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悪魔の屋敷


───第二部 始まり───


私は屋敷のがれきの前で心が折れそうだった。


ガオルを封印した私たちは悪魔の屋敷を再建することにした。

悪魔は「シアのアレでちょちょいと出してこい。」と私に頼んだ。


(出すのは簡単なんだけど…)


私は消すことができなかった。

物体変換で小さくするか…できないことはない。


できないことはないが、すごい量だ。


私は閃いて亜空間を出した。

そしてベルトコンベアを出してこちらとあちらを結んだ。

ベルトコンベアの先に大きな穴を開けた。


(ここにどんどん落とそう)


私はベルトコンベアにがれきを乗せる。

ガタガタいいながらモヤモヤの先へ消えていく。

またがれきを乗せる。

がれきはモヤモヤの先へ消えていく。


がれきはまったく減った気がしない。

アリが出てきて「セキに赤紫の魔法で消してもらえば?」と言った。


「アリ!あんた天才だよ!!」

セキは任せて!と言ってがれきに例の魔法をぶつける。

塵一つなくなった。

2、3回やったところでがれきは全て消え去った。

私のベルトコンベアもどこかへ消えてしまった。

(さようなら文明の利器)


セキは地面まで消してしまっていてボコボコ穴が空いていた。

地下室も跡形もなく消えて穴になっていた。

私は複製で土を出し物体変換で固めた。

いい感じの更地が出来上がった。

おそらく元の敷地より広そうだ。


私は屋敷を思い出した。

楽しかった毎日の思い出と共に。


私は集中させて屋敷を具現化した。

ドンっという音と共に屋敷が現れた。


私が想像していた屋敷よりなんだか豪華な造りになってしまった。

ver.2の影響だろう。


(悪魔の屋敷ver.2 完成)


アリとセキは拍手した。

「シア!すごい!」

「ママすごい!かっこいい!」

私はドヤ顔をして「中を見てみよう!」と言った。

セキが「探検だー!」と喜んだ。


見るからに豪華になってしまった屋敷だったが、装飾品や配置がやっぱり前の屋敷のままの雰囲気を残していた。

全体的に少しゆったりとした造りになっていた。


悪魔の執務室にはちょっぴり豪華になった机があった。

私はそれを飴玉サイズにまで縮小してポケットに入れた。


アリが「いいの?」と心配そうな顔をしていたので「あとで本物を持ってくるから大丈夫!」と言った。


調理場は元の世界で見たような最新式のキッチンに生まれ変わっていた。

(これはククルが怒るかもしれないな)

あとで要望を聞いて手直ししよう。


他の部屋もちょっぴりバージョンアップしていた。

地下室への階段もきれいになっていた。

降りていくとゴツゴツした岩だった壁が普通の壁になっていて美しい円型の部屋になっていた。


そこにはスノードームもあった。

バージョンアップしたスノードームは少し大きくなっていて、中の少女が二人になっていた。

私はそれをそっと棚に戻す。

(まぁいいか)


セキは「また悪いやつが来たらこれに封印するね!」と言った。

「お願いだからもっと頑丈なものにして。」と言うと、

「かわいいほうがいいじゃーん」と言って笑っていた。


一通り見て回ったが欠陥はないようだった。


私は魔王城に戻りムイを連れて草原の亜空間へ向かった。

「おまたせ」とムイは白い布を被せられた机に向かってそう言った。


二人で新しい屋敷に運び込んだ。


ムイはバージョンアップした屋敷に驚いていた。

「ここまでとは思いませんでした!」

なかなかの好感触に私は少しホッとした。


机を設置してまたすぐに魔王城に戻り悪魔に完成を伝えた。

「早かったな。」悪魔は嬉しそうにそう言った。

「では魔王に挨拶しに行くとしよう。」


私たちはぞろぞろと魔王の元へ向かった。


「屋敷が完成したので帰る。世話になった。」と悪魔が言うと魔王は心なしか寂しそうな表情を浮かべた。


私が「改造した部屋は元に戻してから行きます。」と言うと、魔王は「そのままでよい。いつでも遊びに来てくれ。」と言って私に抱きついた。

私は「ありがとうございました。」と少し泣きそうになって感謝を告げた。


レイが私のところにやって来て「ここにいる」と言った。

私は心当たりがあったので魔王を見ると、

「構わない。好きなだけいるがよいぞ。」と言ってくれた。

レイは喜び、「生霊で遊びに行くね!」と言った。

(それ私にしか見えないけどね)


料理人のみなさんや他の従者たちにも別れを告げて私たちは屋敷に向かった。


────


私はモヤモヤを出して、玄関前でハピリナ避難組と合流した。


みんなは一斉に屋敷の中へ入って行った。

私はドキドキしながらその反応をみた。


みんな「すごいな!」と喜んでいるように見えた。


悪魔は執務室でニヤと机を撫でて嬉しそうにしていた。

「粋なことを。」

と言う悪魔に、「ムイがどうしてもというので。」と言った。

ニヤが嬉しそうに机を撫でていた。


問題のキッチンにククルを連れて行った。

「なんですか!これは!」

予想通りの反応だった。


私はここにある設備を一つ一つ説明させられた。

「前に戻すよ。ごめんね。」と言うと、このままでいいと言われた。

ククルは「使いこなしてみせます!」と言い切った。

アリとセキが拍手していた。


一通り屋敷を巡り、見たことのないものを説明して回ったが手直しするように言われるところはなかった。


悪魔はみんなを広間に集めた。

「今まで肩身の狭い思いをさせて悪かった。またみんなで楽しくやろう。」


みんなは拍手をした。

みんな笑顔だった。


────


私はやることが山のようにあった。


まずハピリナと魔王城の城下町の鍛冶屋にゲートを復活させた。


長老に「避難していた人たちを城下町へ帰してあげてほしい。」と頼んだ。

長老は「お任せください。」と、頭を下げた。


ピートに事情を話すと「待ってました!」と言ってゲートを抜けていった。


(ここは長老に任せておけば問題ないな)


私は黒いローブをまとい久しぶりにタナカ町へ向かった。


タナカ町は発展しているようで活気に溢れていた。

タナカに話を聞くと、「人が増えた分、犯罪も増えた。」と言った。


私はガオルがいなくなったことを伝え、ゲートを作り直し、元の街に帰れるよと説明した。


タナカは皆に伝えます。と言い、帰ろうとする私を呼び止め「ここに残ってもよろしいでしょうか?」と聞いてきた。

私は少し悩んで「そうしたいなら構わない。でもあとは自己責任だよ。」と言った。

タナカは笑顔になり、「皆に家に帰れると伝えます!」と言って走って行った。


(ここはタナカに任せよう)


────


聖女は「私が王になりますわ。」と言った。

そして壊れた城を私に直させた。

(人使いが荒いですわ)


タナカ町に求人広告が出た。


『来たれ!騎士たちよ!国を立て直すときが来た!』

と書かれ、『高給優遇』と添えられていた。


「聖女が王になる!」とすぐに噂は流れ、王都に戻る人がたくさん出てきた。


私はもちろん王都の建物も直すように言われた。

(鬼畜ですわ)


キリナは王都で聖女を助けると言った。

(賢者がいれば安心だ!)


キリナの村の人々も元の村に戻ってもらった。

おばあさんは「特に変わらんなぁ。」と言って元の家に帰っていった。


「ここはおばあに任せなさい。」と言ってくれたので全員が戻ったのを確認してあとのことをおばあさんに任せてきた。


(あと何か忘れていることはないかな)


────


屋敷に戻ると宴の準備が整っていた。

「シアさん、早く!」

ムイが広間に来るように言うので急いで向かった。

そこにはこの屋敷で暮らす全員が集まっていた。


「では新しい生活の始まりに!」


「かんぱーい!」


宴は夜遅くまで続き、ガオルとの対戦のことや避難中の話などで遅くまで盛り上がった。


私は昼に聖女から受けた仕打ちを思い出し身震いした。

聖女は私に建物を直させては魔力を回復してエンドレスに街の改修をさせた。


(恐ろしい…でもきっと国民の事を1番に考えられるいい王様になるだろう)


私はこっそり宴を抜け出して寝室に戻った。


ベッドもバージョンアップしていてフカフカだった。

(お風呂に入らないと…)


と思っているうちに寝てしまった。


私は久しぶりに夢を見た。


温泉で魔王とコーヒー牛乳を飲み、

「やっぱりこれだな!」と笑っていた。


(フルーツ牛乳も開発してみようか…)




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