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ビス

「私みたいに違う世界から来た人ってどれくらいいるか知ってる?」

私はモニターで監視活動中のムイに聞いてみた。


「私が知るのは勇者だけですね。」

ムイは考えながらそう答えた。

「どうしたんですか?」


「この前の双子は召喚されたわけじゃなくて自分で願ってこの世界に来たんだって。」

私は双子を思い出しながら言った。


「そんな話は初めて聞きましたが、もしかしたらそういう人もいるかもしれませんね。」


「シアみたいなのがポンポン来られたらこの世界が崩壊しちゃうわ!」チュンが嫌な顔をしてそう言った。


(確かに私と同じスキル持ちがいっぱいいたら怨霊だらけになりそう)

私はそこかしらに生霊が飛び交う世界を想像した。


階段を降りてくる音が聞こえた。

「シア、暇か?」

悪魔はニヤニヤしながらやってきた。


「何か仕事でしょうか?」

ニヤが何か箱を持っている。


嫌な予感がする。


「ちょっとおつかいに行ってきてくれ。」

ニヤはテーブルに箱を置いた。

「これをある人に届けてほしい。」


「瞬間移動できない場所なんですか?」

悪魔ならすぐに行って帰って来れるだろうに。


「いや、そうではないが。お前に会ってみたいと言われてな。詳細はニヤから聞け。」

悪魔はそう言うと階段を上がっていった。


「こちらがその方の居られる場所になります。本日の夕方までには届けてほしいそうです。」

ニヤは地図に丸印をつけて私に渡し、階段を上がっていった。


ここから北西の海に近いところだった。

私は遠視で確かめた。

大きくはないが立派な家が1軒建っている。

近くに人間の気配はない。


「ムイは行く?」

と、私が聞くと、「やることが、やることがたくさんありますので!」と、なんとなく動揺した感じで上に行ってしまった。

(しかたない、一人で行くか)


私は箱を持ち近くに瞬間移動した。


────


潮のいい香りがした。

波打ち際の音も心地よい。

(ステキなところだな)


私は家をみつけ近寄ろうとした。

(!!!)

危ない気配がする。

私は小石を拾い1歩前に投げた。

穴が開いた。

中にはこちらに向かって尖った木の棒が何本もあった。

(罠?!)

私は探知した。

ここは罠だらけだった。


そこらじゅうから罠の気配がする。

私は一つ一つ除けながら進んだ。

家はすぐそこで歩けば数分なのになかなかたどり着けない。

ムイがついてこなかった理由がわかった気がする。

(あいつ知ってたな!!)


小一時間かけてやっと玄関下の階段までやって来た。

(まだ安心はできない)


階段は踏むと抜ける仕様になっていた。

下には見たことのない食虫植物のような禍々しい植物が植えてあった。

私は玄関までジャンプしようかと思ったが、(まだ何かある)ような気がした。


風魔法をあててみた。

上から槍が降ってきた。

(殺しにきてる!!!)


槍が降ったからと油断させてまだある気がする。

念動力で槍を1本抜いてみた。

横から矢が飛んできた。

しかも毒の臭いがする。

(毒矢…)


私は槍と矢を炎魔法でうまく燃やした。

さすがにもう何もないだろう…

(いや待て、まだ下から何か出てくるかもしれない)

私は遠視で下を見た。

蛇がたくさんいるようだった。


(玄関までの道がない)


私は玄関を諦めることにした。

(あの窓から行けないかな)


テラスになっていて大きな窓がある。

あのテラスに罠がなければ…

何かが飛んでくるような仕掛けはないようだった。

しかし怪しい。

そんな簡単だろうか?


私はテラスも諦めた。

「ルアン、風魔法であそこに行ける?」

私は屋根を指差した。

「行けるけど大丈夫かな?何か飛んでこない??」

「た、たぶん。」

ルアンは心配しながら私を屋根まで運んでくれた。


(さて、ここからどうしようか)

ベランダに大きな窓はあるがきっと何か仕掛けがあるだろう。

小さな窓はこの箱を持って入るには大変そうだ。

(屋根をぶち壊して入ろうか)


壊したものは直せばいい。

私は屋根を壊そうとした。

「待て!!待つんじゃ!!」


屋根裏の窓から白い髭を生やしたおじいさんが顔を出した。

「わしの負けじゃ!ここから入りなさい。」

私は怪しみながら近寄った。

(あそこ滑りやすくしてある)

私は窓の前を睨みつけた。


私は(滑らない)と念じ窓に向かった。

私が窓までたどり着くと、「ほほぉ、おぬしやりおるな。」と言われた。


「ライハライトの屋敷から参りました。シアと申します。このようなところから失礼いたします。」

私は挨拶をして箱をおじいさんに渡した。

おじいさんは箱を受け取った。

「では私はこれで失礼いたします。」

(こんな危険なところには居られない)


「待ちなさい!中に入りなさい!」

おじいさんは私を引き留めた。

私は露骨に嫌な顔をしてしまった。


「わしが悪かった!茶でも飲んでいっておくれ。」

おじいさんは必死に手招きしている。

私はしかたなく窓から入り、「おじゃまします」と言った。


中にも罠があるかもしれないと警戒した。

おじいさんが歩いた場所をそのまま歩いた。


それを見ておじいさんは笑った。

「賢い子じゃ!!」


テーブルに案内された。

「そこに座りなさい。」

私は椅子を睨みつけた。

この椅子、きっとグニャグニャだ。

風魔法をそっと当てると波打った。


私は(固くなれ 私が座っても大丈夫)と念じた。

私は椅子に座った。


おじいさんはニヤニヤしながらお茶を持ってきた。

「無傷で椅子に座れたのはおぬしが初じゃわい!!」

と、大笑いした。

「いやぁ!愉快愉快!!」


私は気が抜けなかった。

油断すれば何かあるはずだ。


「お茶をどうぞ。」と言われたがこのお茶もなんだか怪しい。

持ち手に何かついている。

臭いからしてしびれ薬の類だろう。

私は持ち手を使わずそのままカップを持ちお茶を飲んだ。

ちょっと熱いがしかたない。


おじいさんは終始私を観察しては笑い、たいそう楽しそうだった。

「挨拶が遅くなったな。わしはビスじゃ。よろしくな。」

ビスは握手のつもりだろう手を出してきた。

(この手、偽物だな)

私は腕を握った。

ビスの出した手はポロっと落ちてシューッと消えた。

湯気があがっていた。


ビスは上機嫌で、「さすが悪魔のお気に入りじゃ!」と言って私の肩を叩いた。


ビスは杖を出し、「全解除!」と叫んだ。

家の中からナイフやら剣やらが出てきてその場に落ちた。

至るところから変な臭いがした。

煙が上がっているところもある。

ビスはもう一度杖を振った。

ナイフやらは飛んで引き出しなどに入っていった。

臭いや煙も消えた。


「もう何も出て来んので安心するがいい。」

私は注意深く観察したが本当にそのようだった。

私はふぅーと大きく息を吐いた。


「私を殺す気かと思いました。」

私は笑顔で言った。

「死ぬ前に回復させるで大丈夫だわい!」

ビスも笑顔だった。


ビスは箱を開けた。

中にはクロワッサンが入っていた。

(クロワッサンのために死ぬ思いをしたのか)


「これは珍しい。いい匂いがするのぉ。」

「それはクロワッサンというパンの一種です。」


ビスは一口食べてみた。

「ほぉー!これは芳醇な香りにサクッとした食感!まさに美味じゃ!」

ビスはむしゃむしゃと食べきってしまった。

「悪魔め!いい仕事しおる!」


「お茶ごちそうさまでした。」

私は長居してはいけない気がして立ち上がった。


「もう何もないから!もう少しゆっくりしていっとくれ。」

ビスは少し悲しそうな顔をした。

「では、おかわりをいただきます。」

私はお茶のおかわりをもらった。


「あの悪魔とは長いつきあいでのぉ。」

ビスは懐かしげに話しだした。


ビスが小さいときに魔物除けの罠に引っかかってしまったのを悪魔に助けられたのが出会いだという。

「罠より恐ろしかったわぃ!あの真っ黒な角!」

(確かに)


「しかし見た目と違って優しい男でな…」

両親を早くに亡くしたビスのことを気遣ってくれたという。

「わしが1人前の魔法を使えるようになったのはあの悪魔のおかげじゃ。」

(この罠は悪魔仕込みかい)


「たまに会いに来てくれるから罠の仕掛けがいがあるってもんよ。毎回大笑いして解除されちまうがな!」


悪魔にこんな知り合いがいたなんて知らなかった。


「わしはそろそろお迎えが来るんじゃ…寿命ってやつだ。」

ビスは悲しげに語りだした。

「素晴らしい伴侶に会えて出来のいい子供たちも生まれた。思い残すこともないがな!」

ビスはガハハと笑った。


「奥さんは?」と聞くと、

「先に天国で待っとるわ!10年も待たせとるからそろそろ行かんとな。」

「お子さんたちは?」と聞くとビスは急に下を向いた。

「きっとどこかで幸せに暮らしとるはずじゃ。」

と言った。

この話しぶりだとしばらく会っていないのだろう。


「わしの子のくせによくできる奴らでな!」

ビスは嬉しそうに子供たちの自慢話を始めた。

私はなぜかそんなビスが可愛らしく見えてニコニコしてその話を聞いた。


(本当は子供たちに会いたいんだろうな)


「おっと、暗くなってきおったな。」

外を見ると夕日が沈もうとしていた。

「ではそろそろ…」

私が帰ろうとすると、「まだよいじゃろ!今日はシチューをしかけておいたんじゃ!いい具合にできてると思うで、食っていきいや。」

私は座り直した。

「ボクもお腹空いちゃった!」とアリが出てきた。

妖精たちも「隠れてるのに疲れちゃったわ。」と出てきた。

「なんじゃ!仲間もおるなら早よ言わんかい!たくさんあるで、みんなで食おうや!」

ビスはみんなの分のシチューをよそってくれた。

「うちのパンはちいと固いが噛めば噛むほどいい味がするで!」


私たちはお腹いっぱいごちそうになった。

食べながらもビスは家族の話や昔の悪魔の話も聞かせてくれた。

外は真っ暗になっていた。


ビスは窓の外を見て「さすがにそろそろ帰してやらんと悪いのぉ。」と言ってから、「じじぃにつきあわせて悪かったのぉ。」と謝った。


私は立ち上がり、「とても楽しい時間でした!」と言った。

ビスは私を見て「ありがとう」と言った。


玄関まで見送ってくれて「また罠を仕掛けておくで!いつでも遊びにきんしゃい!」と手を振った。

私も手を振ってその場で瞬間移動をして屋敷に戻った。


帰るとムイが心配した様子で、「遅かったですね!お怪我は?!」と聞いてきた。

(行く前に教えておいてほしかったですが)


悪魔も私の顔を見に来て、「ご苦労さん」と言って微笑んだ。

私は悪魔に、「ビスの子供たちって今どこにいるの?」と聞いてみた。

「聞いてどうする気だ?」と悪魔の表情は少しくもった

「ビスはきっと子供たちに会いたいと思ってる…」

私はおせっかいだとわかっていたが黙っていられなかった。

「王都で騎士をやっていると聞いている。詳しくは知らん。」と言って執務室に入っていった。


(王都…聖女のところか…)


私は明日行ってみようと思った。


────


翌朝、天気はあいにくの曇りだった。

私はククルにお土産用に焼菓子を箱に詰めてもらった。


ムイに「ちょっと王都に行ってくるね。」と言って城の門の近くに瞬間移動した。


門番に聖女に会いたいと伝えて待っていると向こうからキリナが走ってきた。

「シアさん!!お久しぶりです!」

すぐに城の中へ通してくれた。


「幸せそうだね。」

キリナは照れていた。

「はい、とても。」


歩きながら今の城の中や城下町の様子を聞かせてくれた。

「前よりいい街になったね。」と言うと嬉しそうにしていた。


聖女は忙しそうに指示を出していた。

「まぁ!シア!元気そうね。」

聖女も元気そうだった。


「ちょっと頼み事があるんだけど。」

と言うと、「そうだと思ったわよ。それでどうしたの?」

と私の持ってきたお土産を開けながら聞いてきた。


私はビスの話をして子供たちを探していると話した。

聖女は「名前も年齢もわからないのね。」と、顔をしかめた。

キリナは「あの人ならわかるかも!連れてきます!」と言って部屋を出ていった。


すぐにヨボヨボのおじいさんを連れてきた。

「デモンさんです!」と紹介してくれた。


デモンは見た目に反して頭はしっかりしていた。

私はデモンにもビスの話をした。

「なるほど、その兄弟なら心当たりがあります。」

と言って『ダン』と『ロイ』という名の騎士じゃないか、と教えてくれた。

私はデモンにお礼をして探しに行くことにした。

聖女がキリナに「手伝ってあげて」と言い、キリナは「もちろん!」と答えた。

(仲良くやってるみたいだな)


キリナは歩いている騎士を捕まえてその2人がどこにいるか聞いてくれた。

今日は2人とも非番だから酒場か食堂にでもいるんじゃないかと教えてもらった。


私とキリナは城下町に向かった。


────


食堂に騎士らしい人は居なかったので酒場に向かった。

城下町はすっかり元に戻っていて前よりも賑わっているようだった。

人々の笑顔が溢れていた。

私もついニコニコしてしまった。


酒場は昼間から人でいっぱいだった。

キリナはそれらしき人に話しかけていた。

「それなら奥にいるあいつらです。」と教えてもらった。

奥にそっくりな顔をした30歳くらいの男が2人いた。


キリナは2人に話しかけ、少し時間をくれとお願いをした。

2人が頷いたので私は近づいて自己紹介をした。

「ビスという名に心当たりはありませんか?」

2人は明らかに嫌な顔をして「知りません。」と答えた。

目をそらし、居心地が悪そうにしている。

「本当に知りませんか?このくらいの背丈でガハハって笑う男の人なんですが…」

2人はそっぽを向いたまま黙っている。


兄らしい方が「その男がどうしたというんです?」と聞いてきた。

私は深刻な顔で、「長くないらしいんです。」と言った。

(とっても元気そうではあったけども)


2人は一斉に私の方を見た。

「死ぬってことですか?」弟っぽい方が焦った様子で聞いてきた。

「お二人はビスの息子さんですよね?」

2人はゆっくりと頷いた。

「私が兄のダンでこっちが弟のロンです。」


私はビスが嬉しそうに2人のことをこんなふうに話していたと伝えた。

「そんな話、したこともないのに…」


2人の話によると10年前に母親が亡くなってビスは塞ぎ込んでしまったという。

息子たちが立ち直らせようとしたが全然ダメで、次第に寄りつかなくなってしまったと言う話だった。

「今はそんなに元気なんですね。」

ダンは少しホッとした表情を見せた。


「父はあのまま死ぬつもりでいたんです。飲まず食わずで俺たちの話を聞こうともしなかった。」

ロンは悲しげにそう言った。


「俺たちだって母さんが死んで悲しかった。それなのに…」

「死にたいなら勝手にしろって、それが最後の言葉です。」

2人は俯いた。


「お父さんを許してあげてくれませんか?きっとすごく反省してると思います!だってそのときに死ななかったんでしょ?元気に一人で暮らしてますよ!きっと反省したから、死ねないって思ったから…」

私はなぜか涙が出ていた。


2人は頷いた。

「父はまだ海の側の家に?」

私は頷いた。


「今から行けますか?」

と聞くと、「遠いからちょっと今日は無理かも…明日は仕事だし。」と言うので、「今日中に帰れたらいいですか?」と聞いた。

「いや、まぁ、それなら」と言うので、キリナに「行ってくるね!」と言い兄弟の腕を掴んだ。

私はビスの家の屋根の上に瞬間移動した。


────


2人はびっくりして屋根から落ちそうになった。

私は(全解除)と念じた。

ガシャンガシャンと罠の落ちる音が聞こえ、変な臭いもしてきた。

下から煙も上がってきた。

(消えろ)と念じると煙は消え変な臭いもしなくなった。


「ビス!開けて!シアだよ!」

私は屋根の上で叫んだ。

ドタバタと聞こえ、屋根裏の窓が開いた。

「なにごとじゃい!!」

ビスは窓から顔を出し、息子たちの顔を見て固まっていた。

「なんで屋根の上におるんじゃ!」


2人は順番に屋根裏の窓から中に入った。

私は「1番安全なのが屋根だったので。」と言うとビスは笑った。

兄弟は気まずそうにビスを見てはモジモジしていた。

「ただいまでしょ。」と私が小声で言うと、「ただいま」と2人も小声で言った。

ビスはその場で泣き崩れ、「おかえり…」と言った。


罠だったナイフやら剣やらを乗り越えて私たちは下のテーブルまで移動した。

「罠の数、増えたみたいだね。」と、ロンが笑った。

「変わらないね。」と、ダンは家の中を眺めた。


ビスはみんなにお茶を淹れてくれた。


「すまなかった!わしはお前たちの気持ちも考えんで…親なのに…お前たちの親なのに…」

ビスは頭をテーブルに打ちつけて謝った。

「父さん!やめてよ!」ダンが止めた。


「俺たちも意地を張ってたんだ。本当は心配だったけど、意地を張って会いにこなかったんだ。」

「ごめん、父さん。」

3人は泣きながら手を取った。

私も泣いていた。


少したってダンが「シアさんに父さんが死ぬかもって聞いたんだ。」と、深刻そうな顔をしてビスに言った。

ビスはキョトンとして「寿命が来たら誰でも死ぬじゃろ?」と言った。

「病気じゃないのか?」

2人は顔を見合わせてから私を睨んだ。

それから笑いだした。

「今にも死んでしまうのかと思ったよ!!」

ビスは「まだ死ぬつもりはない!」と叫んだ。

私は知らんぷりをした。

そしてみんなで笑った。

涙が出るほど笑った。


「昨日のシチューがまだあるんじゃ…じじぃ一人じゃ食いきれんでのぉ。」

ビスはまたみんなにシチューを配った。

心なしか昨日より美味しかった。

「母さんの味だね。」

兄弟は美味しそうに食べた。


その後は兄弟が城での話や騎士の仕事の話をして盛り上がった。

昨日の私が見事に罠をくぐり抜けた話もされてみんなで大笑いした。

あっという間に外は暗くなった。

「泊まって行きたいけど明日仕事なんだ…」

ダンが名残惜しそうにそう言った。

「次の長期休暇にここに来てもいいかい?家族に会わせたい。」とロンが言った。

「俺も嫁さんと子供たちを連れてきたい。」と、ダンも言った。

「罠を解除しておかんといけんな!」ビスは大喜びでそう言った。

またみんなで笑った。

「休みが決まったら手紙を書くよ。」

「またな!」

ビスは兄弟に抱きついた。

「会いに来てくれてありがとう…ありがとう…」と、また泣いた。

2人も涙ぐんでいた。

私は「じゃあね!」と言って兄弟の腕を掴み、城の近くへ瞬間移動した。


「騙したわけじゃないんだからね!」と、私は弁解した。

2人はニコッと笑い、「騙されてよかったよ。」と言ってくれた。

そして深々と頭を下げた。


私は「罠には気をつけてね!」と言ってその場を去った。


────


屋敷に帰ると悪魔がそわそわしていた。

私をみつけると「遅かったな。」と言って睨んだ。

私はニコッと笑い、「話に花が咲いたので。」と、答えた。

悪魔は察したようで「感謝する。」と言って部屋に入っていった。


ムイがそれを見て「お疲れ様でした。」と言った。


私もすぐに寝室に入った。

なぜだかわからないけど涙が出た。

悲しいのか嬉しいのかわからない涙が出た。


人間って難しいな…



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