2人の先輩の日常
早川と別れた後僕はボックスに向かった。判例研究サークルのボックスには何かと揃っている。電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、書籍、普通に何不自由なく暮らせるレベルで充実している。それが故にサークル活動にはあまり参加せずたまり場的なノリで来る輩もいる。
どうせ今日もいるんだろうけど僕もボックス以外行くところないしな。
「しねぇ!」
「そんなの当たらない。雑魚が」
ボックスに入るとスマ〇ラをしている2人が罵声を浴びせあっていた。
「またゲームしてるんですか先輩達。たまにはサークル活動にも参加してくださいよ」
「あれ?智樹じゃん珍しいなこんな時間に大学いるなんて」
この人達も飲み会の席にいたからな。僕があんな発言したことも知っていておかしくない。
なんか最近僕を客観的に見れる機会が多いけど、ろくな人間じゃないな。
「蒼さんと姫先輩は講義もでずに何してんですか。また部長に怒られますよ。ボックスに余計なもの持ち込んで」
この人達は僕と同じ法学部の3回生だ。部長と同じゼミに所属しており、人数合わせで判例研究サークルにも所属している。フルネームは足立蒼介と朝姫京だ。
「講義なんて聞かなくてもいいもの。出席さえしてればね。私は花恋に頼んでるもの。あと花恋は私に怒らない」
「俺も鮫島に頼んでいる。なお金は取られている。そして俺は怒られる」
この2人は部長のこと名前や苗字で呼んでるんだよな。僕も昔みたいに名前で呼びたいのに嫌がられるからなぁ。ちょっと羨ましい。ていうか蒼さん金出すくらいなら講義出ろよ…部長の蒼さんに対する扱い雑いのは相変わらずか。
「僕も三限まで暇なんでここで時間潰させてもらいます」
とりあえず暇なので適当な文献を取り、空いてる場所に座る。
「ともちんもスマ〇ラしようよ。こいつ弱すぎて相手にならない」
姫先輩は僕のことをともちんと呼ぶ。かなり恥ずかしい。
「姫先輩には僕も勝てませんよ。確かに蒼さんは弱いけど」
蒼さんはゲームオタクでかなりしているが実力はない。ゲーム実況しているらしいが、果たして誰が見るんだろう…
「いつまで俺が弱いと思っている。最近は登録者数が1万人を越えようとしている。俺は日々成長しているのだ」
「あんたの実況ネタじゃん。酷すぎてるプレイと発狂が面白くて見に来る人がいるだけだよ。さっきの試合も私に3タテされてんだからさ」
3タテされてたのか…
「あれは俺が自滅したからだ。俺のリトル〇ックは復帰がゴミカスだからな」
蒼さんはメインキャラでリトル〇ックを使っている。復帰弱いから立ち回りで勝たないといけないのに大技振るだけだからな…。もっと強いキャラ使えばいいのに。
「リトル〇ックなんてキャラやめたら?あんたには使いこなせないよ」
「黙れクソ女お前害悪ネ〇は絶対にKOで殺してやる」
姫先輩は〇ス使い。動きがキモすぎて捉えられない。蒼さんのリトル〇ックじゃ一生勝てないだろうな。
「まぁとにかくやろうぜ」
蒼さんがコントローラーをもう1つ出して渡してきた。
「やられても怒らないで下さいよ」
ストーカーの件があるが今できることは無いので先輩達のゲームをに付き合うか。
「ともちんて花恋に告らないの?」
ゲームをしながら姫先輩がそんなことを聞いてきた。いきなり何言ってくるんだこの人。
「僕が部長と釣り合うわけないでしょ。それに僕は尊敬こそしてますが好意は抱いてないです」
「あら、てっきり好きなのかと思ってたわ」
「俺も好きなのかと思ってたわ」
2人して何勘違いしてるんだ。てか何ニヤニヤし点だこの人達…。
「そういう2人こそ付き合ったりしてないんですか?」
前から気になってたことを聞いてみる。
「ともちんそれは流石に姫に失礼だよ?ぶん殴るよ?」
「なんで俺がこんなガサツ女と付き合うんだ。智樹目腐ってんのか?」
見事に息あってんじゃん。付き合えよ。
「私は私よりゲーム弱いやつに興味無いね」
今姫先輩はクラ〇ドを使っているからか、クラ〇ドの真似をしながら言ってきた。
「お前らまたゲームしているのか」
「ゲッ部長」
「花恋やっほー」
「鮫島ちゃんと出席出しといてくれたか?」
もう一限が終わった時間か。思ったよりスマ〇ラに熱中していたようだ。
「出席は出しといたがゲームするくらいなら講義に出ろ」
ちゃんと出してる辺り優しいな。まぁ蒼さんは2000円かかってるけど…いやほんと2000円払うくらいなら講義出ろよ。
「佐藤今から少しいいか?」
ストーカーの件かな。二限もないので問題ない。
「大丈夫ですよ」
「なになに花恋ともちんをどうしよっていうのさ」
ニヤニヤしながら姫先輩が言ってくる。
「なに、ちょっと乳くりあうだけだ」
「あんたいい加減にしろや!」
「俺も姫相手すんの飽きたし画面の向こうで待っている彼女と乳くりあってくるわ」
「飽きてんのは私の方だし」
いや乳くりあうに誰が突っ込めよ…