#14・母は強い
レントは、小屋を出てフラフラしながらなんとかフラワーガーデンに着いた。
「どこに居たのですか坊ちゃん?」
「あ、あぁ。新しい従者が出来た・・・」
レントはそれだけ言うと、自室にしている受付の奥へと行った。
「ただいま戻りました。」
玉座の間でリリーはリョウタにひざまついた。
「うむ。どうだったレントは?」
リョウタは探るようにリリーを睨んだ。
「元気な方でしたよ。そして喜ばしい事に黒騎士隊はレント様の物になりました。」
「そうか!レントは女っ気がなかったからな〜。お前が付いてくれて安心だ。」
リョウタは玉座から身を乗り出して、リリーに詳しく聞こうとした所で、
「お待ちください国王。レント様より早速、命令を頂いております。」
「ほぉ・・・して、その命令とは?」
深く玉座に腰掛け直して、リョウタは目を丸くした。
「はっ!今回の契約の件を女王に伝えよとの命令です。」
「えっ・・・?あいつに言っちゃうのか・・・?」
明らかに動揺して、冷や汗を吹き出しながらリョウタが呟いた。
「はい。レント様から頂いた初任務ですので、完璧に遂行致します。」
「ちょっ!ちょっと待ってくれないか?あいつに知られたら何を言われるか・・・頼む!この任務は無かったことにしてくれ!」
「申し訳ございません。私は仕事が生き甲斐ですので・・・」
リョウタが大声で抗議するが、リリーは全く取り合ってない。リョウタがあまりにも大きな声だったので、玉座の間の扉がノックされた。
「な、何者だ!名乗るがよい!」
「アタシにそんな事言うんだ〜?」
扉をバタン!と開けて、長い髪とメロンのような胸を揺らしながら女王が入ってきた。
「なんだボタンだったか・・・どうしたんだ?」
「あなたが大きな声、出すからでしょ?」
リョウタの妻でヤマト王国の女王。ボタンがゆっくりと2人に近付いて来た。
「お久しぶりですボタン様。」
「あら?リリーじゃないの。どうしたの?」
リリーはボタンに深く頭を下げて、レントに手を出せば従者にする。と、誰が聞いても不思議な契約の事を包み隠さず、どのように手を出したかまで話した。
「ありがとう。リリーはレントの所へ戻っていいわよ。」
柔らかい声で言うと、ボタンはリョウタの方を向いた。
「はっ!失礼致します。報告にまた参ります。」
リリーが玉座の間を出た瞬間、王宮中に響く程の怒鳴り声と、平手打ちの冷たい音が耳に入った。
母は怖いですね・・・(笑)
お楽しみください┏●