第三十九話 スパイラルゲームXXX
「ふぅん」
ガーナがソファーの上の都築を見た。
都築はと言えば、バツの悪そうな顔をしている。
そして、毛布をかぶる。
「子供かっての! ったく、っさーー~~!」
ガーナは、都築の毛布を奪おうとするも、都築が、それを阻む。
「っごほ! っごっほ!」
咳き込み、都築の手は力が緩んだ。
それをチャンスとばかりに。
「諦めが悪い! っつ~~の‼」
ガーナは毛布を奪い取った。
「な゛!」
毛布を取られた都築の全身が真っ赤に紅潮していた。
普段から、真っ白の肌な分。
魅入ってしまう。
「おぃい゛~~が~~なぁ~~‼」
都築は短い腕を伸ばして、奪い返そうと試みるが。
それは叶わない。
「ごっほ、ごほほ!」
都築はーー風邪を引いたのだ。
いつもの馬鹿力は出ない。
「っぐそぉおお゛~~」
都築はソファーに顔を埋めた。
そんな彼に腕を伸ばすガーナ。
ひょうい、と抱きかかえられた。
「ががが、ガーナ~~‼」
慌てて都築も、ガーナの胸を叩く。
か弱く、全く痛くもなんともない。
「なんだい。マサル、病人なんだから、大人しくしときな」
「っち……」
「そうそう。そう、大人しくしてたら、すぐよくなるよ♪」
抱きかかえたガーナは、自身の部屋に連れて行く。
そして、ベッドに下ろした。
ばっふーー~~ん!
「なんで、ここなんだーー……ごほほ!」
都築を布団の中に押し込みガーナは、
「ソファーじゃよくなるもんもよくなんないさ。てか、ベッドの方がいいに決まってんじゃんか」
そう言い、都築の鼻先に指を置き、弾いた。
「って!」
「勝手に出歩いた罰だよ♪ 風邪ざまぁ~~♥」
にこやかに、ガーナは笑った。
その後ろから、
「事情があるのよ。虐めないで」
アデルがやって来た。
手には桶と、手拭いがあった。
「看病してあげたいのね。いいよ♪」
ガーナは、アデルに場所を譲った。
「ありがと。ガーナ」
「いえいえ♥」
「大好きよ」
「♥♥♥!?」
アデルの言葉に、ガーナの顔が真っ赤に染まった。
ガーナは恋愛対象はーー女性だった。
アデルに惚れている。
もちろん、アデルは承知の上だ。
それを利用しているというのが、正しいのかもしれない。
「えへへ~~マサルの次だとしても嬉しいよ~~♥ アデルぅ~~♥」
ただ、ガーナも。
それを承知の上で、一緒にいる。
「うんうん♥ じゃあ、あたしはリビングに行くね~~♥」
腕を高く上げて、ガーナは部屋を後にした。
ちょぷん!
「--……愉しかった? あの屋敷は」
低い口調でアデルが、都築に聞いた。
そして、額の上に水に濡らした手拭いを置く。
「気持ちいいぃ~~は、ぁ」
安堵の息を漏らす都築。
「聞いているのよ、おれは」
アデルは、都築の身体の上に跨り座る。
「答えて。マサル」
「……--た、のしかった……かも」
咳払いをしながら都築は答えた。
それに、アデルの身体が震える。
「な。っごほ! っがっは……ぁデル、その、さ」
「! 何?? マサル?!」
都築がアデルに言いかけ、アデルも聞き返した。
「ぉ、俺ーー魔法かなんか、使える、よぅに……たい」
息絶え絶えに都築が言う。
「いいわよ。そんなの簡単なことよ」
アデルは都築の頬を、優しく撫ぜる。
「おれと、永遠に人生に付き合ってくれるなら。どんな願いも叶えてあげるわよ」
熱でほだされている都築も、上手く、何も考えられない様子だった。
だが。
小さく頷いた。
「いい。付き合う、ょ」
アデルはほくそくみ。
都築の枕に両手をついた。
「じゃあ、契約しましょう」
「け、ぃや、く??」
「そうよ。マサル」
耳元で囁くアデルに、都築も怪訝な顔をする。
「おれをーー女にして」
都築の朱に染まった胸板に手を這わせた。
そして、脇から腹筋へと。
「大丈夫。犯り方はーー知っているの」
その手を払う都築に、アデルも抗議する。
「! 何よ。マサル」
少しアデルを睨み、身体を起こし都築は。
そして、アデルを組み敷く。
「!? ま、サル??」
目を瞬きするアデルに、都築は続けた。
「夜まで待ってろ。っごっほ! ごほほ!」




