#17・交流
地下牢での事を、国王リョウタに報告したリリーとユキはフラワーガーデンへの道のりを、雑談しながら歩いていた。
「そんなに可愛い人なんですか〜?」
「えぇ。管理能力はピカイチで、指揮官としても最適に思えたわ。なんと言っても事が終わったあとのほうけた顔は最高だったぞ。」
「事が終わってって〜・・・隊長、つまみ食いしちゃいましたね〜?」
ユキは口に手を当てて笑いながら言った。
リリーは当然!と顔に書きながらドヤ顔で答えた。
「あの人は私達の手に収まる人では無いわ。いつか大きな事を成し遂げて、黒騎士隊よりも強く恐ろしい組織を作るハズだ。」
「アタシ達より〜?何だか想像がつきませんね〜。」
「見れば分かる・・・私達は着いて行こうとするだけで充分だと。」
その後はリリーとレントの情事を詳しく話たりして、フラワーガーデンの前に着いた。
「さぁ、こっちだ。」
「正面から入らないんですか〜?」
「こっちの方が早く済む。」
ユキはリリーの後に付いてフラワーガーデンの裏へと回った。
「この部屋だ。」
そう言うと、リリーが窓をノックして開けられるのを待った。
「遅かったな。」
窓を開けてレントは不機嫌な声を出した。
「申し訳ありませんレント様。実はヤボ用も片付けまして・・・」
「それならいいが・・・服にガスが残ってただろ?また寝てしまったではないか。」
レントが不機嫌なのは、眠りすぎて頭が痛くなっていたからだった。
やり取りを見ていたユキは目を細めて、獲物を狙う獣の様に息を潜めていた。
暗部である彼女が本気で気配を消せば、一般人からすれば隣で音を立てても気付かれないほどだ。
「それで?さっきから猫みたいに俺を狙ってるのは、誰なんだ?」
「私の部下のユキです。」
「まぁ、取り敢えず入ってくれ。話にくいだろう?」
レントは2人を部屋に招き入れ、部屋を出てお茶を持ってきた。
「さてと。ユキと言ったか・・・俺はレントだ。訳あってオーナーをしている。」
「ユキです。気配を消していたのに、アタシが隊長の後ろに居るとよく分かりましたね。」
ユキは普段、語尾を伸ばして余裕をもって話すのだか、自らが本気で殺しにかかる相手には決して油断せず、余裕の心を押し殺して話すようにしていた。
レントに対するユキの心は、殺らねば殺られる!
気配を本気で消した自分を余裕で見つけ、黒騎士隊よりも強い組織を作りかねない危険人物。
ユキの背中はグッショリと濡れて、緊張は最高潮だった。
「レントさま〜。そんなに怖い顔しているからユキが緊張して、レント様を殺しそうじゃないですか。」
間の抜けた声をリリーが出して、ユキの肩にそっと手を置いた。
緊張した場面を書いてると不思議と、自分も緊張してきて口が半開きになりました(笑)
お楽しみください┏●