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新世紀の殉教者

宇宙の正しい取り扱い方

作者: keisei1

 ガガーリンが宇宙に初めて飛び立ち約1世紀


 合衆国大統領は書類にサインをして呆れかえる


 「たしかに『地球は青かった』が彼は間違った」


 宇宙に人類が到達出来るなんて 彼にしてみれば 秘密にすべきこと


 彼は古文書を繙き かの偉人の言葉を噛みしめる


 アメリゴ・ヴェスプッチは 死の床でこう呟いたという話


 「新大陸に人々を連れてきたのは間違いだった」


 そう 新大陸 新たな領土は 独占するのが 正しいやり方


 だが愚民どもは新大陸に大挙して押し寄せた


 今では夢の国はゴミと汚水で溢れ返っている


 合衆国大統領は ペンを指先で回し 書類にサインをする


 「広大な宇宙 これより先は立ち入り禁止」と


 そう それは たしかに賢いやり方だ


 未だに自分の辿り着いた新大陸が インドだったと信じてやまない


 コロンブスだって それに納得していることだろう

 

 死の骨と骨董 香料と間違えた棘のあるサボテンに囲まれながら


  

 アームストロングが月に初めて訪れて約半世紀


 合衆国大統領はミサイルを飛ばすスウィッチを押して呆れ顔だ


 「たしかに『これは人類にとって偉大な一歩』だが彼は間違った」


 月と地球を行き来出来るなんて 彼にしてみれば 秘密にすべきこと


 彼は古びた航海図を開き かの偉人の言葉を書き連ねる


 アメリゴ・ヴェスプッチは 愛の褥でこう呟いたって話


 「新大陸が見つかったなんて 全部嘘だと言うべきだった」


 そう 新大陸 新たな世界は 独り占めするのが 正しいやり方


 だが愚民どもは 新大陸に嬉々として押し寄せた

 

 今では夢の国はゴミ溜め 廃墟と化しつつある


 合衆国大統領は 一度チューインガムを膨らまし 書類にサインをする


 「未知なる宇宙 これより先は立ち入るべからず」 


 そう それは たしかに賢いやり方だ


 未だに自分の見つけた現地人が インディアンだったと信じてやまない


 コロンブスだって それに頷いてくれることだろう

 

 愛の血と宝石 香料と間違えた 枯れたトウモロコシに囲まれながら



 どうやら僕らはまた乗せられて 騙されるらしい


 僕らが 忙しげに荷物を纏めて飛び出した宇宙は 理想郷だって


 だが残念なことに 僕らが訪れた途端 そこは虚無の戦場と成り変わるんだ


 人づてに聞いた話では 戦場で散り行く戦士の 今際の言葉によると 

 

 どうやら 合衆国大統領とその取り巻きは


 今頃 僕らの宇宙とは また別の場所で よろしくやってるらしい


 全くもって不可解で 解せない話だよ 本当にやるせないね


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