第五十八話 入江出口とミウの密会
怪訝な顔で都築が目を覚ました。
ごろんと寝返りを打とうとしたが。
「マサル。起きなさい」
それはアデルによって妨げられれしまう。
「いやだ。眠い」
「起きたくないの? いいけど」
低い、含みのある言い方に。
(やな、予感が……すんな)
起きようとするも上に、アデルが乗っかって来た。
ずっしーーん!
「っぎゃ! 重ッッ!」
その言葉に、アデルも。
「重くない、平均体重よ」
「お、俺よか重いのは確実だろうが!」
「女の子にひどいいいようね」
「あ」
都築も、思わず口を噤んでしまう。
「……つか。他の奴らは? 買い物か、なんかなのか?」
話しを反らすかのように、都築は起き上がってアデルに確認した。
「《遺跡》を探索に行ったわ。ガーナと愛は」
都築の目が丸くなってしまう。
同時に、怒りが込み上がってきた。
「っは、ぁああ?!」
寝ている間に、ハブかれてしまったことに。
アデルは淡々と続けていう。
「入江は分からないわ。どうでもいいけど」
「よくない! それが、一番危険だぞ?!」
「? どこがかしら?」
「お前はーー入江出口を、見くびってるぞ」
都築の知る入江出口は、掴みどころがない分。
裏工作をする天才だった。
それを叱るのが小林 理生人主任と、五十嵐 冬生チーフだった。
都築は、その様子をみんないなくなるまで近くから見ていた。
「それに。あの人はーー江頭保主任のお気に入りだった」
近くにいるのに、全く、姿も形も。
都築は捉えることが出来なかったーーただ一人の人物。
それが江頭保だ。
「?? 誰の話しをしているの? マサル」
「いや。うん、それは置いといてだ。なんだって、俺はハブかれたんだよ!」
「起こしたのに。行かない! て大声で叫んだからよ」
事実に、都築の目が泳いだ。
「《暴探者》を生業としている以上。目の前に、噂であっても《遺跡》には向かうわよ。彼女もプロよ、心配はしなくてもいいのよ」
アデルは両手を都築の頬に添えた。
「それとも。おれと、一緒と残ったのがいやなの?」
少し、怪訝に眉を下げ、都築に問いかけた。
小さな唇を噛み締めながら。
「ごめん。そんなつもりでいったんじゃないんだ。アデル」
狼狽える都築に、
「うん」
アデルは項垂れながら、小さく答えた。
(やばい。おおお、俺ってば、こんな小さい女の子に、なんっつーことを!)
都築の頭の中が混乱ってしまう。
「おおお、俺たちも! そうだよ! 俺たちも《遺跡》の情報を集めようぜ!」
◆
「ミウ。用ってはなんだよ? くだらねェことだったら、分かってんだろうなァ?」
そこは洞窟の中。
ボゾロイの屋敷、敷地にあるーー《ホロスカ遺跡》
都築が召喚された、あの場所だ。
入江は、そこに呼び出されていた。
「口が悪い男だな。君は」
グレダラスが舌打ちし、吐き捨てた。
「育ちが悪いもんでね! けっ!」
弓を肩に担いでいるのは、警戒してのことだ。
攻撃すれば、こちらも応戦するぞというーーサインだ。
「不作法な男め」
苛立った口調のグレダラスに、
「こらこら★ 客人になんて口の聞き方だい? グレダラス」
ミウが諫めた。
「! はい、申し訳ありません‼ お嬢様!」
起立し、真っ直ぐ一礼をするグレダラス。
「謝んの、俺じゃねェのかァ?? 執事さんよォ~~」
キッ! と入江を睨むと。
「シツレイシマシタ!」
棒読みで言い返した。
「ま。いいけどな」




