表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第一章   
52/85

第五十二話 ゲー・チー・ウー

 カラン、カララン♪


「居るかぁ?! ゲー・チー・ウー‼」 

 細い路地を通り。

 さらに、細い路地を通り。

 辿り着いたーー大きな建物。


「はぁ?!」


 信じられないものを見た、都築は驚きの声を漏らした。

「どうやったら、こんなとこに。こんな……こんな」

「ふむ。魔術か、魔法か何かで空間を歪めているんだろう」


「その通りさ! お兄さん、勘が鋭いじゃないか!」


 ぴょこ!

 

 グレダラスの背後に立ち、都築の背中に手を添えた。

「っひ、ぃ‼」

「止めろ! 変態ですか?!」

「酷いなぁ」


 そこには、褐色の肌に、長い黒耳。

 三角巾を頭に巻いた青年が出て来た。

 彼が、ここ《陽の館》の店主のゲー・チー・ウーだ。

「テンション下がっちゃう~~」

 ひょい、と都築をグレダラスから奪い。

「っな、何??」

「君、珍しいな」

 顔を近づけ、虫眼鏡で覗いていた。


「何、が??」


「え? 何ってーー」

「いいから! ゲー・チー・ウー! なんか情報ないの?!」

 何かを言いかけたゲー・チー・ウーの言葉を、ガーナは遮った。

 武器を売る片手で、情報屋も営んでいるゲー・チー・ウー。

「今、さっき《銀の教団》に接触したとかかな??」

 薄く微笑む彼に、都築は息を飲む。

 ただならぬ気配を感じたからだ。


「何? なんの話しだよ??」


「いやいや。なんでもないよ♥」


 両手はなんカラットあるかもしれない指輪が、両手に嵌められていた。

 キラキラ、と輝く指輪に、都築は目がいってしまう。

(きれ~~)


 都築が気に入ったのは、左手中指に嵌められたシンプルな指輪だった。

 宝石はーー《蒼き英雄の咆哮》

 ゲー・チー・ウーは、それを抜くと。

「さて、どうなるかな??」

「っへ?」

 都築の薬指に嵌めた。

「指輪は人を選ぶからね♥」

 すると。


 閃光が奔った。


「ぅ、お、ぉいいい?!」


 都築の身体も、浮かぶ上がり。

 くるくる、と回り始めた。

 

 ぽん!


 ぽぽん!


 花火も、どこからともなく上がる。

「っつ、都築!? 大丈夫か?!」

「ぁ、ああ。大丈夫だ、けどよ」


「いいなぁ。あたしにも頂戴よ。指輪」

「ダメダメ。君には使う力量がないもん」

「あんたなんか嫌いだ」


「なんとでも♪」


 そして、見上げる宙に浮く都築。


「本当に、毛色の変わった子だね。ミュウ」

 ほくそくみながら、ゲー・チー・ウーが手を伸ばすと。

 都築の周りに浮いていた、花火が吸い込まれた。

「お、おぉうう??」

 都築は、自身のお腹に手をやり触る。

 痛みも、火傷もない。


 指に嵌めたはずのーー指輪もだった。


「《祝福》完了っと♪」


 訳の分からないゲー・チー・ウーに。

「いいから! とっとと、下ろせよ‼」

 大きく牙を剥いた。


「了~~解っと♪」


 手を引くと都築の身体が落下した。

「っぎゃ!」

 それをグレダラスがキャッチする。


「ふぅ。危ない」

「ありがと」

 グレダラスの胸に顔を置く都築に。

 茹蛸のようになってしまう。

 腕を組みガーナは横目で見ていた。


「いちゃいちゃしないでよね」


 口元を緩めながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ