天から堕ちた天女様
別にガールズラブ要素はないのですが、それっぽい描写がないことはないのでつけました。
ある国にある城がありました。
ある城には多くの人と王子様がおりました。
ある時、天から天女が降ってきました。
「おお、なんて美しい」
国に一人の王子様は美しい天女に恋をしました。
天女はいいます。
「いいえ、私はただの人。貴女に釣り合う女じゃない」
しかし、国は聞きません。
天から使わされた天女様。
民達は既に彼女を信仰し始めていたからです。
「彼女を使えばますます国は安定だ」
国の重臣達はほくそ笑みます。
これで、もっと沢山のお金と名誉が手に入るからです。
王子は言います。
「あの天女こそ、我が運命。さあ―――手に入れよう」
近衛騎士も宰相も王様もお后様も、皆皆王子の言葉に賛成です。
「天女様、天女様。貴女は何をお泣きになっておられるのです」
ただ一人、天女の世話を任された侍女をおいて。
天女は言います。
「帰りたいの。早く帰りたい―――私の世界へ」
「天へお帰りになりたいのですか」
「ええ、そう、そうよ。でも帰る方法が分からない―――私に、羽衣があればよかったのに」
「羽衣とは何ですか」
「綺麗な布のようなもの。それをつけたら、飛べるのよ」
侍女は天女を愛していました。
大好きな天女様。
綺麗な天女様。
彼女が泣くと侍女は同じように悲しくなって泣きました。
彼女が笑えば侍女は同じように嬉しくなって笑いました。
侍女は羽衣を探します。
天女の為に。
天女を世界へ戻すため。
けれど、ああ、けれど。
王子がそれを知りました。
天女が羽衣を欲していることを。
羽衣を侍女が探していることを。
激怒した王子、血に沈む侍女、呆然とする天女――――
それから、天女様の噂を聞くことはありません。
天女様はどこに?
天女様は天に帰ったのか?
それは誰にもわからない。
どこにも記されていない物語。
けれど、一つ追記をしておくのならば……
天女様がいなくなって
王子は地下牢を作ったということだけ――――
『死んだら帰れるかもしれないんだ……でも、そしたらリリーに会えなくなっちゃうよね』
『何を言ってるんですか?! 天女様は絶対に死んではなりません!』
『でも、でも……私、あの王子と結婚したくないし……』
『天女様は最後まで生きてください! それで、もし天女様が世界へ帰れたら私がそちらに行きます!』
『リリーが、私の世界に?』
『はい! リリーは天女様が大好きですから! 死んでも絶対、会いに行きます!』
『リリーなら本当に来そうだねー……』
『勿論です! だから、だから天女様は死なないで下さい! 約束してください!』
『……分かった。約束ね』
落ちてきたのは普通の女子高校生です。
今回初めて高性能執筆使いました。字下げ、いつも手作業で頑張っていたので、物凄くショックです。一瞬だったじゃないですかっ!!orz