを送っていきたいのですがミルちゃんはわんわん泣いていました。
「手紙頂戴ね。必ず遊びに来てね」
ミルちゃんをなだめるんのは、大変でした。
ミルちゃんと別れて長い間。ぷーすけくんワンちゃんミギは、鈍行宇宙船に揺られていました・
ぷーすけくんは、くしゃみをします。
「へっくちにっきし。」
ワンちゃんは心配します。ここら辺の惑星のエネルギーがぷーすけくんには、合わないみたいだね。鈍行宇宙船誰も乗ってないしひまだから歌ったり踊ったりしようか
ぷーすけくん
「おーー。」
ミギー
軽くぷーすけくんのギターでワンちゃんがスタンドバイミーを歌って、そのあとフットルースと言う歌を奏でながら、踊りまくってたら地球についてワンちゃんが耳を振ると、いつもの春先家でした。ぷーすけくん達の家です。
ワンちゃんは梅ちゃんたちに叱られないようにちょっと時間を戻しました。
ワンちゃんは、ペグの所に行き、ペグに会いました。
ペグは、ワンちゃんの子供の犬のぬいぐるみです。
ペグは、縁側に寝っ転がっていましたが、ワンちゃんに気付くと駆け寄ってきて、二人で小部屋に戻って、ワンちゃんが、絵本を読んで、二人で眠ってテレビはつけたままです。ずっとお母さんと一緒を流していました。
ぷーすけくんとミギは、テレビゲームをやっていた部屋に戻ります。
ぷーすけくんが、テレビゲームの電源を入れます。
「良かった。ちゃんとゲームの記録がつけてある。ワンちゃんのおかげだ。
「ミギミギっ」
ミギも喜びます。
せっかくゲームに付き合ったのに記録が消えてたら大変です。
ミギは、疲れたのか布団に入って横になりました。家の人に会うのは、明日でいいとミギは思いました。
ぷーすけくんは、台所に行きました。
梅ちゃんが居ました。この家の主人で人間の女性で、見た目美少女でぬいぐるみのまとめ役の不思議な人です。
「梅ちゃん何か手伝おうか?」ぷーすけくんが聞きます。
「あっじゃあ食器ふいといてもう洗ってあるから。それと、もうすぐ真理さんが帰ってくるから彼女に夕食とお茶をだして。」
梅ちゃんは、そう言ってお風呂に入りに行きました。
ぷーすけくんが美味しいお茶を入れます。
玄関があいて真理ちゃんが入って行きました。
三十歳くらいのロングヘア―の女性です。
「ぷーすけくんただいま。」
ぷーすけくんは、ニッコリ笑顔です。
「おかえりなさい。真理ちゃん僕もただいま。」
了