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決行

夜が更けた。

月がきれいに出ている。


ゲートと言うスキルがあるという。

私がモヤモヤに作っていたものとは違うそれは同じようにドアのようなものを作るそうだ。

作った人が行ったことがあればどこにでも作れるのだという。

それをくぐれば瞬間移動のスキルを使わなくても移動できる。

(なんて便利なの!ぜひほしいわ!!)


先発隊が近くに瞬間移動し、そこからゲートを開くことになっている。

すでに先発隊は出発していていい場所を探しているのだろう。


それは急に現れた。

両開きの扉のようなものが。


待ってましたと続々とその中に入っていく。


私はみんなを見送った。

みんなが移動を完了するとゲートも消えていった。


自分のスキルを確認してみる。

ゲートのスキルはそこにはなかった。

(さすがに見るだけじゃダメね)


私はポツンと一人になってしまった。

司令室に行き長椅子に横になる。


遠視で悪魔たちの様子を見る。

悪魔たちは配置についたようで門近くの茂みに隠れていた。


もう一つのグループも同じように時を待っていた。

こちらは総勢10人ほどだった。


すぐに東側のグループを見てみる。

こちらは警備も薄く余裕のようだった。

続けて西側を見る。

こちらも同じような警備体制だったが奥にいる警備に西側グループの人たちは気がついていない。


私はすぐに生霊を飛ばし、捕縛スキルを使った。

西側の人たちは驚いていたがすぐに眠りの魔法を唱えた。


私は行ったり来たり先を見たりと忙しかった。

先回りして眠るよう念じたり捕縛して動けなくした。


予定より早く正面の門は開いた。

悪魔たちが一斉に入っていく。


順調に制圧できているようだった。

すぐに国王と姫様も拘束し眠らせた。

従者や兵士たちも順番に気づかれることなく次々と拘束され眠りについた。


姫様の隣の部屋にガオルと思われる男がいた。

男は拘束される前に目を覚まし、目の前にいる魔王軍に黒いモヤモヤを吹きかけた。


モヤモヤを食らった者たちは苦しそうにもがいている。

すぐにヒーラーたちがやってきて治療にあたる。


その隙に男は逃げていった。

「そっちに向かったぞ!」


騒ぎを聞き立てた魔法使いの男が起きてきて攻撃してきた。

そこは戦場になった。

キリナは負傷者を安全な場所に移動し回復魔法を使っている。

レイは魔法使いに飛びかかり杖を奪った。

すぐに魔法使いは眠らされ、拘束された。


(ガオルは?)

先を追うとガオルはまた黒いモヤモヤを出していた。

それは人のように動き回り魔王軍を翻弄した。


この黒いモヤモヤには私の呪いが通じない。


「だめだ!アリ!セキ!私たちも行こう!」

私はすぐにその場に瞬間移動した。


アリはすぐに黒い熊の姿になり、セキは2mくらいの大きさになった。

本来の大きさだと城を壊しちゃうので事前に大きさを決めていた。


2匹は黒いモヤモヤを避けながらガオルに攻撃をあてる。

悪魔たちも杖を向け攻撃を出していた。

ニヤとムイはヴァンパイアの姿になり負傷者を運んでいた。

キリナは回復魔法で忙しそうだった。


私はガオルに向けて捕縛スキルを使ってみた。

一瞬動きは止まるがすぐに解かれてしまう。

(動くな)と念じてもそれは一緒だった。


(強い!)


魔王は見たことのない速さで動き、鋭い何かをガオルに向けて放っていた。

攻撃は当たるがどういうことかすぐに無効化されているようだった。


レイがガオルに向かって行った。

「レイ!待って!」


レイはガオルに爪を立てて傷を負わせたがすぐに跳ね飛ばされてしまった。


私はすぐにレイを回収し隠れて万能薬を飲ませた。

「ごめん…なさい…」


私も回復魔法を使ったがなかなかその傷は治らなかった。

キツネがやって来て「私に任せて」と言って連れて行った。

聖女ならどうにかしてくれるだろう。


(レイにひどいことを…)


すぐにガオルの前に戻ると悪魔も負傷してるようだった。

ニヤがすかさず後ろに連れて行く。


ガオルは特大の黒いモヤモヤを作っていた。


「くらえ!ミュキラスよ!」


ガオルはその特大の黒いモヤモヤを魔王めがけて投げた。

「魔王様!!」

私は飛び出したが間に合いそうにない。


(やられちゃう!!)


その瞬間赤い光が辺りを照らした。

魔王に当たる寸前で誰かが黒いモヤモヤを受け止めたのだ。


魔王の目の前に見覚えのあるもふもふが落ちていた。

「メメちゃん!!」


ガオルは舌打ちをし黒いモヤモヤを出した。

私はすかさずガオル向かって呪いをかけた。

どこにいてもわかるようにと足首に足枷をつけるように呪いの印をつけた。

今の私のできる精一杯だった。


すぐにガオルはモヤモヤに包まれて消えていった。

(逃げられた!!)


私はメメちゃんのところへ行くと魔王がメメちゃんを抱きしめていた。


「メルナなのか…メルナ…」

魔王はメメちゃんを抱きしめたまま泣いていた。


メメちゃんは最後の力を振り絞るように、


「ミミちゃん、やっと思い出してくれたね…」


そう言うと赤いキラキラになってサラサラと消えていった。


魔王は赤いキラキラが消えた後をずっと眺めていた。


「魔王様!追いますか?!」


魔王は涙を拭い「全軍撤退!」と言った。


ゲートはすぐに開き負傷した者から次々とくぐっていった。


すぐに全員魔王城に戻ってこれた。


負傷した者はいたが命を落とした者はいなかった。

メメちゃんを除いて。


メメちゃんは魔王を庇ってガオルの攻撃を受けて消えてしまった。

レイに説明すると号泣した。

泣き疲れて眠るまでずっと泣いていた。


魔王はみんなを労い、「わしが甘かった。みんなすまん。」と言った。

魔王を責めるものなど誰もいなかった。

みんな「次こそは!」と自分たちの戦いを讃えあった。


みんなは各自休むように言われ解散になった。


魔王は私とレイを連れてあの森に連れてきた。

丸く開けたところに。


そこにあったはずの花は枯れていた。

茶色くなって横たわっていた。


レイは「メメちゃん…」といいまた泣いている。


魔王はゆっくりと穴を掘り、その枯れた花を埋めた。


「メルナは…お前たちの言うメメちゃんはここに咲いた赤い花だよ。」


魔王は懐かしそうにメメちゃんとの思い出を語った。


魔王が小さいときに母親からもらった種をここに植えたそうだ。

大事に大事に育てて2年かけてあの赤い花を咲かせたという。


メルナという名前をつけて毎日のようにお世話をした。

結界が張れるようになるとメルナのまわりに張りめぐらせ、他の人には気がつかれないようにと魔法をかけた。


魔王は暇をみつけてはここに来てメルナにその日あった話や覚えたスキルの話をして聞かせた。

そうやって過ごしていたが魔王としての修行が始まるとなかなか会いにいけなくなった。

そうしているうちにその花のことを忘れてしまったという。


「ごめんね…」

埋めた土をポンポンしながら魔王は言った。


そしてレイに向かって、

「会わせてくれてありがとうね。」

と言って城に戻って行った。


私はレイが泣きやむまでそこにいた。


(メメちゃん、魔王を守ってくれてありがとうね)


ゆっくりと明るくなってきた。

ぐったりとしているレイを部屋まで連れて行った。

部屋に戻ってみんなで眠った。


私は誰にも気がつかれないように泣いた。

悔しい。

悔しい。

誰の命も奪わせたくなかった。


私は泣き疲れていつの間にか寝ていたようだ。


────


寝て起きると夜になっていた。

魔王軍のみんなは食事をとりながら反省会をしているようだった。


キリナと私は魔王に呼ばれ、明日あの城に行き説明してくるように言われた。


「言うことを聞かずに勇者を召喚すると言ったら…わかるな?」


私は頷き、「聖女様も同行していただけると助かります。」


魔王は「そうであったな。」と言い聖女に同行するように頼んだ。

「ステキな王子様いないかしら〜」

といつもの調子だった。


呪いの力は使いたくない。


(わかってくれるといいな)


その日はさっきまで寝ていたのにお腹がいっぱいになるとすぐに眠くなった。


夢の中で小さな魔王がメメちゃんと草原を走り回っていた。


『メルナ待って〜』

『ミミちゃん遅いよ!』


二人はとても楽しそうで、幸せそうだった。

二人はいつまでも笑っていた。




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