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黒い石

私は勇者に近づくことを禁止された。


魔王は勇者がどんなスキルを持っているかわからないから下手に近づくべきではないと言った。

魔王も勇者を鑑定するまでにいたっていないと言う。


今やリビルドの城は魔王城より強い結界が張り巡らされているという。

魔王でも近づけないほど強力な。


勇者が召喚された時点で優秀な魔法使いや神官がそこにいるのは確定だ。


そこそこの強さも束ねると強大な力になる。


────


私は仕方なく城下町を探っていた。

勇者は城にこもりきりだと聞いたが、油断大敵だ。


慎重にまわり人々の話を聞いてまわる。


カフェのような店の中は女子で溢れかえっていた。


「勇者様のお姿ご覧になりましたか?」

「えぇ、なんて美しい殿方でしょうね。」


「先日、勇者様と目が合いましたの。」

「まぁ!羨ましいですわ!」


(目が合って喜ぶなんて…幸せ者だな)


勇者は若い女性から絶大な支持を受けていた。


(酒場の男たちの反応はどうだろうか)


酒場はカフェほど混んでいなかった。

男たちは勇者の話をしていなかった。

あのダンジョンが、とか。

あいつの女房がどうとか。


私は騎士を探した。

もしかしたら内部の話をしているかもしれない。


裏路地で休憩中の騎士たちを見つけた。

「勇者様に稽古をつけてもらったか?」

「あぁ、昨日な。」

「すごかっただろう?」

「剣技も身のこなしも見たことないほどに美しかったよ。」

「そして優しいお方だよな。」

「困ったことがないか聞いてくれたよな。」


(人格者なのか?)


その後も騎士を中心に聞き耳を立てていたが悪い噂は1つもなかった。


私は地下室に戻った。


────


(そういえば魔王討伐というワードは1つも出なかったな)


まだ勇者の動向が見えない。

ひっそりとこちらの情報を集め、準備をしているのだろうか?

油断できない。

こちらも迎え撃つ準備をしないと。


「アリ、セキ、訓練に行こう!」


「やったー!」


私たちは行ったことのないダンジョンに向かった。

近くの茂みに瞬間移動した。


「人がいるかもしれないからセキは羽をしまっておいてね。」


私とセキは冒険者のようにダンジョンの入口から入った。


アリが「なんだかワクワクするね!」と小声で言った。

セキも走りたいのを我慢しているようだった。


「トラップがあるからね。」

私はセキに気をつけるように言う。


ビュンっ


弓矢が飛んできた。

私は後ろに反り返ってギリギリ避けた。

「ごめん。何か踏んじゃった。」セキがエヘヘと言っている。


「神経を集中させると怪しい場所がわかるようになるよ。」

と言ってると上から石が降ってきた。

「いてて…壁の何か押しちゃった。」またエヘヘと言っている。

セキは歩くたびにトラップを引き当てる。

「ダンジョンって危ないところだね!」

あっという間に傷だらけになった。


何か使えるスキルはなかったかと鑑定してみると

・トラップハンター

というスキルが追加されていた。


(なんじゃそりゃ)

私は諦めた。

トラップを受けるのも訓練だ。


「ママ!トラップが出る前にわかるようになってきた!」

と言いながら槍が飛んでくるのを避けた。


(わかるなら踏まないで?)


開けたところに出た。

もう人の気配はない。


「アリ!おまたせ!セキも飛んでいいよ!」

「待ちくたびれたよ。」アリが文句を言いながら黒い熊になった。


セキもすでに飛び回っている。

「ボスっぽい魔物が出てきても倒さないでね。」

「はーい」


(しばらくここでレベル上げをしよう)


ここは昆虫系の魔物が多いからセキも飛びながら攻撃をするいい訓練になる。


アリが「セキ!危ない!」と叫んだ。

背後から魔物が向かっていた。


セキは尻尾でその魔物をやっつけた。


(尻尾で…尻尾??)


お尻のあたりから鮮やかな真っ赤なトカゲのような尻尾が生えていたのだ。


「ママ!尻尾生えた!」セキはブンブン振り回して楽しそうだ。


(鑑定する流れだな)


・種族 レッドドラゴン 第4形態


予想はついていた。

しかしこんなに細かく進化していくなんて。

(先は長いな)


セキは尻尾を出したり引っ込めたりして楽しそうだ。

アリは尻尾にぶら下がって飛ばされてを繰り返して楽しそうだ。


アリは勢いよく飛んでいって壁にぶつかった。

壁はガラガラと崩れた。


私は駆け寄って「大丈夫?」と言って崩れたところを見ると大きな穴が開いていた。

「大丈夫!壊してごめんなさい。」アリはそう言って立ち上がったけどすぐにがれきに躓いて穴の方に転がって行ってしまった。


「ひゃあぁぁァァーー…」


と言ってアリの声が聞こえなくなった。

私とセキはすぐに転がって行った方に行くとセキが目の前から急に消えた。


下方向に穴が開いていた。

(落とし穴?!)

「ママーー」セキが上がってきた。

「アリ、下にいたよ!」

(そうだろね)


私はセキにぶら下がって下に降りた。

アリが泥だらけになって穴を掘っていた。

「アリ、何してるの?」私は近づいてみた。


「ここに何かある!」アリは掘り続ける。

私とセキはアリが掘り終わるのを待った。

(モグラでもいるのかな)


「見つけたー!」アリが見つけたというのは真っ黒い汚い石だった。

「それ、なに??」

私とセキは不思議そうに石をみつめた。


「わかんない!でもすごく大事なもの!」


私はポケットに入れてあげた。

「ここ登るの大変そうだね…」


セキが「ボクが運ぶ?」と聞いたが、

「泥だらけだし帰ろうか。」

私たちはそのまま帰ることにした。


まっすぐお風呂に向かいアリとセキに洗っておいでと言った。

私はポケットからアリの黒い石を取り出した。

泥だらけで不格好でお世辞にもきれいとは言えない。


アリとセキがお風呂から出てきた。

「もう出たの?ちゃんと洗った?!」

「洗ったー!」


私は石も洗おうとお風呂に持っていった。


私は桶に石をつけて置いた。


「さっぱりした〜」

私はコーヒー牛乳が飲みたくなった。


「シア!石は?」と聞かれ、

「ごめん!お風呂に置いてきちゃった!」


アリは「はーい」と言ってお風呂に取りに行った。

風呂場から「セキ手伝ってー!」と聞こえた。

セキはすぐに手伝いに行った。

(アリには大きかったか)

すぐに「ママー!手伝って!」と聞こえた。

私は「どうしたの?」とお風呂場に向かった。


そこには岩があった。


私は「どこから持ってきたの??」と聞いた。

アリが「シアがお風呂にいれたんでしょ!」と言った。


「私が入れたのはちっちゃい石だけど…」


私とセキはやっとでその岩をお風呂から出した。


私たちは岩をみつめた。

「大きくなっちゃったね。」

私が言うと、セキが「すごいね!」と言った。


アリは岩の上でニワトリが卵を温めるように撫でていた。

「大きくなれよ〜」

(もう十分大きいですけど)


私はムイを呼んできてこの岩を見せた。

気のせいかさっきより大きくなっている気がする。


「なんでしょうね?」ムイも首を傾げている。

「何か魔法がかかってるのかな?」

私は岩を叩いてみた。

「シアやめてよ!」アリが怒る。


「鑑定してみては?」

ムイが聞いてきたが、すでに鑑定済だった。


「鑑定不能って出たんだよね。」


嫌な予感しかしない。


「捨てたら怒る?」と聞くと「怒るよ!!」と言われた。

「お役に立てず申し訳ありません。」と言ってムイは部屋を出ていった。


アリは「ここで寝る!」と言うのでこの岩のことはアリに任せることにした。


────


次の日の朝、アリの様子を見に行くとアリと岩は消えていた。


「アリ??」


部屋の中には居なかった。

セキを起こして一緒に屋敷の中を探した。


誰に聞いても見ていないと言われた。

私は屋敷の外まで探しに行った。


「アーリーー!」


「シア!ここだよ!」

私は声がする方に向かった。


アリは岩のオバケと遊んでいた。


(岩のオバケ…え、なにこれ?)


岩のオバケはこっちに歩いてくる。


「誰??いや、何???」




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