スタン・ゲッツ
スタン・ゲッツのテナーサックスは至上である。ぼくは断言する。この上ないことを。
まず倍音がおかしい。豊かすぎる。アルトサックスみたいな柔らかな音色を奏でたと思えば、説得力のある低音を響かせる。そして、優しい。
かつてジョン・コルトレーンは言った。
「スタン・ゲッツみたいに吹けたら、みんなそうするぜ」
そうだろう、とぼくも思う。「イパネマの娘」を聴きながら。スタン・ゲッツみたいにテナーサックスを吹いてみたいなもんだ。きっとぶっ飛んでるに違いない。
でも今の時代、金管楽器は近所迷惑になるから、カラオケに行って吹くとか面倒が多そうだ。
実を言うと、ぼくは子供の頃、ピアノを習っていた。でも周りが女の子ばかりで嫌になってソフトボールチームに入った。
ピアノを続けてたほうがいいのか、ソフトボールをやっていたほうがいいのか、今となってもふと分岐点に立たされ、正解が見いだせない。
答えはない。前に進むしかない。
だから前に進もうよ。ときには自分勝手でいいんだよ。前時代の人は自分勝手に道を切り開いたんだから。
そしてスタン・ゲッツのテナーサックスは今も変わらなくあなたを歌うように包み込んでくれるのだから。
行きつけのバーの主人に変人呼ばわりされてます。ぼくはまともだ。