第五十四話 vs酔っ払い
《兎参茶》が進むと、辺りが、陽気になっていく。
都築は、気持ち悪くなり席を外した。
「っき、もち……悪い」
顔面蒼白になりながら、ふらふらっと。
口元を、手で覆い。
「そ、と……行こう」
少し、意識も白濁したのか、都築の足元がふらついてしまう。
それによって。
コケッ!
「--~~ッッ?!」
都築は、身体のバランスを崩してしまう。
「!」
どうしょうもなくなり、目を閉じた都築の耳に、彼女の声が届いた。
とても、ぶっきらぼうな声が。
「お前、弱いんだな。あんな少量しか飲んでいないのに」
その声の主はーーゲー・チー・ウーの愛娘のロバだ。
都築の、後ろに縛った髪の束を掴んでいた。
「意外と、いい毛並みだな」
ロバは指先で、紙の束をなぞった。
しかし、ずっと髪で、身体を支えられている都築は、
「く、くび……痛い」
「ああ。ごめん」
ぱっ、と離された都築の身体は、また、前のめりに倒れてしまい。
ロバが、脇に腕を差し込み抱きかかえた。
「か弱いな。お前は、どっかのお姫さんか、なんかなのか??」
呆れたとばかりに、ロバは都築に、そう尋ねた。
しかし。
都築は、酔いが回っていて、それどころではない。
視界も、頭もぐるぐる、と。
「ぎもぢ、悪、い」
「全く。手間がかかる子供だな」
「ど、ども……じゃ、なーー」
ようやく、都築は言い返すも。
意識を、失ってしまう。
◆
「何か、悲しい夢でも、見ていたのか?」
都築の目に、ロバの顔がアップされた。
白い指先が、都築の目尻に触れた。
「涙」
濡れた指先が、映し出された。
慌てて顔を下げると。
「っひゃ、ん!」
ぷにょ。
「ひゃ゛!」
ぷにょにょ。
「胸!?」
勢いよく都築は、起き上がった。
意識を失った都築を、ロバは店のカウンターに運び、自身の膝の上に乗せ、寝かせていた。
そして、またしても都築はバランスを崩してしまう。
「の、ぉあ!?」
「お前は!」
ロバは両腕を伸ばし、都築の身体を掴んで、抱き寄せた。
「あ、りがと……」
幾度となく助けてくれたロバに、都築も感謝を言う。
頬を朱に染めて。
「感謝を言う必要はない。子供は、甘えればいいんだから」
「子供ってにはどこに居るんでしょう? ねぇ、都築」
そこに、少し酔った表情をしたグレダラスが、やって来た。
ロバは、都築を胸に強く抱きかかえた。
「酔っ払いに要はない。消えろ」
「いいから。都築を、私に渡しなさい」
グレダラスが伸ばした腕を、ロバが手で弾く。
「消えろ」
「君が、ね」
ロバと、グレダラスが睨み合う。
都築は、目を白黒させていた。
「何、この……じょ、きょおぉは??」




