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ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第二章 
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第六十五話 マサルとマーニーの逃亡

「都築!? 都築っっ?!」


 それは一瞬のことだった。

 トイレに行きたいというマサルを案内し、目を離した隙をついて。

 マサルは、マーニーと一緒に逃亡を図った。

「ああ! 都築! 都築ッッ‼」

 慌てるグレダラスの悲鳴に、

ワリィな。グレダラス!」

「マサルー~~!」

「走れ! マーニー‼」

「もうー~~‼」

 マサルは振り返ることをせずに、マーニーの手を掴んで突き進んだ。

 しかし。

 案の定のこと。


「っこ、ここは……一体、どこ、でしょうかね?」

「もうー~~僕が知るわけないじゃないかー~~!」


 迷子になってしまう。

 ボゾロイ家の屋敷は鉄壁の要塞でもある。

 魔術師ダンブアには敵が多い。

 そのための【護り】だ。

 

「普通は! 普通はだよ?! もっと計画性があってからの脱走なんだよ!?」

「う゛」

「マサルみたいな無計画だと、みんな、死んじゃうよ‼」

「ぅ、うう゛ぅ゛……」



 マサルは左右を確認するも、どうにもならない。

 そして、助けてくれる仲間もいない。

 --いない?

 ここで、マサルは屋敷の中の唯一の仲間を思い出した。


「ポンコツ……ポンコツ! ポンコツ!?」

「--ああ」

「ポンコツ!」

「しつこい。いいたいことは分かるよ。君のね」

「ポンコツ!」

「しつこい!」


 ミウだ。

 この屋敷の令嬢でもあるミウの存在を思い出した。

 ただ。

 どこにいるのかが分からない。

「なぁ。マーニー~~」

「……はァ。分かったよ、やってみるよ」

「! マーニー‼」


 ぎゅうう!


「ひぇ?!」


 むぎゅゆぅ~~!


「ふぁわわわ! っへ」

「さ。いっちょーー」


「変態ぃいい‼」


「え゛?」


 顔の前にマーニーの拳が振りかざされていた。

 そして。


「----ッッ‼??」


 マサルはノックダウンしてしまう。

「! あぁああ、ままま、マサル?!」

 落着きを取り戻したときには、すでに、遅かった。


 ◆


 --厄介ナコトニナッタナ。オ前ノセイデダ。ミュウ。


 --魔術師ダンブア、デスカ。


 ミュウとダカタが、状況を見守っていた。

 いや。

 見守るというよりも監視に近い。

 二人は、この屋敷に入ることが出来なかった。

 それだけ、ダンブアの魔力が強いことが確かで。

 無理に解くことも、ままならない。


 だから、ダカタが【厄介】だと息巻いたわけだ。

 一方のミュウはといえば。

 

(--コレデ少シハ、時間ニ余裕ガ出来マスネ)


 一歩、冷静に状況を伺っていた。

 そんな彼女の様子に。


 --ミュウ。オ前モツマラナイダロウ?


 ダカタが聞いた。

 それに、ミュウも合わせるように。


 --ソウデスネ。ダカタ。


 感情を押し殺しながら告げた。

 内心は。

 二人の逃亡劇に、喜々として息巻いていたりした。


 そこに。


 --はい。ミュウお嬢さん?


(--!? コノ声ハ??)


 出口が語り掛けてきた。

 ミュウは驚きを隠せなかった。

 慌ててダカタを伺う。


 --ナニカ、声ガ聞コエマセンカ。ダカタ。

 --イヤ。ドウカシタノカイ? ミュウ。

 --イエ。気ノセイノヨウデス。


 安堵の息を吐きミュウは、


(--ナニガ望ミデスカ? 貴方ハ)


 キツイ口調で、出口に聞いた。

 それに、出口もいい返した。


 --俺? 俺の望みはさ……。


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