1話
リハビリの為に書いた物が結構続いたので投稿。
「転生させてあげる」
──少女は寝そべる俺に向かって、そう言った。
…………今俺ローアングルなんでめっちゃパンツ見えて──
◇ ◇ ◇ ◇
「嫌なの?」
どこから取り出したか、先程までは何も無かった空間から突如現れた白い椅子に座り、不機嫌そうに眉を寄せるのは、とても可愛い金髪白ワンピの女の子。
「いやぁ、嫌じゃないんですけど、転生の種類が……」
同じく白い椅子に座り一枚の紙を持っている俺は、どこにでも居る冴えない男子高校生だ。
「……何が嫌なのよ」
俺は再び、その紙へ視線を向ける。
『赤ん坊からのやり直しで楽々チートライフ!』
紙にはそう書かれていた。
「赤ん坊からって……成長するまで自分を保てる自身無いんですけど」
転生物の王道、赤ん坊転生。
赤ん坊へと転生をした主人公は赤ん坊時代にひたすらに魔力やスキルを鍛え、自由に動けるようになった時には最強──という転生である。
しかし俺は赤ん坊から自意識があるなんてとてもじゃないが耐えられない。
「チェンジ!」
「チェンジって……はぁ、じゃあこれは?」
そう言って神が渡してきた二枚目の紙には──
『貴族転生! 楽々内政チート!!! ※5〜7歳までに記憶が戻るため、安心して素早く内政チートが楽しめます』
と、書かれていた。
「チェンジ」
「なんでよっ!」
「いやだって、それまで過ごしてきた人格がある訳で? その人格を殺すのは無理。という訳でチェンジ」
ポイッと。紙を放り投げる。
「アンタねぇ……私は一応神なのだけれど……?」
「それは存じておりますとも神サマ。しかしワタクシの今後を決める転生ですので慎重に選びたい所存でございますなのであります」
「……チッ」
三枚目の紙が現れる。
『魔物転生! どんな魔物に生まれるかはお楽しみ!』
「チェェェェェェンジッ!!!」
◇ ◇ ◇ ◇
──色々な転生があった。
魔王転生、精霊転生、村人転生、無機物転生等々……。
しかし、どれもこれもダメだ。
「アンタ、どんな転生なら満足するのよ……」
「うーん……」
何故俺がここまでゴネているか。
それは──
「成長した姿が今みたいな冴えない顔だと、絶対に死にたくなる」
という、馬鹿みたいな理由である。
考えても見てほしい。
チートモリモリの最強超人
世界から恐れられる悪逆非道の魔王 (顔面崩壊)
人々に祝福をもたらす精霊 (ダークマター)
……嫌だろ? だから俺は納得出来る容姿が決められる転生方法が出てくるまでゴネるつもりだ。
俺の座右の銘は『1に顔、2に顔、34も顔で5にも顔』だ。
「という訳だ神様、キャラクリさせてほしい」
「最初からそう言いなさいよッッッ!!!!!」
はい、すいません。
◇ ◇ ◇ ◇
「これだ、これこそ俺が求めていた容姿……!!!」
俺の魂は歓喜に震えていた。
目の前に居るのは、今しがた神様と一緒にキャラクリを終えた俺の転生後の肉体がある。
「流石私ね、完璧な仕上がりだわ」
見れば、神様も満足している様子だった。
先程までのイライラした表情も無くなり、満面の笑みを浮かべている。
「ありがとう。これで心置きなく転生できる」
「いいのよ。迷える魂の願いを聞き入れるのも私の役目だもの」
何時間にも及ぶキャラクリで、俺と神様の間には深い絆が出来ていた。
そこには、キラキラと吸い込まれるような深い青の髪を持った──18才程度の美しい女の子が居た。