表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/102

人の形

赤い髪の美少年は急に泣き出した。


「ドラゴンの姿に戻れないよー!」


私はまだ尻もちをついたまま状況がつかめないでいた。


アリはいつの間にかハムスターの姿に戻り、自分はセキだと言うその少年の肩に飛び乗った。


「セキ、大丈夫だよ、落ち着いて。」

レイは私の後ろに隠れている。


「本当にセキなの?」

と聞くと「ママ、ボクがわからないの?」と泣き出した。

(わからないです…ごめんなさい…)


そうだ!と思い鑑定してみる。


・名前 セキ

・年齢 0歳

・種族 レッドドラゴン 第2形態

・レベル 359


(確かにセキだ)


「第2形態ってなに?!」


私は泣きじゃくるセキの手を取り、とりあえず司令室に帰ることにした。


────


「ただいま…」


ムイとキリナも「誰??」という反応だった。


泣きじゃくるセキにバナナを渡すと上手にむいて食べていた。


私は二人に見たことをそのまま話し、金のウロコを見せた。

キリナは興奮気味で金のウロコを観察した。


ムイは「とりあえず着替えさせましょう。」と言ってバナナを食べ終えたセキを連れて行った。


キリナは金のウロコに夢中だった。

アリは「セキだけ人の形になってずるい!」と言っていた。

レイもにおいをかいでセキだとわかったようで怖がることはなくなった。


セキはダブダブな服を着て戻ってきた。

ムイのお下がりだろう。


私はちょうどよくなるように念じた。


「ママありがとう!」

いつものセキの反応だった。


見た感じレイと同じくらいの歳に見える。

並ぶとレイより少し大きい。


魔王の本を見てもドラゴンの第2形態なんて言葉は出てこなかった。


セキは飛べないことを不便がった。

「人の形って不便だね。」


騒ぎを聞きつけて魔王と悪魔もセキを見に来た。

「お前たちは本当におもしろいのぉ!!」

魔王は笑いながら部屋を出ていった。


悪魔は何かを感じ取ったようで、

「こいつに魔法を教えろ。」

とだけ言って出ていってしまった。


(セキに魔法を?)


セキは人の形に慣れたようでいろんなことを試していた。


食事の時間にナイフとフォークを上手に使うセキをムイが褒めていた。

アリが羨ましそうに見ていた。


寝る時間になり1つのベッドに3人寝るのはなぁ、と思い2つ複製して3台のベッドを並べた。


1匹と二人はゴロゴロ転がり「広い!」と喜んだ。

「好きなベッドを選んで」と言うと「ママが真ん中ね!」とセキがいい、レイも「それがいい」と言った。

アリは自分の寝床のかごを真ん中のベッドの枕元に持ってきた。


みんななんだか疲れていてその日はぐっすりと眠った。


────


朝になり、悪魔に言われたとおりセキに魔法を教えてみることにした。

キリナは短めの杖をセキに渡した。

セキは喜んでブンブン振ろうとしたので一度取り上げた。

「ダンジョンに行ってからね!」


昨日と同じ草原のダンジョンに来た。

キリナは改めてセキに杖を渡した。

キリナの方が教え方が上手いからと任せることにした。


セキは「火の玉!」と叫び杖を振る。

勢いよく炎が飛んでいった。


(元々火属性だからね)


私は火属性くらいはできるだろうと思っていた。


「雨よ降れ!」とセキが杖を振ると滝のようにみずが降ってきた。

私たちはびしょびしょになった。


セキは「乾かすね!」と言い「風よ吹け!」と言うと竜巻のような強風が吹いた。


服は多少乾いたが今度は草だらけになった。

「次は雷かな!」と言うので慌てて向こうの岩にむけて!と頼んだ。


セキは「ビリビリ!」と言うと岩に直撃して砕け散った。


私もキリナも驚いて言葉が出なかった。

「ママ!すごいでしょ!」と言うセキに「すごすぎるよ…」としか言えなかった。


その後、「まさかね」と言って闇魔法と光魔法をやらせるとどちらもできちゃったようだった。

キリナが「全属性扱えるなんて…」と愕然としていた。


詠唱も適当だった。

(私と同じタイプだな)


「残り魔力は?」と聞くと「まだいっぱいあるよ!」と言った。

引き続きキリナは「こうしてみて」とか、「こういうのを出してみて」と言うと言うとおりにできてしまった。


キリナは「まさか…」と言い杖無しでやらせると普通にできてしまった。


キリナは私の方を見て「シアさんタイプのようです。」と言った。

(やっぱりそうか…)


初めはめちゃくちゃだったセキの魔法もなんとなく形になって来た。

回復魔法だけは苦手のようで「うまくできないや」と言った。

私は少し安心した。

(できないことがあるのは、当たり前だよ)


セキよりもキリナが疲れてしまい、私たちは帰ることにした。


────


帰ると悪魔がやってきて様子を聞いた。

キリナが大興奮でその凄さを語りだした。

悪魔はそれをニヤニヤしながら聞いていた。


変身スキルはそのままなのに変身できないことについて、

「進化途中なんだろう。」と悪魔は言った。

そして嬉しそうに司令室を出ていった。


(進化途中…蝶になる前のサナギのようなものか)

私は納得してしまった。

そう考えるとすんなりいく。


セキはさすがに疲れてしまったようでアリと長椅子で眠ってしまった。


レイがどこかから帰ってきて私に「メメちゃんが少し大きくなった!」と嬉しそうに報告してくれた。

私は「水のあげすぎもよくないからね。」と教えた。

レイは「わかった!」と言って、また出ていってしまった。

(本当にわかったのかな…)


急に静かになった。

私はテーブルに置きっぱなしの金のウロコを手に取った。

(願いを叶えるって長老が言ってたっけ)


私はセキが出てきた宝箱を思い出して同じものを作った。

そこに金のウロコを入れてカギをかけた。


机の引き出しにそっとしまった。


(ガオル探しでもするかな)


私はムイの隣に座りいつものように探した。


私はこの前のビジョンを思い出して雪の中に小さな小屋がないか重点的に探した。


雪で覆われた森の中はどこまでも続いているようで私の心は折れかけた。

しかし煙が上がっているのをみつけた。


私はドキドキしながら慎重に近づいた。

小さな小屋の中には人がいる。


窓からそっと覗いてみた。


そこにはキリナの描いた似顔絵の男がいた。


(みつけた!)


私は慎重に小屋の中を見た。


近づくと以前感じたガオルの気配がちゃんとした。

しかし前と違ってその反応はごくごく小さいものであった。

(依代の問題だろうか?)


もしかしたら弱っているのかもしれない。


私は魔王を呼んで画面にガオルを映してみせた。

「確かに。」

魔王もガオルの気配を感じ取れたようだった。


「作戦会議をする。」と言って部屋から出ていってしまった。


(ついにみつけた)

私はメメちゃんを思い出して悔しくてたまらなくなった。


(次こそは!!)


眠っているセキを見た。

この状態のセキは連れていけないな。


(怒るだろうなぁ…)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ