第七十五話 戻って来た男
「うん。なんか生きてるっぽい」
ミウが頷いて、そう言い漏らした。
それにマサルが、
「っぽいってのはなんなんだよ! ぽいってのは!」
ミウに聞き返した。
「それだけでも分かっただけいいじゃないのさ~」
面倒といった表情をするミウに、マサルも眉間にしわをよせる。
(おかした二人ね。性格も真逆なのに……)
そんなミウとマサルを見ているマーニー。
胸中に、真っ黒いものが溢れるのを感じていた。
ずきずき、と痛んでいた。
「お前らいい加減になさい。早く、前に進みましょう」
そう言い放つマーニーに、マサルも。
「そうだ! 前に進もうぜ!」
強く頷いて、足を前に踏み出した、が。
「ちょっと、待ちなよ! マサル」
ミウが、それを制止させる。
「あんだよ!」
「歩いて行く気かい? マサルってば~~」
「?? じゃあ、どうやって行くってんだよ! ポンコツ」
「僕を誰だって思ってんのかな~~?? 僕は天才魔術師ミウ様だよ!」
平らな胸を突き出し、ふんぞり返るミウに、
「んじゃ。とっととしろよ、好き放題してくれたんだからな!」
マサルが、忌々しいといった口調で、言い返した。
「仕方ないなぁ~~」
(あとで、貰えばいいか♥)
満面の笑顔で頷くミウに、マサルは鳥肌を立たせながら。
身震いをさせた。
ブルルッッ‼
◆
「だから言ったじゃねェかよ」
「ぅ、っせ~~よ。タコが」
「タコは手前だよ。姉さん」
愛をしょい込みながら出口が奔っていた。
ガーナと、アデルもだ。
「メゴ。宝はあるんだよ! 本当なんだ!」
ガーナは紙を見ながら、案内をしていた。
「はいはい。分かった、分かったから」
「もー~~絶対、信じてなぁ~~い‼」
「いい加減にして。ガーナ」
「……はい」
しゅんとしてしまうガーナの前に、魔法陣が浮き上がった。
「ガーナ! 危ないッッ!」
「へ??」
アデルが腰の布を引っ張り、ガーナの身体を引いた。
「なんだよ。これは!」
「魔法陣だな」
「それぐらいは分かるっつ~~の!」
愛と出口が言い合う。
「そら、出て来るぜ?」
「っく! 今度はなんだって言うんだよ!」
出口が弓を持った。
「よっと!」
「あ。愛!」
愛も出口から離れた。
「邪魔だろ? お荷物になりたかねェんだよ」
ウインクでそう言った愛に、
「お荷物なんじゃねェよ」
ヴォン!
「--一撃で仕留める!」
弓を構え矢の標準を合わせる。
弦を引いたところで。
「出口サン?!」
「‼ ぉおおう!? ままま、マサルなのか?! マサル‼」
弓を消し出口がマサルへと駆けた。
「ははは……はい」
「よく帰って来たな!」
「はい」
前から強く、一際強い力で出口がマサルを抱き締めた。
その様子に。
「僕のマサルから離れてくれますぅ~~??」
ミウが引きはがした。
「手前は自称天才魔術師のポンコツ!」
「ポンコツなんかじゃないし!」
「お、おい。ミウ、出口サン」
いがみ合う二人を困った様子でマサルが見ていた。
そんなマサルをアデルが見ていた。
(靄、収まったみたいね)
一人、安堵を息を漏らすのだった。




