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岩の正体

「ゴォォォォ」


私はびっくりして尻もちをついてしまった。

「ア、ア、アリ…逃げて、逃げて!!」


3mはあろうかという大岩が唸っている。

勇者の刺客か?!


私はそのまま後ずさりをする。


「ゴォォォォゴゴゴ」


怖い!怖すぎる!!

アリが飛んできて「怖くないよ!お友達だよ!」と言った。


「そんなお友達、無理!」

大岩はゆっくりこちらに向かってくる。

そのまま大岩は私の上に倒れ込んだ。

(顔が!顔が潰れる!)


「たしゅけて…」


セキが飛んできた。

「ママに何するんだ!」

セキのキックがきまり大岩は崩れた。


「ママ大丈夫?!」

セキが心配そうに私をみつめる。


アリが崩れた大岩の横で泣いている。

「セキひどいよー!」


「アリ!ママの顔見てよ!!」


鼻血が出ているのがわかる。

ほっぺも口も殴られたかのように腫れている。


(痛い…)


私の顔を見てセキも泣いている。

「ママが死んじゃうー」

アリも泣いている。

「岩ちゃんが死んじゃったー」


(カオス)


私は自分に回復魔法をかけた。

「ママ!」顔が治ってセキは安心したようだ。


「アリ、ごめんね」

私は岩の上で泣くアリに近づいた。


崩れた大岩が破裂した。

そこから女神のような羽のついた何かが出てきた。


(羽のついた)


私はそれに釘付けになった。

それは行儀よくお辞儀をして「チュンです。ありがとうございました。」と言った。


アリは「岩ちゃんはチュンっていう名前なんだね!ボクはアリ!」と嬉しそうにしている。


セキは「蹴ってごめんね。痛くない?」と聞いている。

「ボクはセキ!ママはシアだよ!」と自己紹介している。


この子たちの飲み込みの早さはなんだろうか。

私はまだ飲み込めずにいた。


チュンというそれは説明を始めた。

・数百年前に魔王に封印された

・光の妖精である

・封印の解除には「温める」「口づけをする」「抱きしめる」順番に行うこと


温めるはわかる。

お風呂に入れたことだろう。

口づけってもしかして私に顔面アタックをしたことだろうか?

そして抱きしめるはセキのキック???


思い当たることがそれしかない。

(デタラメすぎる…勇者からの刺客か?)


私はまだ睨みつけている。

鑑定してみると

・名前 チュン・チャン

・年齢 577

・種族 光の妖精

・レベル 1866


(いろいろバグってる)

他の情報は見えなかった。


「復活できてよかったですね!私はこれで失礼します!」

と言って私は屋敷に逃げ帰った。


アリとセキが急いでついてくる。

妖精もついてきている。


私は急いで部屋のドアを閉めた。

「ママ開けてよー!」セキが向こうからドアを叩いている。

遠視でドアの向こうを見ると妖精もいる。

(しつこいな)


ドアが光りだした。

そしてキラキラと消えていった。

私は勢いで廊下に倒れてしまった。


「ママ大丈夫?」


「シア何してるの?」


私は妖精を見る。

妖精は「ドアの調子が悪いようでしたの取り除きました。」と、ニッコリしている。

私は「ありがとうございます。」と言った。


────


地下室で私たちはお茶をしていた。

「このチョコレート美味しいね!」とセキが喜んで食べている。

「こっちのクッキーもどうぞ!」とアリが妖精に渡していた。

「とても美味しいです。昔はこんな美しい食べ物ありませんでした。」と涙ぐみながら食べている。


私は黙って観察を続けている。

こんなに都合よくこんな高レベルの妖精が目の前に現れるはずがない。


(すっかり馴染んじゃってるし)


「チュンは何ていう魔王に封印されたの?」

アリは古傷をえぐるような質問をしていた。


チュンは泣きだした。

「その魔王の名は…ゼス…真っ黒な闇のような魔王です。」

アリはチュンの頭を撫でて「もういないから安心して。」と言った。


チュンは泣くのをやめて真顔になった。

「そんなはずありません!今でも私にはゼスの気配がします!」と言い切った。


(何百年も寝ていて寝ぼけてるのかな)


セキが「変だねぇ?」と言った。

「ムイに聞いてみようか。」と私はムイを呼びに行った。


私は遠視で私がいない間に何かしないか観察しながら歩いた。

私は階段の上でムイとぶつかった。

「ごめん!歩き遠視してた。」


(歩きスマホ 危ない ダメ 絶対)


私は階段の上でチュンの話をした。

「私は勇者の刺客なんじゃないかと思ってる。」

と言うとムイは笑いだした。

「そんなわけないじゃないですか。数百年埋まっていたのでしょう?わざわざそんな見つからないようなところに隠しますか?」

あの優秀な勇者ならアリを誘導するくらい朝メシ前かもしれない。


ムイはスタスタと階段を下りていってしまった。

ムイは自己紹介をして「ゼスという魔王なら150年前くらいに封印されたらしいですよ。」と言った。


妖精は「ゼスも封印されたのね。ざまあみろですね。」と嬉しそうだった。


「そろそろ仕事もあるし、レベル上げもしないといけないし、妖精さんにはそろそろ帰ってもらって…」

と言うとアリが「シアひどいよ!チュンはひとりぼっちなんだよ!」と言った。

(勇者め、アリの心の優しいところまで計算済みか!)


「悪魔に聞いてみないと。」と言うと、

「こちらのご主人様ですか?ぜひご挨拶させてください。」妖精はまたお行儀よくペコリとした。


ムイは妖精を悪魔のところへ連れて行った。

アリもついていった。


セキに妖精から悪い気配はしないか?と聞くと「ぜんぜんしない」と言った。


(本当にただの偶然だったのか?)


ムイたちはすぐに戻ってきた。

「悪魔がいいって言ったよ!」アリは嬉しそうだった。


私はまだ信じていない。

妖精が私を見て「シアさんはまだ私のことをお疑いのようですね。」と言った。

(バレてる)


「私と主従関係の契りをしませんか?」

妖精は私に提案しているようだ。

「しゅじゅ?」セキが聞くと、

「主人と従者の契約ですよ。」


(この妖精私に奴隷になれと言うのか)


「私を復活させてくれた人に仕えるのは運命のようなものですね。」妖精はニッコリと笑った。


「私が主人になるの?」

私は予期せぬ事態に頭が回らなくなってきた。

「もちろんです。」

アリが「シアばっかりずるーい。」と言っていた。

ムイは「光の妖精様が味方になってくれるのは心強いです!」と言った。

(これは断れないな)


私は「どうすればいいですか?」と聞くと、「血を1滴ください。」と言った。

(ヤクザものの映画に出てくる血の契りみたい)


私は指の先に空気で針を作って刺した。

その血を光の妖精は舐めたのである。

私はゾワッとした。


「これで儀式は終了です。ご主人様。」

妖精はニッコリと笑った。


アリとセキがパチパチと拍手していた。


私はよくわからないまま光の妖精の主人になってしまったようだ。

光が闇の呪物に仕えるなんていいのだろうか?


「ご主人様にお願いがあります。」

「なんでしょう?」と聞くと、

「敬語をやめてもよろしいでしょうか?」と聞いてきた。

私は「別にいいけど。」と言うと、妖精は安心したようで、「よかったー!疲れちゃった!」といきなりキャラ変した。


「かしこまったの嫌いなのよ!」と言うと、「シアって呼んでいい?」と言ってきた。

「別にいいけど…」と言うと「シア!よろしくね!私のことはチュンって呼んでね!!光の妖精を従者にできるなんて、あなた本当にラッキーよ!妖精ってレアな生き物だし!本当はとっても高貴な生き物なのよ!それなのにあのクソ魔王ったら私を殺せないもんだからあんな真っ黒な石に封印しやがって!本当に許せないわ!ねぇ、シアもそう思うでしょ!こんなかわいい妖精をあんな真っ黒な石に!本当に失礼しちゃうわ!!ねぇ、シア!なんとか言ってよ!」とすごい早口でまくし立てた。

私は「う、うん。」と答えた。


「やっぱりシアもそう思うわよね!しかもあんなわかりにくいところに埋めやがって本当にムカつくわ!あのままあのダンジョンと一緒に朽ちてしまうかと思ったわよ!あら、シアってシャイなのかしら?それとも私が美しいからって恐縮してるだけ?そんな緊張しなくっていいのよ!私は天下の光の妖精だけど心は海のように広いわよ!ねぇ、シア!聞いてる??」


「あ、はい。聞いてます。」

このチュンという妖精は本当におしゃべりだった。

私は圧倒されっぱなしで「うん」と「はい」しか言う隙間がなかった。

セキは「チュンおもしろい!」と笑った。

アリは「チュンいっぱいしゃべってすごい!」と尊敬のまなざしで見ていた。


チュンは一人でずっと喋っている。

今はちょうど3人目の勇者に出会ったときの話をしている。

(ずっと封印されてていろいろ溜まってたんだな…)

私は不思議とこの子がかわいそうになってきた。

喋りたいだけ喋らせてあげよう。

私は「うんうん」言いながらチュンを優しい目で見た。


ずっと喋っていたチュンだったが話を止めて、

「とにかく…ずっとさみしかったんだから…」

と言って私の胸で大泣きした。

私は小さな頭を撫でてやった。


「みつけるのが遅くなってごめんね。寂しかったね。」と言うとチュンはさらに大声で泣いた。


私は小さな背中を人差し指でさすってあげた。

アリは「お水飲んで。」と小さなカップに入れた水を持ってきた。

チュンは落ち着いたようでうとうとしだした。


私は前に作ったドールハウスを思い出して寝室に出した。

小さなベッドにチュンを寝かすとちょうどいいサイズだった。

アリが「ボクもほしい!」と小声で言うので同じものを出してあげた。


私はチュンに「疑ってごめんね、おやすみなさい。」と言ってドールハウスの灯りを消した。


セキも眠そうだった。

「寝よう!」


セキはすぐにスースー寝息を立てて眠ってしまった。


また家族が増えてしまった。

勇者が何を考えているのかわからないけど、この子たちの笑顔は守りたいと思った。


いつまでも笑っていられたらいいのに…




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