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ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第一章   
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第三十四話 都築のモテ期 ※

やや微エロがあります。

「そいつは私の《しもべ》だ!」

 

 メイレーが杖を取り出し、振りかぶった。

 するとーー本が現れ、ページが勢いよく捲れていく。

 

「違うよ! マサルが僕の! 《使い魔》だよ‼」


 広くもない書斎で、二人は睨み合い。

 声を荒げた。

「ぉ、おいおい」

 都築が、そうボヤく。

 そんな都築に、グレダラスが睨む。

「ミウお嬢様も、あの令嬢も。みんな、君のせいで戦っているんだ」

「はぁ?! 俺には関係ないね」

 その言葉にグレダラスの眉毛が、吊り上がった。

「君が、それを言うんですか??」

「ああ! 言うね」

「本当に、君なんかが」

 グレダラスが都築の頬を掴んだ。

 眉間にしわを寄せたグレダラスの顔が近づいてくる。

 それに。


「は??」


 都築は抵抗が出来ない。

 まだ、ミウの魔術によって拘束されているからだ。

 男の都築から見ても、魅力のある顔が。

 どんどんと近づいて来る。


「え、ぇ゛え゛?!」

 

 ちゅ。

 そして、角度を変え。

「む゛?!」

 時間が止まってしまったように。

 長く感じさせる口づけだった。

「っは!」

 ようやく離れた口に、都築も、荒く息を吐く。

「ぉ、おお、お前~~ッッ!」

「ふん。ミウお嬢様のキスを返して貰っただけだ」

 きっぱりと言い、オラクルを指先で上げた。

 わなわな、と都築の身体が震える。

 怒りと、戸惑いでだ。


 そんな都築に気づかずに、二人の女は戦い始めていた。


 ぺろ。

 グレダラスが舌なめずりをした。

(う゛) 

 そんなグレダラスから、都築は視線を外した。

「ミウお嬢様。書斎が、壊れてしまいますよ」

 ミウに声をかけたグレダラスに、

「ああ! 分かっているよ!」

 返事をして、杖を持ち書斎の天井に、魔術を施した。

 すると。


 試合会場のように、リングになった。


 ボン。


 ボボン!


 天井が空になり。

 花火が鳴り響いた。

 メイレーが放った魔法だ。


「この!」

 メイレーがほくそくむ。

 そして、浮き上がると。

 都築の方へと瞬間移動した。

 グレダラスが、来たことに驚きこそしないものの。

 都築を庇うかのようにする。

 しかし。


 バシュ!


「?! っぐ、ぅううう‼」


 メイレーの杖により、吹っ飛ばされてしまう。

 それに、都築の目が点になる。

「お前……何、をーー……ん、んん゛ん!?」

 無理やり、口をこじ開けられ。

 唇を重ねられてしまう。

 グレダラスの口づけを、忘れさられるかのように。


 荒っぽく。


「ふふん。他の奴に口を許すんじゃないよ」

 ぺちぺち。

 メイレーが、都築の頬を叩く。

「後で、おしおきだよ。都築」

 メイレーの発音に、都築が驚く。

 それに。


「ふふん♪」


 メイレーがほくそくんだ。

 その様子に、ミウの毛が逆立つ。

「っざ」

 目が鋭く吊り上がり。


「っざけんじゃ、ねぇーーッッ‼」


 大きく、そう叫んだ。 


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