表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第二章 
64/85

第六十四話 帰りたい。

「なんじゃ。ボンタコタレスのご令嬢も一緒とはな」


 マサルを抱きかかえたマーニーにそういう人物。

 彼こそがミウの父親にして、偉大なる魔術師ダンブアである。

 白い顎鬚は足元まであり、赤いリボンで全体を縛っている。

 白くも質の多い紙も、赤く部分的に染められ、後ろで一括りに縛られていた。

 赤いリボンに。

 頭の上にも赤く、丸い帽子が控えめにあり、服も赤黒いものだった。


 魔術師業界での彼を指してーー《赦の魔術師》と呼んだ。


「……貴方がいるということは、ここは」


 《ボゾロイ》の屋敷である。


「召喚、したということ? 僕たちを」

「僕たちを? 勘違いするでない。呼んだのはーーお主の胸元にる男をだ」

「?! マサルを?? 一体、どうしてですか」

「その男が。この世界の規律、いや。なにもかもを破滅させるのだ。よって、ここに呼んだまでの話しじゃ。マーニー嬢」


「なんの、話しですか? 話しが、見えません」


 マーニーは強く、マサルの身体を抱きかかえた。

 しかし。

 徐々に、しかし確実に。


 マサルの身体が、靄に変わっていっている。


「……ダンブア様は。ダンブア様は……ご存じ、なのでしょうか?」

「なんじゃ。お主、知らんのか」

「姉のメイレーに聞く前に、ここに召喚されてしまったので」


「ならば。知らずともよい」


 冷淡に吐き捨てるダンブアに、マーニーが、

「知らねばなりません! マサルは、マサルは!」

 声を強張らせながら、いい返した。

「もう、帰られよ。マーニー嬢」


 ダンブアが手を伸ばし、魔法陣を浮かばせた。


「お待ちください。お館様」


 そこにグレダラスが、口添えをした。

「恐れ多くも。都築が目覚めたときに、人質として置いておいた方がよろしいかと思います」

 ダンブアも、目を泳がせ。

 手を握り収めた。

「それもそうじゃのぅ。ふむ」

「口を挟み申し訳ございません」

「よい。気にするでない」

「はっ!」


 マーニーも、小さく息を吐いた。

 どんな形であれ。

(人質でもいいわ)

 マサルの傍にいられる。

 

(お姉さまが。きっと、来る!)


 ◆


まさるちゃんーもー帰ろうよー』


 声を震わせていう烈に、彼女が。

『まだだ。まだだよ。ボクには、まだしなければならないことがある』

『……--あの子、のこと?』

『ああ。そうだよ、烈』


 烈は宙に浮く靄を睨んだ。

 靄は、すすす、と大の方に動いた。

『烈~~睨んじゃダメだよ。怖がっているじゃないか』

『……』

『大事な試験体だよ。未来を感じるよ』

 手を挙げると、靄がまとわりついた。

『ああ。本当に、この異世界に召喚されてよかった』


 ◆


「!?」


 マサルが目を覚ますと。

「ここは……??」

「都築! ああ、都築‼」

「グレ、ダラス?」


 抱き着くグレダラスに、マサルは夢心地に見ていた。

 とても、懐かしい声だった。

 あれは、一体誰だったのか。

 マサルは思い出せない、ものの。


「ふぁー~~」


 グレダラスの肩に、マサルは顔を埋めた。

「!? つ、つつつ、都築??」

 だらしない顔で、鼻血を垂らすグレダラス。


「俺。帰りたいよ」


 短く漏らすマサルに、

「いや。それはーー無理だろうな」

 グレダラスも、短く答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ