第二十一話 君の声が聞こえない
「?」
都築は足元を見て、少し、足を踏んだ。
召喚されたときはサウナに入るべく。
下半身バズタオル意外の装備はない。
靴も、何も履いていない。
だから、なのか。
今までにない、違和感を感じた。
「??」
たしたしーー……。
その行為に、都築の身体が動き。
背中に乗っているミウにも、その振動が伝わる。
「ん? マサル、何をやってんのさ??」
「ポンコツ、お前は何も感じないのか?」
たしたしーー……。
また、都築は足を踏む。
その足は砂に汚れ、若干、血が乾きついていた。
「だから。一体、どんなものをだい?」
「……--どんな」
たしーー……。
「どんな?」
都築が眉間にしわを寄せ、
「--……動いている、ような」
口元に、手を置き続けた。
「誰かに。見られていないか??」
五感に、何かが触れている。
気分もよくない。
(気に入らないな)
そんな都築を、アデルが見上げて笑う。
「感受性がいいのね。ツヅキは」
都築は、そんなアデルを見ることもせずに、ミウと話す。
「ポンコツ。お前は、何も感じないのか??」
背中を上に動かし、ミウの身体を持ち上げた。
ミウは、返事をしない。
そのことに、都築は勢いよくお辞儀をして、ミウを振った。
「っひゃ! う、わわわ!」
ミウも、思いもしないことに、地面へ顔から落ちてしまう。
ばったーーん!
「ぃ、っだ! だだだ~~い‼」
ミウは顔を抑えた。
都築は腕を組み、ミウを見下ろす。
顔を押さえていた手が、光りを放った。
じゅうぅ~~と、音が漏れた。
「痛っっっっいじゃないか! なんの真似だい?!」
顔に傷はないものの、ほんのりと赤い。
涙目で都築に吠えた。
「で。ポンコツ?? お前は、何を感じている?」
冷徹に都築は物申す。
「正直に言え」
そのやり取りに、入江が。
「……俺はさ。こんな場所に居たから分かるぜェ~~?? 都築~~ィ??」
ギロリ。
無言で都築が、入江を睨んだ。
「俺らはーー監視されてる」
強く、確信に近い言い方に。
「……--出口サン……??」
都築は、驚きの表情をする。
「あんた、なのか??」
「?? 何、頭おかしいこと言ってんだよ。馬鹿かってんだよ」
「っち! お前に、言われたくたいんだよ!」
いがみ合う二人に。
ミウも、ここでようやく、声を発した。
「この《迷宮》から追い出されるみたいだね」
ミウが、宙に小さな魔法陣を創った。
バサバサ--……。
「……古代の生き残りが。笑わせるよねー」
不敵に微笑むミウに、都築が言い返す。
「ふぅん。じゃあ、出して貰おうぜ。そいつらに」
「ま。それしかないよねー迷子だもん♪」
どかっと、ミウの横に腰を下ろした。
「なぁ。ポンコツ」
「なんだい? マサル」
ミウも、都築の横に腰を下ろした。
そして、身体を寄せる。
「なぁ~~んで、言ってごらんよ」
都築も、なんの抵抗もせず、放って置く。
「ささ! なんだっていいよ!?」
スリスリ、と頭を肩に摩りつける。
その様子を、遠くからアデルが睨んでいた。
ガーナは、興味がないのか手帳と睨めっこしている。
いや。
チラチラ。
視線を都築に向けている。
都築は、少しため息を吐き。
「--……あ」
その時。
言葉を遮るように、閃光が奔った。
ミュウと、ダカタの退転送魔法陣が発動してしまったのだ。
奇しくも、この《ホロスカ遺跡》は。
都築マサルの初めての《迷宮》であり。
未攻略で終わってしまうのだった。




