第三十七話 エンターXXXカントリー
「少し、寒ぃのな」
都築はボゾロイの屋敷から出て、身体を身震いさせた。
そんな彼に、愛も。
「そうだな。寒ぃなァ」
はぁ、と息を吐くも、白くはならない。
日本の冬とは、また違うようだった。
都築が、この異世界に来て日は浅いため、まだ四季の把握は出来ない。
「てか。手前は、真っ裸じゃねェかよ、マサル」
「……--っく、ちゅん!」
「可愛いくしゃみしやがって♪」
愛は手を伸ばした。
それに、都築は怪訝な顔をする。
「手ぐらい暖めてやるよ」
「…………」
都築が愛の顔を魅入った。
それに愛も、
「何? 本当に、あたしの顔見て、勃起してんの??」
からかうように、笑う。
「っち! っちっげぇ~~よ!」
慌てて都築も、否定をする。
そして、顔をそっぽ向いてしまう。
耳まで赤く染め、強い足取りで、向かって行く。
ガーナの家のあるーー《星屑の野菜》へ。
「あんたは一体、なんなんだよ! 出口サンに、姉がいるとか聞いたことがないんだよ! しかも、性格も最悪とか! 最悪とか‼」
「最悪二回も言うんじゃないよ。僕ちゃん」
腕を伸ばしながら、都築を諫める。
都築は立ち止まり、勢いよく振り返った。
「--~~……っっ!」
顔は泣きそうで。
何かを言いたそうだった。
愛は、そんな都築に。
「……出口ちゃんじゃなくて、ごめんな」
優しく頭を撫ぜた。
「触んな!」
都築は、その手を払い除けた。
乱暴にも、叩いて。
「俺には関係ない! 関係ないんだ!」
重い足取りで進んで行く都築に、
「あたしと約束したよなァ? 言うこと聞くってさ」
愛が、声を大にして言う。
それに都築の身体が、大きく揺らいだ。
一瞬立ち止まったが、すぐに、足を進めた。
「だから聞いてよ、マサルちゃん」
愛が、駆け足で都築に向い、細く短くなった腕を掴んだ。
「何をだよ!」
都築は、顔を俯けながら声を荒げた。
「あたしが言うことを」
そして、そのまま都築を肩車に乗せた。
「おい! おぃいい‼」
肩で暴れる都築を、気にせずに愛は続ける。
「この話はさ。嘘みたいだけど……本当にあった話しなんだぜ♪」
都築は頬を膨らませながら、街頭が輝くーー《星屑の野菜》を。
そんな二人の元に。
車が、横に止まった。
「乗りなさい」
中からグレダラスの顔が出た。
不機嫌そうに。
「なんだよ。邪魔すんじゃないよ、お兄さん」
愛も、声を強張らせながら言う。
「邪魔者なのは、一体どちらかな」
いがみ合う二人に。
大きく都築はため息を漏らし。
「グレダラス、ごめんな。今度、必ずーー会いに来ますよ」
にこやかに都築は対応する。
が。
「いつとは……いつですか? いつの話しですか?」
聞き分けがない。
それに都築も。
「ただ。グレダラスが、俺に会いに来るのも、いつだっていいんです」
引きつりを抑えながら、ゆっくりとした口調で言う。
その言葉に、グレダラスの表情が崩れた。
「だから。ごめんな。今日は、愛と帰るよ」
グレダラスは、目を細めながら愛を睨み。
「--分かりました。気をつけて帰って下さい」
屋敷に戻って行った。
脱力するように、愛の頭に上に、都築は顔を下した。
「つ、かれた……本当に、俺が何をしたって言うんだよ~~」
「ははは! マサルは、出口と出会ったときから、こうなる運命だったのかもしんねェなァ! ウケる!」
悪態を吐く余裕もない都築。
愛も、真顔になり。
「じゃ。話そうじゃないの♥」
都築の腰を上げながら、背中に固定しつつ。
「過去にあったーー未来に繋がる物語をさ♪」




