2怪目 1年1組・黒板の文字
「次どこ行く?」
「1-1から順番に回ってみるのは?」
「それもいいな。じゃあ下りるか」
そんな会話をして、1階の教室へ向かった。
それにしても暑い。日が照っている時間よりはマシだが、それでもホコリっぽい室内でずっと歩き続けるのは少し嫌だった。まぁ楽しいからまだまだやるけどね。
懐中電灯で足元を照らしながら階段を下る。ホコリで滑る可能性もあるので、1段1段しっかり足をつけてゆっくり下りる。
1年1組の教室に入ると、微かに香水のような匂いがした。各々懐中電灯で照らしながら教室内を徘徊する。
高校で使ってるのと同じような机がたくさんある。中学以降は全部同じなのだろうか。150cmの人もいれば2mの人もいるってのに。
「うわぁ!」
教室の真ん中らへんでアルトが叫んだ。声のした辺りを照らすと、アルトが腰を抜かしていた。
「どうした?」
「こ、黒板に真っ赤な字で〈死んでください〉って⋯⋯!」
「マジかよ⋯⋯」
パッソと2人で照らしてみると、その全貌が明らかになった。
「これって⋯⋯!」
「まさか、フワちゃんもここに来たことが⋯⋯!?」
怖くなった俺たちはすぐに教室を出た。
「あのさ⋯⋯」
「どうした?」
「実はさっき腰抜かした時、ちょっとチビっててさ⋯⋯トイレ行かね?」
「トイレといえば、こんな噂が⋯⋯」
パッソがアルトに耳打ちした。
「マジ?」
「うん、出るらしいよ」
「いやそっちじゃなくて、こんな状態なのにマジで7階まで行けと?」
7階!? いったいパッソは何を言ったんだ? ていうかここ何階建てなんだよ。
「せっかく来たんだし、オバケ見たいだろ?」
「見たいけどさ、今この階のトイレに行って、その後7階のトイレに行くのじゃダメ? もうけっこうヤバいんだけど」
「あ、その手があったか。いいよ、そうしよう」
「た、助かった⋯⋯」
アルトは安堵の表情を浮かべ、勢いよく失禁した。
「なにやってんの!?」
「しまった! 安心したら膀胱も緩んでしまった!」
「じゃあもうそこのトイレ行かなくていいよな! 7階行くぞ!」
「えっ⋯⋯まぁ、うん。はい」
いいんだ。