表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                            プロローグ
5/85

第五話 ファースト・ジョンズ

 都築はミウから半端、奪うような形で。

 《》を手に入れた。

 それはグローブ状で、はめることにより。

 脳と連携し、使いたい形状になるといった便利 アイテムだ。

 都築は背骨が伸びた。

 皮膚も一緒に。

 そう蝙蝠のような羽根が出来たわけだ。


 バサ!


 バサバサーー……。


「ぉ、おおう!? っちょ、ぅおおお‼」

 勢いの調整までは出来ずに、一直線にアデルを追いかけ、抜かしてしまう。

 あまりのことにアデルも、口をあんぐりさせ、都築の背中を見送った。


 バサバサ!


 ギュイイイイイインン‼


 そう風圧に、都築の顔の肉も、大きく揺らぎ、震えていた。

 抑制することも出来ずに、突っ込んで行く都築。

 徐々に、近づく建造物。


 ぶつかると、思ったとき。


 シュルルッッ。

 突然、羽根が元の背骨に戻ってしまった。

 突然の幕切れに、

「あ゛??」

 あっけにとられた表情をする都築だったが。

 身体はそのまま、建造物に顔面から行ってしまう。


「ぅ、お゛?!」


 都築は手を伸ばし、建造物の距離をつくろうとしたが。

「っふぅ、ぉお゛お゛ッッ!?」

 その前に、建造物の一つ手前にあった掘に落っこちてしまう。


 ぼ、っちゃーーーーん‼‼


 ブクブクブク。


 ◆


「おい。手前!」

 ジャラジャラ! と辺りにけたたましい音が鳴り響く。

 ここはゲームセンターのメダルゲームコーナーだ。

 そこでは大人が、日頃の鬱憤や、娯楽で家族が来る。

 ただ。


 その間、子供はーー放置されがちだ。


「何?」


 都築マサルも、そんな子供だった。

「今日、平日だぞ! 学校は?! 親はどこだ??」

 気がついたらここに居て、居ることが普通で。

 どのスタッフも、都築のことなど気にせずーー見もしなかった。


 しかし。


 一人の新米スタッフが、彼に声をかけた。


「注意すんぞ! 最悪、出禁も言うかんな!」

「何もしていないのに、そんなことは出来ないでしょ」

 冷淡に都築も切り返すのに対し、

「馬鹿か!?」

 そう新人スタッフが、声を荒げた。

 小学高学年の都築に。


「何もしないことが、ダメなんじゃねェかよ!」


 彼は眉間にしわを寄せ、

「大人は子供のためによォ、すんのか当然なんだぜ?」

 都築の頭を優しく撫ぜた。

「さ。親んとこ、案内しな」


 その後、親に言ったが、改善もされず。

 彼が高校生になるまで、新人スタッフの、彼が相手をしていた。

 新店舗に異動するまで。


 それが縁で、憧れてか。


 都築もゲームセンターの店員になっていた。


 ◆


 ブクブクブクブクーー……。


「っぶぁ゛!」

 都築が掘から、身体を起き上がらせた。

「づ、づめてェ~~!」

 慌てて地面に上がる。

 水は冷たく、都築の身体が震えた。


「《オーブン・チン》!」


 ミウがそう唱えると、都築の身体が、見る見ると、温まっていく。

「! お、ポンコツにしちゃあ、気が利くんじゃねェの?」

 っふ、と都築がミウに、はにかんだ。

 思いがけない笑顔に、ミウの顔が赤く染まっていく。

「ん、ふふふぅ~~♪ っで、っしょ~~う♪」


「で、ここがーーここに……」


 都築の視界に広がるのは地中の《ジョンズ


「……帰り道あんだろうなァ?!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ