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ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第一章   
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第三十五話 愛、無双

「っしゅ!」


 ミウは唇を突き出し。

 勢いよくメイレー攻撃した。


「ふふん。か弱い攻撃だなァ!」


 ひらりと、メイレーは杖で弾いた。

 そして。


「吹っ飛べ! メス豚が‼」


 杖の先端に光が集まり出した。

 それにミウも、口の端をつり上げた。

「っく! 面白いよ! さすがはご令嬢だよね!」

 ミウの言葉に、メイレーも、

「ふん! 手前もじゃねぇかよ! 笑わせんじゃないよ!」

 口を大きく開け、言い返し。

 凶悪にーー唱えた。


「《闇に沈め》‼」


 真っ黒な光が、ミウに向かって行く。

 勢いよく。

 それに、ミウも反応する。


「《ファーヴァー》‼」


 冷淡に唱え、杖を振りかざした。

 どちらの攻撃も。


 互角と言えた。


「おい! グレダラスッッ‼」

 都築が、グレダラスに声をかけた。

 しかし。

 グレダラスは、微動だにしない。

「グレダラスぅ‼」

「--……ごちゃごちゃと、お口が煩いですよ」

「ぉ、前……?!」

 ギシーー……。

「また。しますよ?」

 グレダラスが、都築の肩を抑え込み。

 耳元で囁く。

「……いくらでもさせてやっから、あいつらを止めろ!」

「ふむ」

 顔を上げ、都築と見合う。

「あのお二人を、私がです、か……?」

 怪訝な顔をする都築。

「あ。執事のお前じゃ無理か」

 つっけんどんに言う彼に、グレダラスは。

 顎に手を置き、首を傾げた。

「ふむ」

 そんなグレダラスの顔を下から覗き込む。

 少し、考えている様子に。

(こいつ、使えねぇな)

 小さく都築は舌打ちをする。

 それが聞こえたのか。

 グレダラスが、都築を見下ろした。

 いや、そうじゃない。


 睨んだんだ。


「ミウお嬢様の、使い魔でなければ絞め殺すところだ」


 ちゅ。

 額に口づけをした、グレダラスは。

 スーツの胸元から、札を出した。

 真っ白な札に、文字が浮かぶ。

「ま。こんな茶番はーー止めて頂くに越したことはないです」

 その札を、足元に放ると。

 魔法陣が浮かび上がった。

 

「ははは! いい入り口見つけちゃった♪」


 そこから、腕を羽根に変えためごが飛び上がって来た。

 グレダラスも、それに面喰ってしまう。

「何かな。この無礼な生き物は」

「何? 何だって?? 俺は、入江出口の姉の愛だよ!」

 宙を一回転し、羽根を腕に戻した。

 羽根がなくなった愛の身体が、

「! おいぃいい?!」

 勢いよく、都築の腹の上に落下した。

「っぐ、ぇえええ‼」

「なんだよ。そんなに重くないだろうが!」

 鍛えた腹筋が、子供のものに戻った都築。

 ダイレクトに、愛の体重を受け。

 絶句し、言葉を無くしてしまう。


(こここ、殺す~~!)


 涙目に、愛を睨んだ。

「ん?? っふ、あたしがあの馬鹿にそっくりで、勃起したのぉん??」

 ふに、ふに。

 愛が、都築の唇を指で押す。

「っか、わいくなちゃって♪ ふふふん♪」

「おい。出て来たのなら。いうことを聞いたらどうだ」

「--……あ、はん? 何かな??」

 グレダラスが、ミウとメイレーの方を指さす。

 それを、愛も首を伸ばし見た。

「何、あの。醜い女どもは」

「……雇用主と、ライバル相手の方です」

 愛は髪を掻きむしった。

 面倒くさいと顔を、露骨にしながら。

 グレダラスを見た。


「で。だから?」


 都築は乗り気じゃない愛を見上げ。

「取りあえず、こんな馬鹿みてぇな戦いを止めたいんだよ。お姉さん」

「! --……お姉さん。お姉さんって言ったの?? っふ、ふふん??」

 愛の頬が紅潮する。

 それにグレダラスは、面白くないといった表情を。

 一瞬だけするも、すぐに鉄仮面に戻った。

「と、止めてくれたら……いうこと聞くから!」

 グレダラスの眉間にしわが寄った。


 ちょっと、待てとばかりに。


「そんなの」


 愛の手に、ピンクの粒子が集まり。

 弓に形になり、それを強く掴んだ。


「ちょろいんですけど??」


 床に、愛は矢を放った。


「「?!」」


 すると。

 二重、三重、四重と。

 魔法陣が発動し。


 ミウの攻撃も。


「っえ゛?!」


 メイレーの攻撃も。


「っな、なんだとッッ?!」


 全てが無効し。

 元の書斎の姿にも戻った。

 ふぅ、と愛は息を漏らし。

 不敵に微笑んだ。


「で。何をしてもらっちゃおうかなァ♪」



 

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