#2・道のり
王宮出て貴族街を歩いている時、レントの姿を見た者は膝を付いたり、尊敬の眼差しを向けたりと様々だった。
そんな中、大きなお腹を揺らし手揉みしながら近づいてきた1人の男が居た。
「 レント様。今日も変わらず凛々しいですなぁ〜。是非!私の店で働いて頂けないでしょうか?へへへ〜。 」
だらしなくニヤニヤしながら、その目には人を不快にさせる全てが詰まっていた。
「 俺が働く場所はもう決まっている。貴様のような者の店に、俺が足を踏み入れると思うか? 」
「 レント様が決められたのは重々承知ですが、そこをなんとか曲げて、私の店に変えて頂けないでしょうか。レント様にも楽しい事だらけですよ!へへ。 」
レントは知っていた。この見るからに不快な貴族の店を。
「 ほぉ〜。貴様は王子である俺に、奴隷を辱める店の片棒を担げと言うのか。舐めるなよ・・・貴様の様な貴族は既に処刑日が決まっているんだぞ・・・ 」
そう言うと、ポケットの中から1枚の紙を取り出した。
「 貴様の処刑日は・・・なんだ今日ではないか。運がいいな。 」
「 お、王子は何を仰って・・・ 」
「 国王は法律に背いている店の店主を全員把握して、捕縛し処刑する日を決めている。いわば順番待ちの者だらけと言うことだ。 」
レントが紙を閉まったと同時に、銀の鎧で身を固めた衛兵3人が貴族を囲んだ。
「 な、なんの用だ貴様らっ! 」
「 奴隷への過度な命令は法律違反だ!捕縛する!大人しくしろ! 」
衛兵は貴族を後ろ手に縛り上げ、王宮へと連行して行った。
( どいつもこいつも・・・魂が腐ってるな・・・ )
レントは足早にその場を後にした。
「 ここか。さすがに綺麗だな。」
3階立ての大きな家。宿屋フラワーガーデン。
世界大戦前から営業し、増築により下手な屋敷より大きな姿は、全てを受け止めるほど凛々しい。
レントは扉を開けて、中へ入った。
「 いらっしゃいませー!お、王子様!ど、どうぞこちらへ・・・ 」
慌てた様子で受付に付いている板を上げて、奥へと促した。
「 奥でオーナーがお待ちです。」
レントが足を進め受付の奥に行くと、真っ白な長い髪の女性が居た。
「 ようこそいらっしゃいました。レント坊ちゃん。」
立ち上がり、うやうやしく頭を下げる姿は世の男性ならそれだけで心を奪われるほど美しかった。
「 美しい白い髪・・・リン=リヴァーか? 」
「 はい。お久しゅうございます坊ちゃん。 」
リン=リヴァー。レントが16歳になるまで身の回りや座学等、色々と世話になったメイドだった。
繋げるのはいいけど、名前が少しムズい・・・(笑)
お楽しみください┏●