表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第一章   
30/85

第三十話 使い魔

 ポンコツの屋敷は広い。

 よくテレビで流される大富豪のまんまだ。

(成金ってのは、みんな、こんな趣味なのか?)

 しかし。

 至る所に、美術品があんのな。

 壊したら、何を言われるやらだ。


「ねー~~本当に、マサルだよね~~??」

 横で、俺の腕に腕を絡ませてるポンコツが、そう言う。

 寝言は寝て言えってんだよ。

「ああ。お前に股間を見せられたな」

 ここで俺も、あのポンコツが忘れかけているだろうことを言ってやった。

 その方が、俺だって分かるだろう。


 カカカカ!


「みみみ、ミウお嬢様?! いいい、一体、なんの話しなんですか?!」

 おいおい、お前が食いつくのかよ執事。

 え、っと?

 グレダラスだとか言ったか?

 

 見た目は……女みたいなきれいな面。

 曲線も、華奢で。

 玉ついてんのか??

 女でしたって、オチでもいいさ。

 俺は、こいつの人生をどうこうと、絡む趣味はない。

「やっぱり、君はマサルだ。間違いようがない」

「だから、そう言ってるだろう」

「うん♪」

 ぎゅ!

「マサル♪」

「ポンコツ、お前。ボンタコタレスって奴を、知ってるか?」

 俺はポンコツに聞く。

 すると、どうだ。


「--……君、あの方たちと面識が?」


 執事のダグラスが反応した。

 お前がかよ。

「ああ」

「このボロゾイ家と対立する財閥の一つです」

 俺たちが歩くと、廊下の灯りが点く。

 さすが、金持ちは違うな。

「ああ」

 それも、その陰険な口調で。

 毛嫌いしているのが分かるな。

 そんなのと、俺はーー絡んじまったのか。

 参ったな。

 

「マサル? 君、どっちと会ったんだい?」


 ずい、と。

 ポンコツが俺に詰め寄る。

 身長が、ほぼ同じであるため。

 視線がかち合う。

「ぇ、っと。両方、だな」

 目を横に逸らしてそう言う。

「ふぅ、ん」

 ポンコツが、鋭い眼光で、俺を見やがる。

 なんなんだよ。

 ったく!


「……ミウよか、女らしかったぜ」


 だもんで、つい、俺も。

 業とらしく言ってしまう。

 子供じゃないってのに。

(っち!)

 俺も、恐る恐ると、ポンコツを見た。


 ブルブルブルーー……。


 顔を真っ赤にしたポンコツがいる。

 何を、怒ってんだよ。

「マーニーって女の、裸も見たな。そういや」

「僕以外の、女の裸を?! 見たって言うのかい?!」

「ああ」

「何か、厭らしいことをしたのかな? その女と」

 ポンコツの言葉が強張っている。

 何、本当にこいつ。


「関係がないだろ。ポンコツには」


 そうこうしている間に、大きな扉の前に着いた。

 グレダラスが、扉を開けた。

 さすが、執事だな。


「なんだよ。この部屋」


 俺の前には埃まみれの、書斎があった。

 腕が、身体が震え出してしまう。

「なんだ。どうかしたのか」

 グレダラスが、そう俺に声をかける。

 それだけ、俺の態度がーーあれなんだろう。


「箒、掃除道具をくれ」


「無駄だ。すぐに溢れるからな。さ、こっちだ」


 獣道のようなものがあった。

 そこを進んで行くと。

 わりときれいな場所があった。

 円状に。

 

「《服従せよ》」


 ポンコツが、何を言ったと思えば。

 俺の身体が、いきなり地面に砕け落ちた。

「????」

 わけが分からない。

 視界に、ポンコツの靴が映った。

 目だけが動き、俺はポンコツを見上げた。


「君は、僕の《使い魔》だ」


 ぶっとい本を閉じるポンコツに。

 俺は、キレてもいいよな?


「て、っめぇ~~ッッ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ