第三十四話 都築のモテ期 ※
やや微エロがあります。
「そいつは私の《僕》だ!」
メイレーが杖を取り出し、振りかぶった。
するとーー本が現れ、ページが勢いよく捲れていく。
「違うよ! マサルが僕の! 《使い魔》だよ‼」
広くもない書斎で、二人は睨み合い。
声を荒げた。
「ぉ、おいおい」
都築が、そうボヤく。
そんな都築に、グレダラスが睨む。
「ミウお嬢様も、あの令嬢も。みんな、君のせいで戦っているんだ」
「はぁ?! 俺には関係ないね」
その言葉にグレダラスの眉毛が、吊り上がった。
「君が、それを言うんですか??」
「ああ! 言うね」
「本当に、君なんかが」
グレダラスが都築の頬を掴んだ。
眉間にしわを寄せたグレダラスの顔が近づいてくる。
それに。
「は??」
都築は抵抗が出来ない。
まだ、ミウの魔術によって拘束されているからだ。
男の都築から見ても、魅力のある顔が。
どんどんと近づいて来る。
「え、ぇ゛え゛?!」
ちゅ。
そして、角度を変え。
「む゛?!」
時間が止まってしまったように。
長く感じさせる口づけだった。
「っは!」
ようやく離れた口に、都築も、荒く息を吐く。
「ぉ、おお、お前~~ッッ!」
「ふん。ミウお嬢様のキスを返して貰っただけだ」
きっぱりと言い、オラクルを指先で上げた。
わなわな、と都築の身体が震える。
怒りと、戸惑いでだ。
そんな都築に気づかずに、二人の女は戦い始めていた。
ぺろ。
グレダラスが舌なめずりをした。
(う゛)
そんなグレダラスから、都築は視線を外した。
「ミウお嬢様。書斎が、壊れてしまいますよ」
ミウに声をかけたグレダラスに、
「ああ! 分かっているよ!」
返事をして、杖を持ち書斎の天井に、魔術を施した。
すると。
試合会場のように、リングになった。
ボン。
ボボン!
天井が空になり。
花火が鳴り響いた。
メイレーが放った魔法だ。
「この!」
メイレーがほくそくむ。
そして、浮き上がると。
都築の方へと瞬間移動した。
グレダラスが、来たことに驚きこそしないものの。
都築を庇うかのようにする。
しかし。
バシュ!
「?! っぐ、ぅううう‼」
メイレーの杖により、吹っ飛ばされてしまう。
それに、都築の目が点になる。
「お前……何、をーー……ん、んん゛ん!?」
無理やり、口をこじ開けられ。
唇を重ねられてしまう。
グレダラスの口づけを、忘れさられるかのように。
荒っぽく。
「ふふん。他の奴に口を許すんじゃないよ」
ぺちぺち。
メイレーが、都築の頬を叩く。
「後で、おしおきだよ。都築」
メイレーの発音に、都築が驚く。
それに。
「ふふん♪」
メイレーがほくそくんだ。
その様子に、ミウの毛が逆立つ。
「っざ」
目が鋭く吊り上がり。
「っざけんじゃ、ねぇーーッッ‼」
大きく、そう叫んだ。




