表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツヅキくんはかえりたい  作者: ちさここはる
                             第一章   
27/85

第二十七話 都築と風呂

「……本当に、ドジふんじゃって♪」

 ガーナが口を手で塞ぎ、身体を震わせた。

 びしょ濡れのまま、都築は入江と一緒に、ガーナの家に帰った。

 あのミウの屋敷から出て、行くの当てのない都築に、アデルが声をかけたからだ。

 アデルにも、都築に下心があるのだ。

 みすみす、見逃す手はない。

 そんな展開だったわけだ。

「うっせ~~よ。っち!」

 都築は眉間にしわを寄せながら、エプロンを着た。


 このガーナの家には、女子が二人いる。

 いるのだがーー……家庭的ではなかった。


 家に来た都築の目に映ったのは。


 ごみ矯めで、洗いものや、小蠅が飛ぶ空間だった。

 家は、ミウの屋敷から遠く。

 都市の中心地区ーーの外れ。

 そこは家賃が安く、その分、無法地区に近いーー《ワラベジタブ

 貧困層と、暴力組織が住む。


 ガーナの生まれた街でもある。


「洗濯すっから、洗いもーー……っしゅ! へっくちゅ!」


 都築がくしゃみを、連発させた。

 濡れたまま帰って来たのだ、当然だろう。

「お風呂に入って来なさいよ」

 風呂はあるが、このアパートの共用で。

 広いには広い。


「ん゛。そう、すっかなぁ」


 都築は入江を見た。

 その視線に、入江の身体が揺れた。

 都築だけが、この家の主夫ではない。


 入江も、料理や洗濯が出来る。


 都築は無言でエプロンを解き、入江の頭の上に置き、出て行った。


 ◆


 ちゃぷん。


「は、ぁ……」

 風呂は貸し切り状態だった。

 大きな浴槽に、手足を伸ばす。

 短い手に、短い足。

「俺が、何をしたってんだよ! どいつも! こいつも‼」


 バシャ!


 バシャ、バシャ!


 都築が、お湯に激情をぶつける。

 拳で、お湯を叩いていた。

「落ち着いた? ツヅキ」

 そこへ、アデルが入って来た

 ピシャ!

「いつになく、泣きそうな顔をしているわ」

「--……どんな顔だよ。ったく」

 前をバスタオルで押さえて、都築の浴槽へと向かい。

 湯船に浸かった。

 都築の横に。

「てか。何、お前は普通に入って、俺の横にいんだよ」

 少し、空間を都築は開けた。

 しかし、それをアデルは許さない。

 また、すぐに。

「心配したのよ? イリエは帰って来たのに、ツヅキはいないから」

「そうかよ」

「約束も守らないで、帰ったのかと思ったわよ」

「そうかよ」

 

 ばっしゃーー……っっ‼


 アデルが一糸まとわない姿で、立ち上がった。

「お前は、姿が変わったね。ツヅキ」

「ああ」

 都築は目を瞑り、湯船に潜って行く。

「おれよりも小さいんじゃないの?」


 ぴちゃん。


 息苦しくなった都築が顔を出した瞬間。

 アデルに顔を抱きかかえられた。


「帰って来てくれてありがとう」


 そう言い、アデルは都築の頭にキスをした。

 そして、アデルは風呂場から出て行く。


「--……ぁあ~~羞恥心くらいもてよ~~‼」


 都築は、顔を抑えた。


『何? 恥ずかしかったのかい? マサルは?』


「?! ポンコツ??」

 お湯が盛り上がっていくと、それは人の形になっていく。

 都築を召喚した張本人のミウに。

『むつっりそうなのに。嬉しくないんだね』

「うっせ~~よ! ポンコツ! 何しに来やがった!」

 ミウに、都築も言い返す。

 全く、来なかったミウの、いきなりの訪問。

 驚きは隠せない。

 そんな都築に、ミウは微笑みながら。


『仕事の話しをしようじゃないか』


 都築に言った。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ