第四十九話 《銀の教団》
「いらっしゃいませ~~!」
カラン、カララン‼
ここはーー《星屑の野菜》なる街の酒場。
丸テーブルを囲う形で、アネリにグレダラスが座っていた。
「おい。グレダラス」
都築はグレダラスの膝の上に、収められていた。
不服そうに睨む都築に、彼も睨み返す。
「そんなことよりも。この獣の女は?」
「! ぇ、え?? ぁ、あの……」
「アネリつってんじゃん」
「そうじゃない。君との関係を私は聞いているんだ」
グレダラスは都築の頭部を、優しく叩く。
「関係ないって言っただろう」
都築の言葉に、グレダラスとは平行線になってしまう会話。
その様子をアネリは見ていた。
狼狽えながら、自身がここにいる意味に、頭を傾げながら。
「あたしは」
ドン!
「はい、生二丁お待ち! あと、ミルクですねぇ~~♡」
ウェイトレスがローラーを靴につけ、クルンクルン!と回りながら、オーダーを取っていた。
「ご注文の際はお呼びくださ~~い♡♡」
そして、慌ただしく去って行った。
自身の前に置かれた、白い液体に。
「おい」
都築の顔が引きつく。
「俺も生だから! 誰が、こんなん頼んだんだよ! 馬鹿か!?」
都築が、グレダラスの膝の上から降りた。
「無駄です、よっと!」
「! ぅ、お゛‼」
ひょい、とグレダラスが都築を持ち上げ、膝の上に乗せた。
「黙ってミルクを飲んでいなさい」
カチャ。
カップを持ち上げ、都築の口におしつけ、
「っち!」
都築も、それを飲んでいく。
ただ。
グレダラスの上げ方が早いために、
「ぐっふぉ‼」
都築の口からミルクが垂れてしまう。
その様子に、グレダラスがカップを、都築から離した。
「おぃ~~ッッ! 態とだろう~~お前~~‼」
「口にひげがついてるよ」
アネリの言葉に、都築は顔を朱にさせて腕で拭った。
「それで。君は一体、どこのどなた何ですか?」
真っ直ぐに、アネリを見つめるグレダラス。
アネリは、生ビールのカップを口につけた。
「あたしは……--《銀の教団》の贄だわよ」
◆
「何?? 《銀の教団》???」
ゴキ!
「っぎゃあああ‼」
入江が黒装束の軍団を倒し、そのリーダー格と思われる男に、尋問していた。
矢で、足と手の自由を奪い、電流を流して痛みを与えながら。
「聞いたことねェしなァ゛‼」
ゴッキン‼
「っが! --~~ッッ‼‼」
骨が折れる音に、その痛みに。
黒装束の男は、絶叫し、意識を手放した。
「しかし。あの馬鹿のせいで厄介なことに巻き込まれそうだな」
入江は、黒装束の男を蹴飛ばすと、
「あいつらに、何、言われるかたまったもんじゃねェなァ」
弓を消しーー都築が言ってしまった方向を見た。
「あの馬鹿!」