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小屋の下

朝からアッシュから連絡があった。


アッシュはセキが持っていたスマホをみつけ、自分も欲しいとうるさく言うので出してあげていた。

アリが「アッシュから着信だよ。」と教えてくれた。

くだらないことでもいちいち連絡してくるので(またか)と思い、「はいはい今日はなんですか?」と気のない返事をした。


「シアさん!こちらで何か嫌な気配を感じたのですが、一緒に調べていただけませんか?」

とアッシュはいつもの戯けた感じではなく緊迫した声を出した。

私にもそれが伝わったので「すぐに行くわ」と言ってリビルドの城に向かった。


アッシュは自室にいた。

「早いですね!」と喜んだ。


「嫌な気配ってどこから?」

私は本題に戻した。


アッシュは独自にこの大陸を調べていたという。

調査団を作って地図を作り人が居れば生活の状況などを聞いて回っているという。


私も日中は忙しいのでアッシュの様子を見るのはもっぱら夜だった。

(昼間にそんなことをしてたのね)


「城から北に少し行くと小屋がありまして。」


アッシュはどうやらガオルの潜伏していた小屋のことを言っていた。

「残留思念でもあるのかな?」

私たちは一緒に現地に見に行くことにした。


アッシュを掴み、小屋まで瞬間移動した。


屋根は崩れ、見るも無残な残骸が残っていた。

(そういえばあの時私が連れて行かれた洞窟はどこなんだろう)


ガオルの依代が倒れていた場所には雪が積もっていた。

私は近づこうとしたが足が動かない。

体が近づくのを拒否しているようだった。


注意深く何かあるのか観察した。

雪が邪魔だったので蒸発させてみた。


床の木材は割れて穴が開いていたりした。

その下の土が見える。


見た感じ特に異常はなさそうだったが近づこうとしてもまだ体は動かない。

気がつかないうちにトラウマを感じでいるのだろうか。


私の様子を見てチュンが「顔色が悪いわ。無理しないで帰りましょう。」と言った。

「もう少しだけ…」

私はこの体の異常の原因を調べたかった。


「この下から嫌な気配がするんですよね。」

とアッシュは小屋の下を指差した。


「掘ってみる?」とセキは物を消す魔法をかける気満々なようだった。

何かあるのに消してしまうのはまずいだろう。

「セキはちょっと待ってね。」


アッシュは床板を外してみると言い、バキバキと壊しだした。

50cmくらいの空間があり、すぐ下は土だった。

私はスコップを具現化し(ここを掘れ)と念じた。


スコップはひとりで土を掘り始めた。


私たちはそれを眺めていた。

「ほんとに便利なスキルだなぁ〜!」

アッシュは感動の眼差しをこちらに向ける。


10分くらい掘ると硬いものにぶちあたった。

「ここから下はスコップじゃ無理そうですね。」


私は岩に(砕けて粉になれ)と念じた。

私は練習で範囲指定できるようになっていた。

小さく砕いてスコップで掘り出すのを繰り返した。


掘り進めて行くと下が空間になっている気配を感じた。

案の定スポッと穴が開いた。


「ごめん、近づこうとしても体が動かないの。」

私は正直にアッシュにここであったすべてを話した。


アッシュは「では私が見てきますね!」と言った。

「待って!」私は反射的に止めていた。


この先は行っちゃだめな気がする。

「一人では行かせられない。」

私はアッシュの腕を掴んでいた。


アッシュは微笑み、「では覗くだけにしましょう。」と言って下を覗きこんだ。

私は炎魔法を調節して下を照らした。


「見た感じ洞窟みたいですね。まだ先がありそうです。」

アッシュは落ちないように慎重に見ている。


体を元に戻し、「どうしましょう」と言った。

「すごく嫌な予感がするんだよね。」と、私が言うと、

アリとセキも「ここ知ってる気がする。」と言い、

チュンが「ここだわ、多分。」と言った。


────


私がガオルに捕らわれたときに連れて行かれた洞窟はその後いくら探してもみつからなかった。

何か結界があって探知できないようになっているのだろうと悪魔が言っていた。


もしあの場所だとしたら…


私があそこで感じた強い気配。

石碑があった場所。


みんなに話すと「そこに封印されているかもしれない。」

と言う結論が出てしまった。


これは2人だけではどうにかなる話ではないので1度帰ることにした。


私は下に降りれるようにハシゴをかけ、雪が入らないように小屋を復元した。


アッシュを城に戻し屋敷に帰った私は悪魔のところに向かった。

執務室には魔王が来ていた。


「シア、みつけたのだな?」

魔王は真剣な顔をしていた。


私は「多分…中身が何なのかわかりませんが。」と答えた。


「おそらくゼスじゃろうな。」と魔王は言った。

チュンがビクッとするのがわかった。


(凶悪な魔王ゼス チュンを封印した魔王)


沈黙が流れた。


「もしそうだとしたら、出てこれんように補強せねばならんな。」

魔王はそう言い、腕を組み悩んでいる。

セキの封印のスキルは封印されているものに対しても有用なのだろうか?

私の呪いは通じるのだろうか?


次から次へと不安からの疑問がわいてきた。

そしてずっと(あそこには行きたくない)と言う気持ちが拭えなかった。


悪魔もあそこに行ったときに「すぐ立ち去らなければ」という感情が生まれたと話した。

実際にみんなが来てくれてからすぐにあそこを立ち去っている。

早くここから出ないといけないとみんな感じていたようだった。


「シアは近づかなくていい。」

悪魔は私にそう言ってくれた。

みんな頷いている。


「わしらで何かできないか話し合ってみるぞよ。ライハよ、1度城に行くぞよ。」と魔王たちは消えていった。


私と一緒に話を聞いていたムイと地下室に戻った。


「モニターに映せますか?」

と聞かれ、試してみたがあの小屋から下は強い結界があるようで遠視では無理だった。


「あんな真下にあったなんてね。」

私はあの時のことを思い出して体の震えが止まらなかった。


「今日はもう休みましょう。」と言われ、私は部屋に戻った。

チュンは「お風呂の用意をするわね!」と言い、私は風呂に入れられた。


私は湯船に浸かりため息をついた。


(あんなこと二度とごめんだ)


────


その日、私は夢を見た。


真っ暗闇で身動き一つ取れない。

息苦しくてこのまま呼吸が止まってしまうのではないかと感じてしまう。

ジメジメした重い空気。

冷たい風がどこからともなく流れているのを感じる。


そして奥から感じる威圧感。


(…しい……えが……い)


何かが頭に語りかけてくる。

こんな声聞きたくない。

耳を塞ぎたくても手が動かない。


(おま……ほ……い…)


ブツブツと同じ調子でゆっくりと語りかけてくる。

低くてこもった声。


(おまえが…ほしい…)


声がはっきり聞こえ、私は飛び起きた。


寝室にいた。

ドールハウスではアリたちが寝ている。


夢だ。

これは夢だ。


私は自分に言い聞かせる。

私は布団をかぶり目をつぶった。


(ただの夢だ!)




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