第六十二話 過去の根源
「お父様。何か僕に御用でしょうか?」
ミウが作り笑いを父親であり、偉大なる魔術師ダンブアに聞いた。
顎から伸びた地面につく白髭を、赤いリボンで縛っている。
顔は険しい。
「貴様。何を呼び出したのじゃ! 貴様を、一体何を召還したのじゃアアア‼」
深く腰かけていた椅子から勢いよく立ち上がった。
右手には、使い古された杖が握られている。
その先端が、ミウに向けられていた。
「一体!」
ビッ!
「何をっ‼」
ッビ、ッビ‼
「召喚しおったと言うのじゃアアアァアアァ゛ッッ‼」
ドォオオンンンッッ‼
激しい激情からの激しい魔法術を。
「何、って!」
ミウも自身の杖で魔法陣を浮かばせ。
弾いていく。
「言われてもッ!」
遠い距離から、お互いが睨み合い。
言い合う。
「僕が呼び出したのは‼」
「何じゃあァアアッッ‼」
それをグレダラスが見守っていた。
間に入ることをせず。
目を伏せていた。
そして。
(ミウお嬢様。そう、呼び出したのは……)
彼を思い出していた。
(……都築マサル)
思い出してほくそくんでしまい。
慌ててきゅ、と閉じた。
「その者を召還せよ! 今すぐにじゃアァアアアッッ‼」
「出来ないよ! 出来るなら、とっくに呼んでるさ! 僕だって‼」
ひゅっ!
「僕だって! マサルに会いたいさ!」
ひゅ、っひゅ‼
「お父様には! 分からないでしょうけどねッッ‼」
ビュッッ‼‼
力強い足取りで、ミウは踏み込み。
魔法陣からダンブオに挑んだ。
「くッ……--ぬ!」
「誰一人として愛していない! 愛せない‼」
杖の先の魔法陣が二重に広がった。
「お父様には! 分からないでしょーー」
パン!
「?? ぇ……????」
あまりの衝撃に、ミウの目が丸くなった。
頬に伝う痛みに、手を添えた。
「グレ、ダラス……??」
「口を謹んで下さい。ミウお嬢様」
「っんで! なんでだよ‼」
「お館様への侮辱は赦しません」
ぼろ。
ボロボローー……。
「ぅうう……う゛~~ッッ‼」
ミウの足が膝から折れ、地面に腰を据えた。
「お館様に敬意を払って下さい。ミウお嬢様」
「よい。グレダラス」
「はッ!」
深々とお辞儀をするグレダラス。
「さて。ミウ、貴様には味方が居るとは思うな。この屋敷、誰一人としてな」
涙を流すミウ。
そんな彼女に、
「さ。召喚をしろォオオッッ‼ その《使い魔》を!」
ダンブアがミウのポニーテールを鷲掴みにし、顔を上に向けさせた。
ミウは、そんな父親を睨んだ。
「……嫌な目をする。あの者に、そっくりじゃ!」




