第四話 狙われた都築
一通の道を抜けると、そこは。
「--……ふぅん」
地中とは思えない空間が広がっていた。
そして、そこには建造物もあった。
明らかに、その建造物はーー人工的なものなのは、確かだった。
多くの探検家が、この遺跡に憧れを抱き。
旅立ちーー死んでいった。
ある意味。
感動も抱かない都築は、幸運なのだが。
如何とも、本人に遺跡の興味がない。
「つぅか。出口は何処なんだよ! おい!」
都築がアデルに聞く。
「おれに聞くな。壊したのはお前らだ」
ぶっきらぼうに、そう言い返す。
「少しは、反省するか、黙ったらどうなの?」
さすがに都築も言い返さない……わけもなく。
「反省?? 俺が?? っは! 俺じゃあねェんだよ!」
正しいことなので、
「壊したのは、このポンコツなの! この! ポンコツッッ!」
二回言う。
確かに、それに関して。
都築には、なんの責任はない。
「ポンコツじゃないもん! 僕は天才美少女魔導士のミウ!」
ようやくミウが反撃の声をあげるも、都築が背中のミウを横目に、
「あ゛? よく聞こえねェわ」
威圧的に、聞き返した。
「っぐ!」
ミウも涙目になってしまう。
アデルは、
「だから、おれたちの《暴探者》の隊長に聞くの」
淡々と言う、
「《遺跡》の研究者にして、金の亡者だから、詳しいのよ」
途中から、悪口も混ざる。
「でも。悪い人じゃないわ」
「金の亡者って聞く限り、ろくでなしの匂いがすんだけどな!」
力いっぱい都築も、言い放った。
都築の言葉に、アデルの口も緩むのが視えた。
ん? 都築も、その様子に気づいた。
「いつも、その顔しろョ。可愛いよ」
ボッ!
都築の言葉に、アデルの髪が逆立つ。
面白くない表情でミウは、口を突き出して見ていた。
「ぃ、いいから! 行くわよ‼」
ダガダガダガダガーー……。
「あ! おい! これだから子供は苦手だよ!」
小走りで行ってしまうアデルを、都築は追いかけた。
◆
遺跡の中が慌ただしくなる。
ざわついていく。
ーー人間ガ来タヨウダ。
ーーマタカ、懲リナイ、人間ドモガ!
◆
決して、ミウやアデル。
そのほかの人間にすら聞こえない声。
もちろん、都築は論外。
なのだが。
「? おい? ミウ?」
「あ! 名前で呼んでくれたね♪ 何♪?? 何♪????」
嬉々としたミウに、都築は目を細めて、言うのを止めた。
「なんでもねェよ! ポンコツ!」
がに股で進んで行く都築。
◆
--毛色ノ変ワッタ、人間ガイル。
--珍シイ、人間ダ。
辺りがざわつく。
がに股で進む都築の周りを、何かが飛ぶ。
--贄ニドウダ? 秘宝ナド、人間ニ、クレテヤレバイイ。
--贄ニデスカ? シカシ、ソレハ……。
何かと、何かが揉め始めてしまう。
都築の預かりしれないところで。
そこに。
『何、面白いことしてんの? 俺も混ぜてよ』
第三者が首を突っ込んだ。
◆
「ったく! アデーールッッ‼」
都築は声を上げ、勢いよく走り出した。
その横を、
「疲れないの? よく走るね~~♪」
都築を見て微笑んでいた。
「‼」
都築は、そんなミウの首に腕を巻き、地面に叩きつけた。
ドッゴーーン‼
「ぅ、おおおぅ?! 何、すんの?! 痛いじゃないかァ~~‼」
「お前、何一人で楽してんの?? あ゛?」
怒り顔で迫る都築。
今にも、火を噴きそうだった。
ミウも、顔面蒼白になってしまう。
「何を、きぼーされ、まふ……か?」
片言でミウは、都築に聞く。
その言葉に都築も。
「移動を楽にしてェ‼」
◆
ーー貴様ハ、ナンダ?
『俺? 俺ァ、人間さ』
第三者でもある、男の声が言う。
黙ってしまった二人に。
『ゲームをしょうぜ! 俺も退屈いてたんだよ♡』
明るく彼が言う。
--オ前ハ、一体……。
--貴様、ドウヤッテココニ!
ようやく話した声たちに。
彼も言う。
『どうやっても、何も♡ 俺はずっと、ここに居たっつ~~のに! てか、視えなかっただろうけどさ。ははは! 別に俺は、手前らの邪魔はしねェ。ただ、俺も、あの毛色の変わったのが気になるんでね♪ だから、俺も参加すんだよ。手前らのゲームに、さ』
明らかな宣戦布告に、
--貴様! 名ヲ名乗レ!
--ソウデス、参加スルノナラ、名乗リナサイ。
二人も問い質した。
問いかけに、彼も大笑いをする。
『俺の名前は!』