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光の妖精

朝、目覚めるとチュンはドールハウスに感激している最中だった。

アリに「私にぴったり!そう思うでしょ?」と聞いていた。

アリは「本当にピッタリだね!」と一緒に喜んでいた。


朝からかわいい。

勝手に動く人形を見ているみたいだった。

私はドールハウスに家具を追加してあげた。

ドレッサーにクローゼット、テーブルに椅子。

ミニチュアの食器やグラスも出した。


チュンは大興奮だった。

私のためにありがとう!と飛びついてきた。

この辺はここにいる2匹と似ている。


チュンが飛ぶとキラキラ光った。

見ていて飽きなかった。


(いけない、情報収集しないと)

私はククルのところで朝食を食べて地下室に向かった。

チュンは相変わらずよく喋った。

アリもセキも飽きずに「うんうん」「それで」と聞いている。

今はちょうど5人目の勇者の話をしているようだ。


(勇者ってそんなによく召喚されるものなんだな)

話を聞いていると昔の魔王は本当に悪の塊で勇者の死亡率も高かったようだ。


(今はそんな悪い魔王はいないけどね)


「シア!また面白い者が来たそうだな!」

魔王がやって来た。


チュンは一瞬身構えたがすぐに笑顔になり、

「魔王様、光の妖精のチュンと申します。よろしくお願いいたします。」とお行儀よく挨拶をした。


魔王は「妖精殿とは!これは珍しい!とジロジロと見ていた。」

「もう絶滅したと思っておったぞぃ!」


チュンは悲しそうな顔をして、「今この地上にあるのは…風の妖精と火の妖精だけのようです…」と答えた。


「昔は精霊なのか、妖精なのかわからんくらいビュンビュン飛んでおったのにな!」と言った。

チュンも「そうですね。悲しいことです。」と懐かしむような顔をしていた。


「レイはちゃんとやってますか?」と聞くと、

「遠視も瞬間移動もできるようになったわ!」と笑った。

「シアに頼まなくてもレイで事足りるようになったわぃ。」と言った。


(シア 失業)


「レイのことは心配するな!ちゃんと育ててやってるのでな!」と言って帰っていった。


「今の本当に魔王なの??」とチュンは不思議そうに言った。

(私も知らなかったらそう思うよ)


「昔はどうだったのか知らないけど、今いる魔王も悪魔も優しい人たちだよ。」と教えた。

チュンは「いい世の中になったのね。」と遠い目をして言った。


「じゃあ仕事するので三人で遊んでてね。」と言いリビルドの監視を始めた。


「シアはオバケになって遠くに行けるんだ。すごいでしょ!」と説明している。


(オバケになったつもりはないが)


リビルドは今日も平和そうだった。

相変わらず勇者は人気者で人格者だった。


(いい人ぶって戦う意志はないですよーって騙すつもりか)

どこかでボロを出していないかな?と聞き耳を立てたが今日も褒め称える言葉しか聞けなかった。


私は見るのをやめてしまった。


「レベル上げでもする?」と聞くと、アリとセキはやったー!といつものように喜んだ。

チュンはとんでもないレベルなのでちょっとやそっとじゃ上がらないだろうけど。


「チュンもいく?お留守番でもいいよ?」

と聞くと「もちろん行くわ!」と楽しそうに飛び回った。


私は亜空間に行くことにした。


────


いつもの訓練場に来た。

(今日は何をしようかな)


私はチュンに「どんなスキルが得意なの?」と聞いた。

チュンはいろんなスキルの名前を教えてくれたが、どれも光属性の攻撃系か回復魔法だった。

聖女の使っていた”昇華”も使えるという。

呪いの解除や解毒なんかも得意だと言った。

(キリナに言ったら目を輝かせそうだな)


「じゃあ今日はチュンにお願いして、チュンの攻撃を避ける特訓をしましょう!」


アリが黒い熊になるとチュンは驚いていた。

「アリ、あなた守護神だったのね?それも闇の…」とくらい顔をして言った。

「そうだよ!」と答えるアリ。

「私の天敵だわ…」と言った。


確かに属性的には光と闇の相性は悪いだろう。

「やりがいがあるわね!」とチュンは目を輝かせて言った。

「でも死んだら困るからキラキラだけ飛ばすわ!」と言った。


「じゃあ行くわよ!」

チュンは目に見えないくらいのスピードで飛んだ。


アリもセキもスピードはかなり速いのに2匹ともキラキラだらけになってしまった。


「チュンすごいよ!!全然見えない!」

「ボクもぜんぜん追いつかない!」


私は一人で念じる特訓をしていた。

岩相手に。


虚しくなってチュンたちを見るとみんなすごいスピードだった。

これは見てるだけで動体視力が上がりそうだ。


私はテーブルとイスを出し、グラスに水を注いだ。

アリとチュンには小さなグラスを用意した。


「休憩しよう!」

アリとセキはキラキラに拍車がかかっていた。

「きれいだね!」セキは自分についているキラキラを触って嬉しそうに言った。

「1回消すね!」と指をパチンとさせるとキラキラは一気に消えてしまった。


アリとセキが「ボクたちも攻撃したい!」と言うので、攻守反対にしてやることになった。


「みんながんばれー!」

私は目を凝らしてチュンを見ていたが速すぎて本物なのか残像なのかわからなくなってしまった。

(ここで諦めたら試合終了です)


私は慣れてきたのかだんだんチュンの動きが見えてくるようになった。


もしかして、と思いスキルを確認すると、

・心眼

というのが増えていた。


(これって見えないものが見えることを言うんじゃなかったっけ?)


私はチュンをみつめる。

ボーッとしてたらやっぱり見えない。


(心眼じゃないと見えないほど速いってことかい)


「ママお腹空いたー!」


「そろそろ帰ろうか」


────


ククルとチュンは相性がいいようだった。

二人は暇があると食べ物の話をしている。

チュンは今の時代の料理にいつも感激している。


(数百年前ってどんなもの食べていたのか)


中でも焼菓子やケーキには特に興味があるようで、

「これは何が入っているの?」なんて作っているククルのまわりをキラキラしながら飛び回っていた。

ククルはそれがかわいいらしく、子供相手にするように優しく教えていた。


「チュンは勉強熱心で本当にいい子ね。」と褒めていた。

(食に関してだけだけどな)


いつしか私も作りたい!と言い出した。

私は人形サイズのチュンを見て人形サイズのケーキを思い浮かべた。


「チュンには大きくない?」と聞いたが、

「私を誰だと思っているの?天下の光の妖精なのよ!魔族にできることが私にできないと?そんなわけないじゃない!いいから黙ってみてなさいよ。それはもう美味しいお菓子を作ってみせるわよ!」とまくし立てられた。


私は「ごめん、ククルにお願いして作らせてもらって。」

と言うと嬉しそうにククルと材料を集めだした。


見ているとチュンは念動力のよう力があるらしい。

実際に持っていなくても手をクルクルしてるだけでボウルの中の生地は混ぜられている。


(え、道具も使わないんかい)


「チュン!上手!すごいね。」

ククルは子供を褒めるように近くで見ている。

私はククルに任せて地下室に戻った。


地下室では相変わらずムイがリビルドの城下町を監視していた。


「おつかれさま。何か動きはある?」

ムイは「今日も平和そうですね。」と言った。

そして今日も勇者は人気者っていう噂話を聞かせてくれた。

(あの勇者まだボロを出さないのか)


あの国では魔王の話すら出ていない。

ガオルが暴れまわったことも知らないのかもしれない。

ここから南にある大陸の城を乗っ取ろうとしていたのに。


あの城では魔法使い集めを大々的にしていた。

こちらの大陸までは探しに来ていないということか。


城下町を見ていても並んでいる食べ物や料理はここの文化であろう物ばかりだった。

雪で閉ざされて他の文化が入りにくかったのだろうか。

(こんなに発展しているのになぁ)


元の世界のように飛行機のような空を飛ぶ移動手段はない。

でもゲートや瞬間移動のスキルを持っている者だっているだろう。


私は何か引っかかるものがあったが、それが何かはわからなかった。


「勇者様がこちらを見て手を振ってくださったの!」

「キャー」


(まるでアイドル)


そうしているとチュンが焼きたてのカップケーキを持ってきた。

甘くていいにおいが広がる。

それはとても出来が良かった。


「チュン、すごいわ。」


「そうでしょう!光の妖精にかかればこんなものちょちょいのちょいなのよ!この美しい焼き上がりを見て!オーブンから出すタイミングが重要なのよ!」


チュンは相変わらずよく喋る。


数百年真っ暗な中で封印されていた。

私なら狂ってしまっただろう。


(たくさんおしゃべりしようね)



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