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自作用に異世界(フィクション)武術を徒然に語ってみる  作者: 鴉野 兄貴


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コメディとアクションの習作【2021/05/02】

 だいたいすべてお前が悪い!

 チーアの差した指先はロー・アースに伸びる。



 ただ、その先が悪党のハナクソをほじることになったのはやる気の無さそうな青年がその手を取ったからだ。


「ぶおっ!」


 ナイフを手にロー・アースを刺そうとした男は奇襲に耐え切れずのけぞった。

 鼻を抑えつつ反撃を試みる彼だが。


「ちょん」


 後ろにいたファルコ・ミスリルの膝カックン。


「きゃ♪」


 盛大に空中回転した彼の尻はファルコの頭に撥ねられて三回転して吹っ飛ぶ。拭きだす鼻血のアーチを疾走する矢はまっすぐチーアに向かう。


「きったねえ! 死ねやロー・アース!」


 指をブンブン振るうチーアは矢に気づかない。


「あ、ごめ」


 その指が斧を持って襲い掛かった男の鼻をまたほじった。

 ロー・アースが矢から庇ったからであるが、どうみても抱き着いている。



 そのまま剣を抜こうとする彼に平手打ちを試みるチーアだが、背後から迫る新手に気づき、勝手に彼の小剣を引っこ抜き、鞘ごと投げ飛ばしてそれがクリーンヒット。


「ぐほっ!」

「いたそう」


 ファルコはとてとて。空中三回転半した男を頭突きで突き上げる。どっちがいたそうなのか。



『俺、飛んでいる』


 男は空中に突き上げられながら、ゆっくりと回転する視界の中で広場を瞳におさめていく。

 どこか遠くで吟遊詩人が場違いな愛のテーマを奏でているようだが。


「ららら~♪」


「戦えばか!」


 ロー・アースが武器を失って慌てふためきファルコを叱咤するなかチーアの追撃が迫る。


「だいたい、いつもいつもお前はふざけているかやる気がないかのどちらかで」

「今それを云うところか?!」



 彼の手が武器を求めてチーアの腰元に延び、彼女のナイフを引き抜く。

 チーアの肩越しにナイフを投げ、クロスボウを取り落とした敵に向けて『フォーユー!』と投げキスを放つ。はた目には腰元にハグしているように見える。



「何ふざけているの! あなたはいつもそう!」

「だから周りを見ろって! そういう状況じゃない!」


 抱き着かれたままチーアの放つ大振りテレフォンパンチ! 抱き着いていることをいいことに彼女を振り回して都合よくいる新手に逸らすロー・アース。


「ごふ」


「あ、スマネ。おっさん」


 一瞬真顔になったチーアだが彼女の沸点は別の所に移行したらしい。


「誰にフォー・ユーよ! こんな時にナンパ?! ふざけるのもほどにして!」

「お前、何ヒステリー起こしているのだ!」


 チーアがロー・アースに抱きかかえられつつ壁にあったのをいいことに適当に掴んだ棒切れ。その先は背後から彼女らを襲おうとしていた男の顎へ。


「ナイス。チーア」

「よくやった。ちぃや」


「おっ?! おおう……おっさん無事か。いやいやいや」



 首をブンブン振る彼女の頬を矢がかすめていく。

 都合よく狙撃手の攻撃をかわした彼女。その神官衣の裾がめくれる。

 ファルコがその間をすり抜けて拾った石を投石器スリングにおさめ、スライディングしながら『ぽい』。


 狙撃手は倒れた。

 チーアはファルコをゲシゲシ踏んでいる。


「今日は白」

「白じゃねえだろうがあああ!」


「おい、チーア!」


 彼女が足元を見ると『にんぽう みがわりのじゅつ』と書かれた禿げ頭が呻いている。


「ぎゃ! まじすまん!」


 神官服を押さえて謝るチーアの額。ロー・アースがその腰に手をそえると彼女の踵が縦一回転して男たちの頭上に。


 うっひゃあ! さけぶチーアを抱きあげるロー・アースだが元凶は彼自身だ。

 その間にファルコは狙撃手たちに強襲してある者は縛り上げまたある者には『このもの! れんぞくそげきはん!』と張り紙を貼っておく。意味ない。縛り上げろ。



 抱き上げられたチーアは走って逃げるロー・アースの頭をポカポカ殴っているのだが、ロー・アース自身は後ろから次々飛来する攻撃魔法や矢玉をかわすのに忙しい。


「離れろ! 離れろ!」


 真っ赤になってロー・アースを殴るチーア。

 真っ青になってひたすら逃げるロー・アース。

 果たしてこの恋の行方は如何に!?



 ロー・アースはそのままチーアをぶん投げた。

 一〇〇年の恋愛感情も見事に砕ける。


 ついでにチーアを受け取った大男はロー・アースの飛び蹴りをもらい倒れる。


「よ! お姫様」


 チーアを取り返す形で今度は肩に担いで走るロー・アースをポコポコ殴ろうとするチーア。


「ろう!」


 ファルコが投げた剣をキャッチして鞘をつけたまた前に立ちはだかる男の股に差し込むようにして転ばせチーアごと体当たり。


 もんどりうって倒れる男の脇で押し倒す形で見つめあう二人。



「ロー・アース……」

「チーア……」



 ロー・アースはため息をつく。


「そのムード溢れるテーマ曲を弾くのは辞めろファルコ」

「ぶっ飛ばすぞコラ」


 気を利かせたつもりだったファルコは竪琴を下ろして「つまんない」といじけて地面をける。

 ロー・アースの握った剣はファルコにはじかれてしまい、クルクル地面を回って盛大に男たちを転ばせていく。



「おい! 俺の剣!」


 無手になって慌てるロー・アース! 危うく唇を奪われかけたチーア!

(※ただしチーアの主観に基づく)


 チーアの頭突きがロー・アースを突き上げる!


「ぐはっ」


 状況を読まないラブシーンからの脱出を果たしたチーアは迫りくる敵に向けて弓を取る。

 そのついでに二、三人ほど殴っておく。八つ当たりである。


 彼女が矢を番える最中! ファルコは?!



「ちょうちょだ」


 遊んでいた。



 ファルコが戯れる蝶の脇をチーアの矢が通り、次々と灯をつぶしていく。

 慌てふためく男の頭にがれきが落ちて沈黙。


「やっりぃ!」

「お前、容赦ないな」


 ロー・アースは鼻を押さえつつ、適当に腕を振り回してアッパー気味に近くの男を突き上げた。人のこと絶対言えない。



「捕まえたぞがぎゃ~~!」

「むにゅー」


 ぱたぱたぱた。

 ファルコが暴れている。


 その脚がファルコを捕らえた男の股間にさく裂。


「あ」

「痛そうだな」



 チーアとロー・アース。

 図らずしも見つめあう。


 彼らはとっさに振り向くや否や、かたや矢をかたや魔法を解き放つ。

 二つの閃光が見事に敵を打ち抜くと二人は『いえぃ!』とハイタッチ。



「なかいいね。ひゆー比喩?」


「それはちがう」

「それヒューヒューだから」


 お互い照れ隠しして背を逸らしあう男女。

 結果的に背を預けあう形になる。


 チーアに装填済みのクロスボウを投げるロー・アース。

 ロー・アース越しに彼の背後に潜む敵の頭上に資材を落とすように太矢クォレルを放つチーア。


 その腰からナイフをまた取り出し彼女の背後に潜む敵に投げるロー・アース。



「あなたなんて本当に嫌い!」

「偶然だな! 俺もだ!」


「それどころじゃないよね」


 ファルコはいじけるように盾で適当な男の膝をぶん殴ってみせる。

 膝を押さえて呻く男の頭上をロー・アースにスイングされたチーアがすり抜けていく。


 両手を握り、あるいは掌を合わせあい。

 くるくる踊るように睦まじく。


 見た目は実に美しいが、男たちからすれば単純に痴話げんかに巻き込まれている。



 高速のステップで相手の足を踏みあおうとする中、また下敷きにされた男がダウン。

 華麗なターンを決めてお辞儀しあう二人の頭上を大斧が抜ける。


 そのまま二人は両手を上げて大斧の男の首に二人がかりの手刀。


『ニコッ』


 二人は笑いあい抱き寄せあう。

 そのままお互いの背後に迫る男たちに肘も忘れない。


 顎を持って唇を寄せるロー・アース。

 背を逸らして微笑むチーア。


 大長刀を華麗にかわした二人は横蹴りを同時に叩き込む。

 そのままお互い180度開脚で見事なフィニッシュポーズ。



『10てん』



「ファルコ。おまえどこから取り出した」

「そういう用意はいらない」


 ファルコが看板を投げると「ふほっ」と誰かにあたったらしい。



 とりあえず敵は沈黙したことをファルコは確認したが、味方二人はこの状況に及んでもまだふざけあっていた。

 『シティーハンター THE MOVIE 史上最『香』のミッション』のアクションがとても良いので練習。

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