表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第一章   
44/85

第四十四話 誘惑

「っと! おい! 待てって!」


 都築は小さな身体を弾ませていた。

 相手はーー入江出口。


 弓を放っていた。


 バシュ。


 バシュシュ!


「交わせねェとおっちんでしまうぜェ!?」

「む、り、を! っと、ととと!」

 都築の脛が、曲がってしまい。

 身体が地面に落ちてしまう。


「っだ!」


 そんな都築を見下ろす入江は、鼻先に、矢を刺した。


「はい。おっちんじじまったなァ」

「っく!」

 都築が歯を噛み締めた。


 ◆


 都築が目を覚ましたのは、またしても。

 深夜だった。


「--……真っ暗だ、な」

 ごろん、と横になると。

「っぐ、ぉおお~~!」

「!?」

 いびきをかく入江。

 慌てて身体を引くと、背中に柔らかい感触があった。

 ゆっくりと、顔を向けると。


「っあ、愛、サン!?」


 入江姉弟に挟まれる形で寝かされていた。

 勢いよく、起き上がり。

 出ようとするも。


「おい。勝手に起きるんじゃないよ」


 愛に腕を掴まれ。

 寝かせられてしまう。

「っひ!」

「いい顔しないで、寝ろっての」

「も、戻る! ソファーで寝る!」

 強い力で、愛の腕から逃げる都築。

 慌てて、ベッドから這い出た。


 肩で息を吐きながら。


「っそ、そう言うわ、訳だから!」


 そこに、

「ふぁ~~……目、覚ましたんかよ」

 入江が、目をこすりながら起きた。

「寝てりゃあ、可愛いのに。寝顔とか」

「!? ぅ、っせ~~よ! 馬鹿なんじゃないのか‼」

 

「いい子にしてたら。特訓してやってもいいぜェ? マサルちゃ~~ん」


 愛が布団を叩く。

 来いとばかりに。

 

「守るためにゃ。まず、手前が強くなんねェとなァ」


 都築は唇を突き出した。

(分かってんだよ! 俺だって! だから、だから、俺は‼)


 アデルの顔を思い出す。


(だから、俺はッッ‼ っくそったれ!)


 都築はベッドの中に戻った。

 真ん中の特等席に。

 ふかふか、と柔らかい感触に。

(ソファーのがいいな)

 観念するかのように目を閉じた。

「掴まれたぜェ~~マサルちゃ~~ん♪」


「あ、っそ」


 そっぽを向く都築の頬を掴み、自身に向かせる愛。

「本当に、可愛いったらねェなァ~~♪」

 舌なめずりをする愛。


 ぞぞぞぞ!


「でで、出口さささ、サンんんん?!」

 悍ましくなり、都築は入江に助けを求めるも。

 ぐお~~といびきをかいて寝てしまっていた。


「手前。童貞??」


 下世話なことを聞く愛に。


「そうだよ!」


 強く吐き捨てた都築に。

 愛が跨った。

 衣服を脱ぎ。


「ふぅ~~ん♪」


 ◆


「てか。手前、集中力なさ過ぎだわ」

 矢を肩に担ぎ、そう吐き捨てる入江。

「よろよろ、しってっし。ったく!」

 唇を噛み締める都築。


 ここはーー《クラベジタブ

 古い闘技場。

 よく、剣技や技を磨くために使われる施設になっている。

 そこに、二人は来ていた。


「もう。今日は止めだなァ」


 入江は、持っていた弓を消した。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ