#18・発覚
肩に手を置かれたユキは反応をせずに、ジッとレントを睨んでいた。
「はぁ〜。何をそんなに怒ってるんだ?」
「アタシが本気で気配を消せば、常人に反応する事は出来ないハズです。あなたは何者ですか?なんの目的で隊長に近付いて、アタシ達に命令を下す必要があるんですか?」
(完全に怪しまれてるな・・・)
レントはもう1つため息を吐いて、グイッとユキに顔を近ずけた。
「なんのつもりですか?」
「レント様、あまり近いと噛みつかれますよ?」
(う〜ん・・・やっぱりそうか。)
「いい加減にしてくれませんか?」
ユキは腰に隠してあるナイフに手を伸ばしながら言った。
「もう一度、気配を消してくれないか?」
レントは顔を近ずけたまま言った。
これでは挑発と取られ、首を切られても文句は言えない。
「ユキ。やってみて。」
リリーがそう言うと、渋々と言った感じでユキはスゥッと息を吸い込んだ。
すると、レントの目にしっかりと捉えていたユキの姿が一瞬揺らいで、徐々に消えていった。
「なっ!これが気配を消すって事か・・・」
レントの目の前にいたユキは、陽炎の様にユラユラとして、消えてしまった。
「見えなくなった・・・ユキ。次は俺に殺気を出しながら気配を消してくれ。」
「そんな事しても、アタシは見えませんよ。」
レントの耳には、どこから声がするのか分からずまるで部屋全体から聞こえた様に感じていた。
「これでどうですか。」
ユキは腰のナイフを握りながら、意識を集中させた。
その瞬間、レントの背中がピクリと反応してユキの姿が見えるようになった。
「あ、見えた・・・・・・やっぱり殺気を出したら見えるらしいな。」
満足したように、レントは頷きながら言うと、リリーとユキは驚いた様子で顔を見合わせた。
「殺気を混ぜただけで見えるなんて、聞いた事が無いです。」
「私もだ・・・レント様は特別な訓練でもされたんですか?」
「昔から、殺気とかには敏感でな。」
レントは次期国王。それをよく思わない者や、罪人が向けてくる物、勘違いが激しい貴族が向けてくる物。様々な事に慣れてしまって、無意識に殺気を感じて、意識を向ける事を覚えていたのだ。
悪寒や寒気なども、殺気に似ているんでしょうかσ(∵`)?
お楽しみください┏●