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作戦

カリナにケーキを頼んだ。

レイが10歳になっていたからだ。

「3時間くらいでご用意できると思います!」

私は「ありがとう!」と言って魔王城に戻った。


いつものようにガオルの動向を確認することにした。

国王と魔法使いが話をしている。

「もっと人数が必要です。」

「わかった探させよう。」


どうやら一人の魔法使いでは無理だと思ったようだった。

ガオルと思われる男は姫様の横でお茶を飲んでいた。

(もうすぐ結婚でもしそうだな)


私は「気持ち悪い」と思って意識を戻した。

レイは私を観察していたようで「今の何?」と聞いてきた。

生霊と違って私の姿は見えないらしい。

(見えても目玉だけとか…グロいな)


私は遠視というスキルがあるのを教えた。

私はマップを見せた。

ライブ映像ではなく、初期の身分証についてる機能のやつだ。


「このマップを見て遠視したい場所までの距離とか方角とか、そういうのをいろいろ考えてたら生霊じゃなくて遠視ができるようになってたの。」

自分でも何言ってるのかわからなくなった。


レイはうんうんと言っている。

「私もやってみるね!」

私は「がんばれ」と簡単に言ったが、もしかしたらこの子ならできるようになってしまうかもしれない。


私はなんだかゾクッとするのを感じた。

(ケーキを取りに行こう)


────


今回はチョコレートケーキにイチゴを乗せてもらった。

(この前食べたばかりだし)


ムイとキリナも「何が始まるの?」と集まってきた。

私はケーキに10本のろうそくを立てた。

レイは「この前やった!」と言い「静かにフゥーってするんだよね。」と言った。


私はまた一人でハッピーバースデーと歌った。

今日は上手に吹き消すことができた。


ムイとキリナにレイの年齢の話をした。

レイと2匹は美味しそうにケーキを食べている


「そんな事例はきいたことがないですね。」

キリナはレイを見ながらそう言った。

「レベルアップのしかたも普通じゃないんだよね。」

三人でレイをみつめた。


「呪物にならないといいですね。」

ムイはまた怖いことを言う。


「ママ!ボクも丸いケーキがいい!」

セキが「レイだけずるい」と言う。

「セキが1歳になったら大きなケーキをカリナに作ってもらおうね!」

セキは喜んで飛び回った。

「ボクもボクも!」

「アリは何歳なの?」

鑑定してもアリの年齢はわからなかった。

「えっと…いっぱい!」

(私より年上かもしれない)


セキもレイも謎だらけだった。


レイはメメちゃんとお話している。

ケーキを食べさせているようだった。

よく観察すると誰も食べていないのにケーキが減っていた。

やはりそこには何かがいるようだ。


じっと目を凝らして見つめるが何も見えない。

(姿をあらわせ)と念じてみた。


「えっ?!」

隣にいたキリナが驚いている。

ムイもメメちゃんのいたところを見てびっくりした顔をしている。


「あなたがメメちゃん??」


そこには羊のようなもこもこした身体に小さな羽をつけた10cmくらいの生き物がいた。


「えぇー?見えるの?見えちゃってるの??」

その生き物は私たちと目が合うことに驚き、レイの服の中に隠れようとした。


「メメちゃんくすぐったいよ。」レイはやめてとメメちゃんをわしづかみにした。

そこには小さな羊がもがいていた。


私はその精霊を掴み説明させた。


「透明化というスキルがあってね…」

姿を見えなくしていただけだと言う。

「レイちゃんがとてもいい子だったからつい…一緒にいたくなっちゃって。」

とエヘヘと笑った。


私は鑑定してみたが私よりもレベルが高そうで情報はほとんど得られなかった。

「悪いものではないかな?」

私はいろんな方向から見て確かめた。


キリナが両手を出して「私にも!!」とお願いしてきた。

私はメメちゃんをキリナの手に置いた。


キリナは嬉しそうに観察を始めた。

(ご愁傷さまでございます)


キリナはずっとブツブツ言いながらメメちゃんを観察しながらときどき質問をしていた。


私はレイに「悪さをさせないなら一緒にいてもいいよ。」と言った。

「あ、魔王に一応聞いてからにしようか。」


キリナから解放されたメメちゃんを連れて魔王のところへ行った。

魔王はまだ会議中だという。


もう数日経っていた。

どんな計画を立てているのか。

(参加しなくてよかった)


とりあえずメメちゃんのことは保留にした。


「メメちゃんはあの赤い花の精霊ってことね?」

メメちゃんは残っていたチョコレートケーキをもりもり食べながら「そうよ」と言った。


「あの花が枯れたらどうなるの?」

と聞くと「死ぬわ」とさらっと言った。


メメちゃんの話だとあの場所は見つからないように魔法がかかっているという。

地図にも出てこないし普通の人ならみつけることもできないそうだ。

(結界みたいなものか)


キリナが1番喜んでいた。

「他にはいないんですか?」と聞かれ、

「この辺の精霊はみんな死んじゃったわ。」

と言われがっかりしていた。


精霊はいろんな物に宿るけど、その物に対して大事に思う人がいないと生まれないという。

(最近はなんでもすぐ手に入るから物を大事にする気持ちが足りないのかも)


私は元の世界を思い出した。

なんでも使い捨てにできてしまう。

物の価値なんて気にしたことがない。

そこに当たり前のようにあって、欲しければすぐに手に入る。

それがどのようにして今目の前にあるかなんて考えることなく。


(チートスキル使いの私が言えたことじゃないな)


「たくさん精霊が生まれるような世界になるといいね。」

私が言うとみんな頷いていた。


────


廊下がざわざわしている。

会議が終わったようだった。


「疲れたぞよ!」

魔王はご立腹のようだった。


残り物のチョコレートケーキを渡すと「なんじゃこの黒い食べ物は!けしからん!」と美味しそうに食べていた。


魔王に精霊のことを話すとメメちゃんをじっと睨み、

「お主のこと知ってる気がするのぉ。」

と言った。


メメちゃんは少し寂しそうな顔をしたが、

「よろしくお願いいたします。」

と、お行儀よく挨拶をした。

「かわいいから許す!」と言い魔王は去っていった。


メメちゃんはまた寂しそうな顔をしていた。


私はニヤをみつけて「どうなったの?」と聞いた。

「ご主人様もお疲れですから、明日ゆっくりお話するそうです。」

と言ってスタスタと行ってしまった。

ニヤも心なしかぐったりしていた。


ムイがコーヒーを持ってニヤの方に持っていった。

(親孝行な息子だね)


その日はみんな早く寝ることにした。

明日作戦の内容が知らされる。


(ガオルをやっつける!)


────


ニヤが作戦の概要を話してくれた。

ダイオの城の見取り図を出した。


「私たちはここから入ります。」


(正面の門かい)


作戦としては東西の警備の手薄な場所から2班に別れて侵入。

魔法で眠らせたり拘束したりして内部に進み正面の門を開ける。

そこから一斉になだれ込みガオルを確保する。


そこで捕まえることができなければ殺しても構わないという。

殺さずに拘束できたら城に迷惑がかからないようにこちらの大陸まで移動したいとのことだった。


厄介なのは勇者召喚のために集めている魔法使いたちだった。

なかなかの強者揃いなので油断はできない。


「シアさんはここから支援をしてもらって、必要そうならアリさんとセキさんを連れて来てほしいとのことです。」

私は頷く。


「キリナさんとレイさんは立派な戦力ですので我々と一緒に行動してもらいます。」


レイに小声で「嫌なら行かなくていいよ。」と言うと「大丈夫、キリナの言うこときける。」と言った。


決行は本日深夜。

それまで各自準備をし休息を取るように言われた。


レイは興奮していた。

アリとセキは「レイだけずるいなぁー」と言った。


私はこの日のためにとヤゲンが作ってくれた万能回復薬をムイとキリナに渡した。

「ひと粒で元気もりもりらしいよ。」

二人とも「ありがとうございます。」と緊張気味だった。


「あとこれ、転移アイテムなんだけど。」

食べると私のところにワープするように作った。


「心強いです。」

二人とも笑顔で受け取ってくれた。


「あとこれは、」

と私は次々と自分で作ったチートアイテムを渡した。


「全部試してみてないから、どこまで効果があるのかわからないから…期待せずお守り程度に持っていって。」

と言うと二人とも笑いだした。

「本番で実験ですね。」

キリナは楽しそうだった。


休息を取るように言われたが昼寝もできなかった。

それはみんなも一緒だったようだ。


レイだけは私の横で猫の姿になって眠っていた。

(ケガしないでね)


私はそっと念じた。

念じたというかこれは祈りに近いかもしれない。


数時間後、作戦決行だ。




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