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赤い花

定期的にダイオの城を監視していた。

私の遠視能力なのかマップの機能なのかわからないけれどここにある液晶画面には真上から見たライブ映像が流れている。


私が居ても居なくても機能しているところを見るとどうやらこの液晶たちは独立した1つの魔道具のようなものになっているのだろう。


ガオルと思われる男の姿を見るときは私が慎重に遠視でみている。


今日はなにやらいつもと様子が違った。


円形の何もない部屋に国王と魔法使いのような男とその男はいた。

前に見たときより立派な服装になっていた。

(出世したのか)


円型の床にはなにやら魔法陣が描かれているようだった。

私はもしかして?とキリナを呼んだ。


キリナに聞くと「勇者を召喚しようとしている」と言った。


観察を続けると魔法使いは何やら呪文を唱えていた。

ボンッという音がして魔法使いは倒れてしまった。

国王は「また失敗か」と嘆き部屋を出ていった。

倒れた魔法使いは運ばれていき、あの男だけがそこに残った。


悔しそうに壁を叩いている。

「勇者が来ないと話にならん…」

という声が聞こえた。


私はドキっとした。

その瞬間キョロキョロしだしたので私は急いで意識を戻した。


私は魔王に報告に行った。


魔王は「依代として勇者は優秀なんじゃろ。」と言った。

肉体を持たずに復活した魔王ガオル。

復活させてくれた勇者はポンコツだった。

早めに見切りをつけたのかもしれない。

悪魔の屋敷に現れたのも、もしかしたら勇者を殺すためだったのかもしれない。

(新しい勇者を得るために?)


だから国王に近づいて取り入ったのか。


勇者が召喚されてしまったら手遅れになるかもしれない。


私たちは緊急で会議を開いた。


────


見たことのない人たちがいた。

魔王軍の幹部だという。


「必要になったら呼ぶ」と言われ会議室を追い出されてしまった。


(ニヤは中にいるのに…)


しかたなく司令室に戻る。

ムイはちょうど休憩中でコーヒーの飲んでいた。


「そんな苦いものよく飲めるね。」

ムイは「そこがいいのです!」と力を込めて言った。


コーヒーにも種類があるらしい。

採れる場所で味が違うようだ。

(環境を変えていろんな場所で育ててみようかな)


ハピリナでやりたいことがたくさんあった。

元の世界のいいものをもっと作りたかった。


しかし遊んでいる時間はない。

もっともっと強くならなくては。


レイが構ってほしそうにこっちを見ている。

私は生霊の話をした。


「生霊になっている間、本体は無防備になります。」

レイは「うんうん」と聞いている。

「よって、安全な場所以外では禁止です。」

魔力がなくなるとその場で落ちることや生霊の気配を感じ取れる人がいる話もした。

少しずつ行ける場所を増やしていくといいよと教えた。


「シアがいないときも少しずつ練習してもいい?」

と聞かれ、「注意点を守れるならいいよ。」と言った。

レイは大喜びで「ちょっと練習してくる!」と言ってその場で生霊になり、本体は床に倒れてしまった。

「レイ!本体の扱いに注意して!」

すでにレイの姿はなかった。


私は長椅子に倒れているレイを寝かせた。


私が生霊を飛ばしてるときってこんな感じなのね。

アリとセキが「つまんない!」と言うのがよくわかる。


私は今日は2匹と特訓をすることにした。


いつもの何もない亜空間に移動した。


アリとセキは喜んで本来の姿になった。

「ママ!今日は何するの?」セキは飛び回り嬉しそうにしていた。


「セキには飛ぶ練習をしてもらうよ。」

そう言って私は何もないところに建物や山や森を出した。

「いろんな障害物を避けてできるだけ早く飛ぶ練習をしてください!」

セキは喜んで「はーい!」と返事をした。


アリが「ボクは?」とワクワクして聞いてきた。

「アリは闇魔法の練習です。」

アリは明らかに不服そうだった。

「ボクも走ったりしたかったな。」

と言うので「アリには私の魔法を避けながら標的に闇魔法をあててもらいます。」と言うと「おもしろそう!」とやる気になった。


セキに「アリの闇魔法も飛んでくるよ!」と言うと「そんなのへっちゃらだよ!」とニヤニヤ顔で言った。

アリは「特大の出してやる!」と腕をボキボキ鳴らしていた。


「始めよう!」


私はアリにいろんな角度から属性攻撃を飛ばした。

真ん中にある岩を闇魔法で攻撃させた。


すぐに岩にあてて壊すが、私が(何度も復活する)と念じたので岩はすぐに元通りになった。


アリは素晴らしい身体能力でその大きな身体を自由自在に操った。


岩につけていたカウンターが100を表示した。

アリに今度はセキに向かって攻撃しようと提案した。

アリは大喜びで「セキいくよー!」と闇魔法を飛ばした。

セキは余裕で尻尾で打ち返してきた。

2匹は楽しそうにまるで遊んでいるかのようだった。


数時間続けると「お腹空いたぁー」と言うのでハピリナに行くことにした。


────


カリナの家からは甘い匂いがしていた。

チーズケーキを試作中だと言う。

「いただきまーす!」

カリナはすぐに皿に盛り付けてくれた。


ふわふわのスフレタイプのチーズケーキだった。

甘すぎず私の好きな味だった。

カリナはコーヒーの飲みながら自分で作ったチーズケーキの味見をしている。

私はチーズの作り方を教えていない。

牛乳の加工を研究しているうちにできたという。

だからまだクリームチーズやモッツァレラチーズのようなフレッシュチーズしかない。


私は熟成された丸い大きなチーズを想像してカリナの家のテーブルの上に出した。

私はチーズの説明をした。

「もっと研究してみます!」と嬉しそうにするカリナに「ごちそうさま!」と言って家を出た。


ハピリナは本日あいにくの曇り空だったが人々はいつものように汗を流し働いていた。


いつ来てもいい村だった。


セキは「食べたりない!」と言うので急いで魔王城に帰った。


────


城に戻った私はハジトのところへ向かった。

料理人たちはちょうど休憩中のようで賄いを食べていた。

セキに少し分けてもらった。

ハジトは私の元の世界の料理の話をするのが好きだった。

私が出した昆布や鰹節を研究し、こちらの食材で似たものを作ったという。

(出汁は和食の基本だ)

「どうだろう?」と言って私に出汁を飲ませる。

少し風味は違うように思えたがかなり美味しかった。

「完璧だよ!ハジト!」

ハジトも他の料理人も喜んだ。


やはり魔族は研究熱心で優秀だ。

私は「茶碗蒸しが食べたい」と言って、それがどんなものか説明した。

そしてあの独特な器をたくさん出した。

蒸し器もなかったので大きめの中華鍋とセイロも出した。

「こんな調理法があるとは!」

(中国3000年の歴史ですぞ)


セキもお腹いっぱいになったようで調理場のみんなに挨拶をして司令室に向かった。


レイは戻っていて今日の冒険の話をしてくれた。

「今日は大きな水たまりまで行ってきたよ!どこまでもどこまでもお水がいっぱいですごかった!」

レイは大興奮だった。

(海のことかな?)


近くに海はない。

かなり遠くまで行けるようになっていた。

それも短時間で。


キリナには申し訳ないがレベルもステータスもすでにレイの方が上だった。

(賢者を超えるなんて)


もっと違うスキルを伸ばしてあげないと本当に呪物になってしまうかもしれない。


────


魔王たちの会議はまだ終わらないようだった。

しっかりと準備をしているのだろう。


私は2匹とレイを連れて近くの森に散歩に出ていた。

アリもセキも楽しそうに走り飛んでいた。


森を進むと円型に開けたところに出た。

そこだけ日が差していて真ん中にポツンと1本赤い大きな花が咲いていた。

レイが吸い込まれるように近づいて行った。


「レイ!取っちゃだめだよ!」

レイは黙ってその花を見つめている。


楽しそうにしてたので私も木陰に腰を下ろした。

アリとセキは追いかけっこをしていた。


レイはずっと花のところにいる。

何か喋っているようにも聞こえる。

(何がそんなに面白いのか)


若い少女特有の妄想が発動しているんだろうと好きにさせていた。

アリとセキは疲れたと言って私の膝の上で寝てしまった。

レイはまだアハハウフフとやっている。

さすがにちょっと心配になってきた。


レイは立ち上がりこちらへ向かってきた。

(やっと終わったか)


「お姉ちゃん、お友達ができたよ!」

レイは自分の斜め上の何もないところを見ている。


「お友達?」と聞くと「ここにいるでしょ!メメちゃんっていうの。」

相変わらず何もないところを見て指差している。

「え?見えないの?なんで?うん、うん、そうなんだ。」

レイはブツブツと独り言を言っている。


「私にしか見えないんだって!」

(ついに幽霊とお友達になってしまったか)

私は鑑定してスキルを確かめてみた。


・精霊使い


(ん?精霊?)


どうやらそこには精霊がいるらしかった。

「たくさんいるの?」と聞くと「メメちゃんだけ」と言う。


私は城に戻ってムイに聞いてみることにした。


────


ムイよりもキリナが釣れた。

キリナはいつものように『精霊の素晴らしさ』を語った。


精霊には属性を持つものと持たないものがいるという。

属性を持つ精霊はその属性の魔法が使えるという。

属性を持たないものは珍しく、必ず何か得意なことがあるらしい。

昔はそこら中にたくさん飛んでいたらしいがいつの間にかほとんどみられなくなってしまったそうだ。


(昔は目に見えてたのか)

レイの話だとそこにいるのに他の人には全く見えない。


レイに聞くと「ここにいるよ。」と指さした先をキリナは何もない空中を触ろうとしたり、においを嗅いだりしていた。


キリナは悔しそうに「私もいつか見えるようになってみせます!」と言った。


メメちゃんはずっとレイについてくるらしく、ときどき二人でおしゃべりをしているようだった。

(独り言してるようにしか見えないけど)


私は改めてレイを鑑定してみる。

(もう10歳になったのか)


私は違和感を覚えた。

先日9歳の誕生日を祝ったではないか?


(イチゴのケーキを用意しないと…?)




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