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祈り

屋敷のまわりには黒い姿の何者かが20人くらいいた。

リリの結界を越えることはできなかったようで結界を取り囲むように点在していた。


「危ないと思ったら結界の中に戻ること!」

私はそう言って結界の外へ出た。


黒い姿の者たちが集まってくる。

そして黒い何かを飛ばしてきた。

チュンがキラキラを出してそれを相殺する。

続けてルアンが風魔法で敵の動きを止める。

私は捕縛スキルを試してみる。

敵はイモムシのようにその場でジタバタしている。

(いける!)


空中はドラゴン姿のセキが応戦している。

攻撃をうまくかわしながら炎を吹きかけている。

あたった者は一瞬で灰になった。

アリは物理攻撃と闇魔法でどんどん倒している。

闇魔法があたるとブラックホールに吸い込まれたかのように消えていく。


屋敷のまわりの敵はすぐに制圧できた。

私は捕縛した黒い者の一人に問いかけた。


「お前たちの主人は今どこにいる?」

目を合わさず口を開こうともしない。

(話せ)と念じた。


「魔王様は…まだ…雪…の下の…洞窟…まだ…足りない…魔力…」

と、そこまで言うと急に「ギャーッ」と叫び黒い砂になってその場にサラサラと落ちた。


「アリ、何かした?」

アリは首を横に振っている。

「ゼスの呪いだわ。」

チュンは震えながら言った。

(魔力が足りないって集めているってこと?)


「城は…聖女たちは大丈夫かな?!」


聖女も賢者も魔力を得るには申し分のない存在だ。

私たちはすぐに王都に瞬間移動した。


────


案の定こちらにもたくさんの黒い姿の者たちが城を取り囲んでいた。

騎士たちも応戦していたが負傷者も多そうだ。


「ムイは負傷者を運んで!チュンは回復魔法を!セキは人型で魔法で応戦して!アリはさっきと同じ!」


屋敷より敵の数は多い。

キリナも攻撃魔法で敵を倒している。

「シアさん!助かります!」


この調子だと魔王城にも来ているだろう。

ここは私たちで倒すしかない。


「城下町に近づけないようここで仕留める!」


(砕けろ)

(固まれ)

(蒸発しろ)


私は練習していたいろんな方法で片っ端から倒していった。

「こっちは片づいたよ!」

アリとセキは敵を消し去って跡形もなくしていた。

キリナがそれを見て「すごい…」と呆然としていた。


「ここはもう大丈夫だと思うわ!」

聖女は負傷者を手当しながら私に叫んだ。


「魔王のところへ行くわ!」

私たちは魔王城へ向かった。


────


魔王城は結界のまわりを黒い者たちで埋め尽くされていた。

(どこからこんなに…)


「ご主人様のために魔力をよこせ…」

あちらこちらで呪文のよう囁かれているのが聞こえてくる。


魔王軍が集まってきた。

悪魔とニヤもいた。


「油断するでないぞよ!敵の数はこちらの10倍以上おる!」

魔王は魔王軍に指示を出していた。

「シア!加勢助かるぞよ!」


「では倒して参ろうか。」

悪魔はニヤニヤしながら黒い集団に向かっていった。


「私たちも行くよ!」


「結界を補強します!」

リリが呪文を唱えはじめた。

敵の数が多すぎて結界が破れそうになっている。


(結界から離れろ)私は強めに念じた。


黒い集団は結界から弾かれるように飛んでいった。

「シア!ナイス!」

アリが手を叩いている。


「セキは空中の敵をお願い!」

「任せて!」


ムイが負傷者をみつけて結界の中に運び、チュンは回復魔法をかける。

ルアンは風魔法でアリを空中に飛ばし、アリは闇魔法で敵を消し去っている。


(みんな強くなったな)


私も負けてはいられない。

相手は霊体ではないようだから属性魔法も呪詛も効いている。

レベリングの効果が出ているようで効き目もパワーアップしているようだった。


敵の数も減ってきている。

(このまますべての敵を倒す!)


黒い者たちが集まっている場所があった。

(あそこは…メメちゃんの!?)


結界を破ろうとしていた。

「レイのお友達に何してんのよっ!!」

私の怒りは爆発した。


(爆ぜろ!)と念じた。

黒い集団は花火のように飛び散った。


私はメメちゃんの無事を確認するために近づいた。


魔王も心配そうにやって来た。


急に結界の中が光りだした。

「メメちゃん?!大丈夫??」


眩しさに目を細めながら近づいた。

そこにはなんと赤い花が咲こうとしていた。


「メルナ?メルナなのか??」

魔王は赤い花に近づいた。


「ミミちゃん…ただいま。」


魔王は泣いていた。

魔王は優しくメメちゃんを抱きしめた。


「レイちゃんはどこ?」

メメちゃんは飛び回りキョロキョロしている。


「レイは…」

私はさっき見たレイたちの顛末を魔王たちに話した。


「勇者が…そうか…」

魔王は何かを察したかのようにそこで言葉を止めた。

メメちゃんは「信じられない」と泣きだした。

「せっかくまた生まれることができたのに…」


「敵はすべて倒したみたいだ。」

悪魔がやって来た。


「結界を強固にしておきました。」

リリもやって来た。


泣いているメメちゃんを囲んで私たちは言葉を出せずにいた。


魔王は優しく寄り添い、城に戻るぞと言って城に入っていった。

悪魔は「1度屋敷に戻る。」と言って消えていった。

私たちも後を追った。


────


屋敷のまわりは静かだった。

とりあえずは撃退できたようだった。


私たちは少し休憩することになった。

かなりの魔力を消費した。


休んでいるとセキがあるものを持ってやって来た。

それは金の鱗だった。

「これ、ママにあげようと思って忘れてたの。これでレイを戻せない?」

セキは泣きそうになってそう言った。


願いの叶うと言われている鱗…

(そういえばもう一枚ある!)


「2枚あるからレイとユイを…」


そう思ったが2人がその後どうなったのかわからない。

この状況で願って2人は生き返ったりするのだろうか?


私はダメ元でアッシュに連絡してみた。

応答はない。

私はしつこく発信し続けた。


「はい…」


アッシュと思われる弱々しい声が聞こえた。

「アッシュ?!レイとユイを返して!!」

私は叫んだ。


「2人は…もう…」

「わかってるけど!生き返るか試したいの!お願い!2人を返して!!」


「生き返る?」

アッシュは戸惑っている。

「リビルドの城の北に別の小屋があります。そこにいます。」


私はすぐに遠視で探した。

ガオルの小屋から西に行くと似たような小屋があった。

(こんなところに…気がつかなかった)


私はすぐにそこに瞬間移動した。


────


泣きはらした顔のアッシュがそこにいた。


「シアさん…ごめんなさい…」


ベッドの上にレイとユイは寝かされていた。

生気のない青白い顔をしていた。

触ると冷たい。


私は涙を我慢して金の鱗を1枚ずつ2人の上に置いた。


(お願いします!2人を生き返らせてください!!)

私は膝をつき、目を閉じて何度も祈った。


鱗は眩しい光を放ったかと思うとサラサラと消えていった。


みんなはそれをただみつめた。


青白かった顔が少しずつ赤みがかかってきた。

そして2人はゆっくりと目を開けた。


「ここは…天国…?」


私は泣き崩れた。

みんな泣いた。


私は2人を抱きしめた。


アッシュは両手で顔を覆い、

「神様ありがとうございます。」と囁いていた。


「生き返ったの?」

2人はキョトンとしている。


「レイ、メメちゃんも生き返ったよ。」

と私が教えると飛び跳ねて喜んだ。

ユイもメメちゃんの話を聞いていたようで、

「私もメメちゃんに会いたい!」

と言った。

「魔王城にいるよ、行っておいで。」

と言うと2人ですぐに消えていった。


私はうなだれていたアッシュを掴み、

「どうしてこうなったの?」

と聞いた。


アッシュは最初から話をしてくれた。


「レイとユイのことは調査中にあの地下にいると知りました。」

一人であの集落を訪れたという。

レイはアッシュの存在を知っていたのですぐに自分のことも話したそうだ。

そこで自分のスキルの話になり、私と同じようなことができること、そして「怨霊殺し」のスキルを持っていることも知ったという。


アッシュはこれが私を殺してしまう可能性があることも察した。

絶対に敵側に行ってはいけない人だと認識した。


それからは探知で2人の気配を感じていたということだった。

そしてあの日、2人に危険が迫っていることを感じた。

すぐに転移魔法を駆使して集落に来たがすでに2人は消えてしまっていた。

小屋に向かったに違いないとガオルの小屋に行くと2人は黒い何かに捕まっていて、小屋の下へ連れて行かれそうになっていた。


レイは「私たちが捕まるわけにはいかない。私たちが敵の手に落ちるとシアが死ぬことになる。」と言ったそうだ。


『怨霊殺し』という未知のスキルを持った状態でレイが操られるようなことになればきっと大変なことになる。

レイは「手遅れになる前に私たちを殺して。」とアッシュに頼んだそうだ。


「そうだったんだ…」

私は泣いたままのアッシュを抱きしめた。

「辛かったね…」


アッシュはしばらく泣き続けた。


「あの黒い奴らは?」

我に返ったようにアッシュは聞いた。


「みつけた奴らはすべて倒した。」

と、魔力を欲しているようだという話もした。


「魔力が集まったら封印が解かれてしまうということですか…」


もうあの洞窟に行くしかない。

「私も行きます。」

アッシュはまっすぐ私をみつめてそう言った。

私は頷いた。


ゼスが封印されているという、あの小屋の下へ。


今度こそあの下へ行く。



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