20話
本日2話目の投稿となります。
劣種、下級種、中級種、上級種、属性種、王種、古代種と、竜種は様々な種類があり、上の種に行くほど個体数も少ない。
しかし、実は竜種にはもう一つ階級がある。
その名も、覇種。
その数は、王種や、それよりも少ない古代種よりも少ない。
──何せ、覇種の竜はこの世に一体しか存在しないのだから。
◇ ◇ ◇ ◇
ネギア草:草
磨り潰して患部に塗ると簡単な止血が出来る。
「へえ」
道に流れる適当な草に視線を合わせた私に、そんな情報が入ってくる。
ルミア草:草
ネギア草と酷似している。
磨り潰して患部に塗ると傷を一瞬で治し欠損部位すら接続する。
「はぁ!?」
「主……どうしたの?」
「い、いや……何でもない」
今のは気のせいだったんだろう。うん。
(いやはや、しかし神って言うのは本当に規格外だな)
私はステータスの称号の欄だけを開き、ある称号の詳細を表示した。
称号:叡智の取得者
知恵の果実を食した者に与えられる称号。
既存、新規のスキルを自動でLv5までレベルアップさせる。
知識を手に入れる。
レベルアップ時、知力の上昇に極大補正。
あり得ないくらいヤバい称号である。
私があの時食べたのが知恵の実で、異常なスキルのレベルアップはこれが原因だった。
つまりこれから私は新しいスキルを手に入れた瞬間Lv5の状態になり、更にロキの加護のおかげで私はスキルを覚え易いときた。
「チートだ……」
ここまで来ると笑うを通り越して真面目に頑張って生きてる人に申し訳なくなってくる気がしなくもない。
「でもまあ、苦難の道に巻き込まれる事が確定してる身だ。力はどれだけあってもいい」
正直今の私なら、上級程度片手で捻り潰せるんじゃないかってくらいだ。
「今回の依頼は、案外楽になるかもな──」
辺境行きへの馬車の中、私は小さくそう呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇
今更だが、私が今いる国の名をウラシオル王国と言う。
大陸の東側に位置する国で、比較的未開拓地との距離が近い国だ。
私が居るこの大陸には、大きく分けて二つの領域がある。
一つは人類領。もう一つは魔領だ。
人類領は大陸の三分の二を締めていて、大小様々な国がある。
そして残り三分の一は魔領──大陸の下側に広がる、大きな森の事を指す。
魔領に生息する魔物は人類領の魔物とは桁違いの強さを持っていて、熟練の冒険者でも簡単に命を落とすと言われている。
──その魔領にある火山に、火竜王は居るらしい。
故に、私たちは辺境を目指しているという訳だ。
辺境はウラシオル王国において魔領に一番近い領土であるが、その辺境からも魔領までは馬車で三日以上かかる。
更にそこから竜王の居る火山まで魔物に襲われながら行くと……。
「よくよく考えたら全然楽じゃないな。今すぐにでもこの依頼を破棄したいくらいだ」
《それは無理よ、マスター。神との契約を破れば、天界に住む天使たちが全てマスターの敵に回ってしまうわ》
「物騒すぎるな……」
と言うか、私は契約などした覚えはないのだが。いつの間にか契約されていたらしい。
……神の性格というものは、本当に歪んでる。
《ねえマスター。マスターは進化で私の能力を二つ開放したわよね? 使わないの?》
……あー、確かに私は超強化に伴って、『形態変化』と『白炎』の他にレーヴァテインの二つの能力を使えるようになった。
私はその大体の能力を把握しているが──
「使ってほしいのか?」
《もちろんよ!》
私の問いかけに、待ってましたと言わんばかりに応えるレーヴァテイン。
「四つ目はともかく、三つ目なら使ってもいいぞ? でも今は馬車に乗ってるから、辺境に着くまで我慢してくれ」
《う〜……分かったわよぉ》
拗ねてるのか、可愛いなあ。
「主、これ、見て」
と、隣で本を読んでいたヴィナがある項目を見せてくる。
『天使族』
神の使いと言われている種族で、高い魔法性能を誇る。
その変わり、筋力や体力、速力と言ったステータスが貧弱である。
個体数は全種族の中でも一ニを争う程少なく、非常に稀有な存在。
特徴:背から一対の純白の翼が生えている。天使族はその翼で魔力の精密な操作を行っていると考えられる。
「主の種族」
「おー、凄いな。私の種族だ」
先程からヴィナはこの本を熱心に読んでいたが、ヴィナが読んでいる本となるとあの作者の本しか思い浮かばない。
本の名前は──
『ヒューマンが最強!? 〜最強種族はどれだ〜』
……またこの作者か。
◇ ◇ ◇ ◇
「見えてきたな」
ギルフォーの街から出て四日目、私たちは辺境の街──ヴェルファードへやって来た。
護衛の冒険者が優秀だったのと、引いていた馬が魔物の血を引いている特別な馬だったらしく、予定よりかなり早く着いた。
「おお……」
馬車から見えるのは、今まで見たどの街よりも大きい外壁だ。
それは黒一色に染まっており、僅かながら魔力を感じる。
「そこの馬車、止まれ!」
同じく黒一色の大きな門の横に立っていた、これまた黒い鎧を身に着けた兵士たちがそう叫ぶ。
「いつもお疲れさんです」
「すまないなシャーリ殿。規則だ」
「いえいえ、お勤めご苦労さまです」
どうやら御者と門番は顔見知りのようだ。
何やら一言二言話すと、今度はこちらに向かってきた。
「身分を表せる物は?」
門番はちらりと私に視線を向けると、馬車に乗っている全員に対してそう言った。
馬車に乗っているのは、私とヴィナを覗いて6人と言う結構な人数である。
まあ、内4人が冒険者なのだが。
私と冒険者たちはギルドカードを見せて、ヴィナは奴隷の証である奴隷紋を見せた。
残りの2人は何やら木の板を出し、門番に見せている。
「よし、通っていいぞ。
ここはヴェルファード。魔領の近い、死の縁とも呼ばれる街──私たちは、お前らを歓迎しよう」
こうして私は、辺境の街ヴェルファードへ着いたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
現在、ヴェルファードの宿屋の一室。
「ふふっ、この姿で会うのは始めましてよね。マスター」
くるん、と白い髪に紅蓮の瞳をした小6くらいのアルビノの少女がご機嫌に回り、優雅に微笑んだ。
「ああ、初めまして。レーヴァテイン」
九つあるレーヴァテインの能力の内、三つ目の能力の名は、『人化』。
文字通り、人の姿になってレーヴァテインが自立行動を取れるようになる能力である。
「主……この子、誰……?」
私の体に半身を隠したヴィナが、警戒するような声を発した。
「彼女は私と契約している神器だ。レーヴァテイン、挨拶」
「初めまして、私はレーヴァテイン。マスターと契約したのは竜の襲撃の時──つまり、貴女よりも先になるのかしら?」
白いワンピースの裾を持ち上げ、どこかの令嬢かと思うような仕草でそう言った。
「そう」
ぎゅっ、と。何故か少し私のローブを掴む力が強くなった気がする。
「さあ、一階でご飯を食べたら寝るぞ。レーヴァテインはその姿でなら食べれるんだよな?」
「ええ。この姿でなら、私はマスターと同じ物を食べ、同じ事を感じ、同じ時を生きれるわ」
「よし、じゃあ皆で食べよう。その方が楽しい」
「……分かった」
……ヴィナ、どうしてレーヴァテインを睨んでるんだ?




