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城の地下

アッシュは夜になると薬屋に顔を出すようになった。

数分で帰ることが多かったが、来るたびに城内の話をしてくれた。


「牢屋から囚人が逃げたって聞きましたよ。」と、アッシュはニコニコして言った。

あれから街の中は逃げた人たちを探し回る兵士たちの姿でいっぱいだった。

捜索は一晩続いたが静かになったところを見ると諦めたようだった。


「王が代わりはいくらでもいるから問題ないと言ってましたよ。」

「あの人たちをどうするつもりだったの?」と聞くと、「定期的に地下に連れて行ってたみたいです。」と、アッシュから笑顔が消えていた。

「今はそこで何が行われているのか慎重に調べている最中です。」と、またにこやかに答えた。


「無理してみつからないでね。」と言うと、「心配してもらえるなんて感激です!」と喜んだ。

ムイとアリは冷たい視線を送っていた。


「では、また報告にまいります。」と言って消えていった。


「透明化でその地下まで行けるかな…」と私が言うと、「前回は建物の中には入ってないですよね。」とムイが心配そうな顔をした。

「どこまで行けるかやってみようかな。」

みんな心配そうな顔をして私を見た。

「危険を感じたらすぐに戻るよ!」


────


私は慎重に城の中へやって来た。

建物の中にもすんなり入ることができた。


城の中はときどき兵士が歩いているだけで静かなものだった。

(今のうちに行けるところをまわってみよう)


謁見の間や応接室なども見たが王の姿はなかった。

訓練所とみられる場所にアッシュはいた。

アッシュは私にウインクをした。

(相変わらず気持ち悪いな)


アッシュは私が近くに来るとわかってしまうらしい。

それが探知能力の賜物なのかどうかはわかっていない。

「ただ感じる」そうだ。


私はさらに奥に進んで行った。


立派な銅像や鎧が飾ってある部屋に出た。

そこに王はいた。


私は慎重に何をしているのか観察をした。

王は銅像の一つを杖で3回叩いた。

するとその銅像は動き、地下への階段が見えた。


私は急いで階段へ近づいた。


そのときに「誰だ?!」という声が頭に直接聞こえた。

私は驚いてすぐにその場を離れた。


一気に城の外まで出てきて宿屋に瞬間移動した。


宿屋に戻るとムイが心配していた。

「急にどうしたんですか?」

私の様子をモニターで見ていたらしい。


「『誰だ!』っていう声が聞こえたの。」

ムイは「そんなの聞こえなかったですけどね…」と言った。

確かにそうだ。

あれは私の頭に直接聞こえたものだ。

相手はテレパシーのスキルを持っているかもしれない。


私はその可能性をみんなに話した。

「無理して捕まるのは避けたいですねぇ。」とルアンが心配そうな顔をして言った。


私は使役のスキルを思い出した。

しばらく使っていなかったが今回は使えるかもしれない。

私は作戦を話した。


────


遠視で誰かいないかと探しているとネビがいた。

(あいつで試してみるか)


私はネビを使役してみた。

ネビは私の言う通りに動いた。


動かせたが城の中で遠視が効かないことに気がついた。

私はどうにかネビの体に入れないかといろいろやってみた。

使役したまま生霊をネビの体に重ねてみた。

スゥーッと引き込まれる感覚があっていつの間にか私はネビになっていた。


もしかして?とスキル一覧を確認してみるとそれはあった。


・憑依


これで裏門から中に入れないかやってみよう。


────


私はネビの体ですぐに裏門へ向かった。

(なんかこの体、臭いな)

私は不快感を感じていたがそんなこと言ってる場合じゃない。


裏門につくと兵士が「また来たのか。」と言った。

「中に入れてほしい」と頼むと、兵士は手を出して「早く」と言った。

私がなんのことかわからずにいると「銀貨1枚でいいよ」と兵士は言った。

私はポケットを探し財布から銀貨を1枚渡して中に入れてもらった。


(ネビが渡していたのはお金だったのか)


裏門から入ると薄暗い廊下がどこかへ繋がっていた。

私は明るい方ではなく暗い方へ向かってみた。


できるだけ人にみつからないように慎重に進んだ。


進んでいくと一人の魔法使いに出会ってしまった。

魔法使いは「ネビか、今日は土産はなしか。」と睨みつけた。

「申し訳ありません。」と私が言うと、

「今日はしおらしいな。」と言い、「今日は研究の成果をお前にも少し見せてやろう。」と言って私を地下へ向かう階段に連れてきた。

(いくつ地下への道があるんだ)

「この下だ。」と言って階段を降りていく魔法使いに黙ってついていった。


────


地下は薄暗かった。

ジメジメしていて空気も悪かった。

何か呪文のようなものが聞こえてきた。


魔法使いが数人、椅子に縛られた人たちに向かって何かを唱えていた。


そしてその奥にはとんでもないものがあった。


大きな水晶のようなものがあり、その中は暗い渦がぐるぐる回っていた。

よく見ると椅子に縛られた人の口から黒い何かが出ていた。

そしてそれは水晶に吸い込まれていった。


「お前の働きでもう少しで完成しそうだよ。あと10人くらい頼むぞ。」と、言われた。

私は「はい」と返事をした。


水晶の奥にドアがあり、壁に窓がついているのが見えた。

その窓の奥には王の姿が見えた。

魔法使いらしい人となにやら話をしていた。


「やばい、王がいる。さっさと帰ってくれ。」と言われ私はそこから追い出された。


階段を上がった。

まわりに人影はない。


私は長居をして墓穴を掘ったらまずいと思い戻ることにした。

急いで裏門を出て街の静かな裏路地に来ると生霊になるときのように体からスゥーッと出てみた。


ネビはその場でドサッと倒れた。

(あれ?生きてるかな)


ネビはゆっくりと起き上がり、あたりをキョロキョロしている。

「なんだ?」

ネビはブツブツ言いながら自分の家の方へ歩いて行った。


────


私は薬屋に戻った。

「シアさん大丈夫でしたか?」

モニターには私がネビだったときの映像が映らなかったらしい。


私はみんなに今の出来事を話した。


「ついに憑依までしちゃったのね。」とチュンはおぞましいものを見るように私を見た。

アリが、「シア!また新しいスキル!すごい!」と興奮していた。

私が地下の部屋の話をするとみんなの笑顔は消えてしまった。


「それが一体何をしているのかわかりませんが、きっと恐ろしいことでしょうね。」とムイが言った。

「縛られた人から何かを取り出して集めているようですね。」とルアンが言った。


「昔の拷問で似たようなものを見たことがある。」とルアンが言った。

それは生気を吸い取ってその人を弱らせるものだと教えてくれた。


そんな恐ろしいことをする人間がいるなんて。


(なんのためにそんなことを)


────

夜になり、アッシュがやって来たので今日見たことを話した。

「銅像のところにそんな入口があったのか。」

王は勇者には知られたくなかったようだった。


「王を拘束するのは容易いと思います。しかし厄介な魔法使いが一人いまして。」


私の気配を察知した魔法使いだろう。

その魔法使いは攻撃系のスキルをたくさん持っているらしい。

魔力も高く、対峙するとなると覚悟が必要だと言われた。


「悪いことをしているのは確定だと思う。」

アッシュは真面目な顔をして言った。


「拘束して何をしてるのか聞き出したいよね。」

私がそう言うと、アッシュも頷いた。


私たちは念密な計画をたてた。

アッシュは警備の配置や見回りの時間などかなり詳しく調べていてくれた。


私が裏門から入り、アッシュが中からサポートする作戦をたてた。


「一人で大丈夫なの?疑われたりしていない?」

と、私はアッシュに聞いてみた。

「今は私のことなんて眼中にないようで。」

と、王は地下の何かに熱中しているようだ。


決行は明日の深夜。

王と魔法使いの寝室の場所も把握した。


(早く止めないと何かが起きるような嫌な予感がする)



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