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5話

「ここがヴォーブ大森林か……」


 街から出て結構歩いた。

 もう腕にヘトヘトな俺の目の前には、深い深い森が広がっていた。


(……よし!)


 俺はその森へ、足を踏み出した。



  ◇  ◇  ◇  ◇



「ウォフウォフ!!」

「フォーン!!」

「ワン!」


「ひいいいいあああ!!!!」


 現在、森を全速力(速力30)で走っている。


「ウォーーン!!」


 後方からは、犬が直立したような魔物──コボルトが追ってきている。数は3。依頼と丁度だ。

 森を歩いているとこいつらとばったり遭遇し、戦闘になったのだが……。


(こ、こわい! 怖すぎる! なんでこんなに殺意剥き出しなんだよ!)


 俺は手に持った木の棒で殴りかかってくるコボルトたちに恐怖し、情けなく逃走中な訳だ。

 そんなに動揺して、仮面はどうしたかって?

 ……どうせ誰とも会わないだろうと、歩いてる最中に取っちゃったよ……。


 そうこうしてる間にも、彼我の距離は縮まっていく。

 そりゃそうだろう。こちとら速力30の体力40。筋力に至っては10だぞ? なんかもう笑えてくる。

 だが──


(魔法関係と思われるステータスだけは高いんだなこれが!)


 魔法を使う為のMPが500。

 威力に関係されると思われる魔力は300。

 何に関係あるのか知らんが、知力100。


(やるしかない!)


 俺が今取れる選択肢は、逃げるor戦う。

 逃げたっていつか捕まるんだ。根性決めろ!


「ヴォン!!!」


 既に俺とコボルトの距離は、奴らが持ってる棒で届く距離まで縮まっていた。

 コボルトの一体が、大きく振りかぶって攻撃してきた──


「うおおお!!!!」


 俺はそれを避けるため、全力で前へ体を投げ出した。

 

「ぐっ!」


 視界が回る。木の根や枝の感触がローブ越しに伝わり痛い。


 眩む視界でコボルトたちの方を見ると、どうやら木の根に絡まれ体制を崩していた。

 今しかない!


 俺はローブの内ポケットから増長の仮面を取り出し装備する。


「…………フゥー」


 クリアだ。

 今までの余計な思考が一切無くなった。


 まず、自分に出来る事を考える。

 3対1という数的不利な状況で、貧弱なステータスも合わさり格闘戦は論外。

 俺に残された札は高い魔法関係のステータスと三つのスキルだ。


 『真眼』『重力魔法』『天の翼』である。

 この中で今の状況をどうにかするとしたら、重力魔法しかない。


 それに──重力魔法の威力は“知っている”。

 最初から、選択肢なんて無かったんだ。


「ウ、ウフォ……」


 コボルトたちが起き上がる。

 仲間を見て、武器を見て、俺を見る。


 体制を立て直したコボルトたちは一斉に俺の元へ突撃してきた。

 避けようにも、体力なんてもう無い。


(迎え撃ってやるよ──) 


 さて、重力という物に関しての俺の知識はかなり浅い。どれだけ浅いかと言うと、色々やるとブラックホールが出来る程度の知識しかない。後は漫画やアニメで重力係の能力者がやっていた技とかか。

 なんでこんな浅学の俺が重力魔法なんて持ってるのか疑問だが、まあいい。


 俺は向かってくるコボルトたちから意識を反らし、自分の内側──魔力へと意識を向ける。


(昨日はテーブルとか色々壊して超怒られたなぁ……)


 ──魔法はイメージだと、リルが言っていた。

 イメージをすれば、熱くない炎も、動物の形をした水も、命が宿った土塊も造れるそうだ。


 なら──


 俺はコボルトたちへ意識を向ける。もちろん、魔力にもだ。


(重力に対する詳しい知識なんか無い。でも、重力魔法なんだから──これくらい出来るよな?)


「潰れろ──『プレス』!」


 瞬間、コボルトたちはプレス機に押し潰されたようにぐちゃぐちゃになった。制御が甘いのか、周囲の地面まですこし陥没している。


「ふぅ……」


 一息ついた俺の耳に──


 経験値を入手しました!

 レベルアップしました!


 ファンファーレと共に、そんな声が聞こえてきた。



  ◇  ◇  ◇  ◇



 個体名:ルシア

 性別:女

 年齢:0

 種族:見習い天使

 Lv:5(↑4)

 


 HP    :150/150(↑50)

 MP   :200/600(↑100)

 筋力  :20(↑10)

 魔力  :500(↑200)

 体力  :60(↑20)

 速力  :45(↑15)

 知力  :180(↑80)



 ユニークスキル:天の翼Lv1 真眼(左) 重力魔法Lv2(↑1) 言語マスター


 スキル:MP回復Lv2(↑1) 


 加護:輪廻神の加護


 称号:異界からの転生者 苦難の道



 魔法系の伸びは良いが、それ以外がやっぱり酷いな。

 それにコボルトを倒すのにMPを300も使ったのか。俺の戦闘手段は魔法しか無いから、もっと節約しなきゃだな。


「て言うか、加護とか称号の詳しい情報は見れないのか?」


 そう言った瞬間、ステータスを表示しているボードの他に三枚のボードが現れた。




 加護:輪廻神の加護

 輪廻神より送られた加護。対象者へ応じてギフトを付与。レベルアップ時のステータス上昇率UP。

 ギフト『真眼』『重力魔法』


 Ps.ギフトと種族を選ばずに転生しちゃったから、私が適当に決めておいたわ。




「あ、やっぱり選べたんだ」


 ちなみに真眼と言うスキルは俺の左目にあり、その影響で目の色が金色になっている。

 つまり今の俺はオッドアイと言うわけだ。




 称号:異界からの転生者

 異なる世界からやってきた転生者へ送られる称号。

 ユニークスキル『言語マスター』獲得。獲得経験値2倍。




 言語マスターのおかげで俺がこの世界の文字を問題なく読めている事は知ってたが、この称号のおかげだったのか。どうやらこの世界で称号と言うのは、かなり重要らしい。

 それに経験値2倍ってかなりヤバイな。神様の加護と合わさると最強に見える。




 称号:苦難の道

 生まれた瞬間から苦難の道を歩む事が確定した者へ送られる称号。

 逆境時、全てのステータスが2倍。


 Ps.頑張れ!




「はああああああ!!??」


 生まれた瞬間から苦難の道が確定? ふざっけんな!

 これは十中八九、指名手配されているルネアの事だろう。


 俺は金髪白ワンピ白パンの輪廻神へ、心の底から叫んだ。


 なんでキャラクリ中に教えてくれなかったんだ、と。


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