第七十七話 大の依頼内容
「で。行くかい? お父さん?」
《御霊特急》の中。
烈が凛に、そう声をかけられた。
一歩、ただ、一歩。
足を外に踏み出すだけでいい。
「本当に。マサルはこっちに来ているのか?」
真剣な表情を浮かべる烈。
「疑り深くなったもんだなァ~~手前は」
そんな彼に、苦笑を浮かべる凛へ、
「私の大事な息子の話しなら尚のことーー疑り深くなるのも仕方ないよねー」
保が、凛の頭を平手で叩く。
「っだーっはっはっは‼ そりゃあなァ‼」
「痛い! おい! 痛いっつ~~の!」
激しく足をバタつかせる凛。
「父親って生き物はそういうもんだわな。だがなァ、烈坊や」
すう。
っぷ、ふぁー~~……。
「人生は理不尽にも、運命に振り回されるもんなんだわ」
目を細めながら保が、烈に、小さく漏らした。
烈も足を組み、絡ませた手を中に置き。
少し弄わせながら、小さく吐き捨てた。
「--……嫌なものだねー」
◆
あてがあるかのように突っ走って行く。
出口は、そんな彼をサポートするかのように、現れる巨人を弓で射抜く。
「っしゅ!」
バシュ!
「った、っくよォおおっっ!」
出口が忌々しいと言った口調で、吐き出した。
「おい! マサル! マサル!」
そして、マサルに問いかけても。
マサルは一点だけを見ていた。
--コッチダヨ。コッチダヨ。
視ている光景はーー《遺跡》の中の《遺跡》
それに変わりはないが。
引っ張れる感覚だ。
呼ばれているから行くという感覚ではない。
「誰なんだよ! 俺を呼ぶのは!」
額に浮かぶ汗を、手で振り払うマサルを、
「!? う、ああ!」
「ちびっ子なんだから、大変だろう? 走るのは」
出口が肩に背負い込んだ。
荒く息継ぎをしながら、
「背負いたいってんなら、いいけど」
マサルも、悪態を吐いた。
「ぬかせ! くそガキが!」
それに、出口も吐き捨てると、
「「っぷ、ふぁ」」
二人は高笑いをした。
その様子に、
「キモイよ。出口、キモイよ?」
愛も吐き捨てながら、微笑むと。
「てか。マサルも、きちんと案内しやがれ!」
叱咤の声を浴びせた。
「こちとら、全員のパーティの命を預けてんだぜェ?!」
ぶる。
ぶるる!
「頼むぜ! くそガキちゃんよォ!」
◆
窓に手をつけ、外を見た。
そこは懐かしくも、大と駆けた大地。
「私が行ってなんの役に立つかなとも、思っています」
「ま。そうなるわなwwww」
凛が噴き出した。
「それは俺も分かるぜwwww」
「恐らく、だけど。奥さんが仕掛けたこともある気がするんですが?」
横目で凛を、保を見ながら、
「気のせいですか?」
「さてね。そいつァ、言えねェってなもんだ」
保が、煙草の煙を辺りに噴き出す。
「たとえそれがーー身内だとしてもさ」
「! ……なら、奥さんの方法で、やればいいじゃないですか」
「そいつも、まァ……なんだ。俺が嫌なんだよ」
「保さん?」
きょとんとしてしまった烈に、保も続けた。
「俺だって。見たくないもんってのがあんだよ」
すぅ。
ぷ、っはァー~~っっ!
その言葉の意味が、烈には分からないが。
目を横に反らした保の顔から、視線を外すことが出来なかった。




