第3の戦い 「正義の怪人 キラー」
張手市を拠点にすることができなかった怪人団は、その後、遠く遠くの岩山を拠点とした。
そしてそのアジトで、いまキラーという怪人が逃げ出していた。
「怪人のお前が、なぜ正義を信じる?」
「俺は、お前の悪事を知った。俺は、あんたを許さない」
「キラー、小怪人のお前ごときが、俺様ダイドラゴに何ができる。」
そう、今キラーと話している幹部の名前はダイドラゴ。王が選んだ幹部の一人で、5人の幹部のうちの一人。
キラーは羽を広げた。キラーは手足こそ人間に見えるが、羽をはやして飛ぶ怪人だ。
「じゃあな! 今度会ったときは、おまえを倒せるほどになってやる」
「まてっ!」
「デンキブと、王に伝えろ!キラーが脱走した!」
幹部のダイドラゴは、怪人を作る幹部のデンキブと、怪人団を束ねる王に伝えるよう戦闘員に指示を出した。
ダイドラゴは戦闘隊長だ。小怪人と呼ばれる怪人の攻撃命令も彼が出している。
「カリアント、キラーを抹殺しろ! あとハゲオとかいうやつとは戦うな」
「イエッサー!」
ハゲオはそのころ、買い出しに出かけていたが、橋の上でキラーと対峙した。
怪人か。仕方ないなと俺は思って戦闘体形に入った。
「今度は何だ、怪人」
「俺はキラー。怪人団裏切ったものだ」
「なんだって? それは本当かい?」
「ハゲオというやつはお前か。怪人団を一緒に倒さないか?」
俺の答えはイエス一つだったが、その時、グリーンの声が聞こえた。
どうやら腕時計に憑依して俺と会話しているようだ。
「だまされるな。怪人団は卑怯な手を使う」
「信じてもらえないなら、仕方ない。ハゲオ、残念だ」
「ちょっと待て、俺はお前を信じてる」
「今のはお前の声じゃないが、お前も信用ならない」
俺はキラーがいきなり翼を広げて攻撃してきたので、かわしたと思ったら大きい鎌が飛んできて俺の右腕を切り裂いた。
「キラーと戦うのは、俺だ」
「お前はカリアント!」
どうやらほんとにキラーを倒しに来たらしい。
キラーはやっぱり怪人団を裏切ったのだろう。
カリアント、鎌を持ったアリ型の怪人だが、体は大きい。
巨大すぎるアリ、という感じだ。
「キラー、貴様は俺が倒す」
「キラーを守るぞ、ハゲオ!」
「わかった、グリーン。行くぞ!」
俺はカリアントに炎で攻撃しようとした瞬間、攻撃をかわされた。
「お前とは戦うな。俺の上司の命令だ」
「そうかい。しらねーよ!お前も人殺しになる怪人、許さん!」
「お前に許容されて何になる!」
「カリアント、お前じゃ俺を倒せん。見てろハゲオ! 俺の強さを」
「わかった、キラー」
キラーは翼を広げてカリアントを轢く。
そしてすかさずビームを放った。反撃のチャンスを与えない。
カリアントは、ぐはあ!と言って吹き飛んだ。
カリアントは何とか鉄橋の上に着地したが、疲労して腰を下ろす。
「落ちぶれたな、カリアント」
「キラー、お前なんかにやられてたまるか!」
「無駄なあがきだ」
キラーは、カリアントが鎌で至近距離に近づき攻撃したすきに、ビームを放った。
すると橋の鉄橋にカリアントが押されてひびが入り、爆発した。
「強いな、キラー」
「俺はほかの小怪人と違うものがある。正義の心だ」
「ああ、正義は勝つ!そうだろ、グリーン?」
グリーンに聞いた質問だが、別の人が回答した。
遠くから声が聞こえた。
「悪だって、負けてばかりじゃないんだよ!」
その声の正体は橋の奥に立っていた男の声。
その男こそ、怪人団幹部のダイドラゴだった。
「ハゲオ、勝負だ」
「ハゲオ、やめておけ、奴からとんでもないパワーを感じる」
「お前も強いらしいが無理だ」
キラーもグリーンも俺に止めをかけた。
しかし俺はもう動いていた。
「怪人騒ぎの根源、お前は許さない」
「来い、ハゲオ!」
俺は先手必勝ということで、電光石火の勢いで挑んだ。
ダイドラゴ、お前は許せない。
俺の家もそうだが、張手市のみんなの笑顔を奪い、
隣町のみんなを粉々に殺し、
そして、正義の心を闇に消そうとする心、
それらが絶対に許せなかった。
「はっ!」
「効かんなあ。ちょっとかゆいかな?」
「なんだと?」
「虫に刺された時より弱い!今度はこっちから行くぞ、ハゲ!」
ダイドラゴは全身全霊を込めてエネルギーをため、俺に放った。
『竜乃激砲輪! ≪ドラゴンライジングバズーカ!≫ 』
「うわあああああああああああああ」
俺は叫んだ。死ぬ。痛い。燃える。俺の体がなんか変な感じで燃える。
なんとか炎の力でたえたが、疲れた。
「負けられない! 正義は勝つ!」
「ほざけ!」
ダイドラゴと戦うには、これしかないと思って、俺はフェニックスを呼んだ。
「いくぞ!ハゲオ!」
「ふん、鳥が増えたか」
俺はハゲソードに炎をためてついにダイドラゴに切りかかった。
一か八かにかけたのだ。
フェニックス、炎を吐け!と心で思う。
俺とフェニックスは以心伝心。
フェニックスの炎をダイドラゴの周りに放てと思った。
「こんな炎、なに!? なんで当たらない!」
「ダイドラゴ、貴様は甘い」
フェニックスがそういうと、ダイドラゴは上を向いた。
『炎の一撃!』
炎の一撃を精一杯ダイドラゴに切りつけた。
ハゲオの力すべてをその一瞬に込めた。
「やったか?」
炎が消えた時、ダイドラゴの姿はもうそこにはなかった。
ダイドラゴの死体や破片はなかった。
逃げたようだ。
「大丈夫か、ハゲオ」
「ああ、キラー。お前すごいや」
「そういうハゲオこそ、ダイドラゴとあんな戦えるなんて」
「いや、まだまだだ。怪人団はもっと強いからな。強くなる」
「俺も怪人団と戦うからな、一緒に鍛えるぞ、ハゲオ」
「ああ。もちろん!」
俺とキラーは夕日をバックに握手して、ズノウ研究所に帰った。
キラーはズノウの許可で、一緒に住むことになった。
そして、逃げたダイドラゴも、かなりダメージを追って王のもとに帰った。
王は、怒った。
ハゲオと弱い幹部たちに。
怪人団は、幹部を5人全員終結させることにした。
怪人団もハゲオも強くなっていき、ヒートアップするこの戦いを陰から見る者がいた。
「ハゲオ、キラーか。怪人団とは俺も戦う宿命だからな」
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