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獣耳少女

「シア、お前何か拾わなかったか?」


私は心当たりのありそうな質問に考えを巡らせた。

(拾い食いはしていない…たぶん)


「記憶にありません。」と、私は悪魔に答えた。


悪魔は一瞬消え、すぐに何かを持ってきた。

パンを食べようとしている猫耳の少女である。


「お姉ちゃん!」


私はムイとキリナにレイを紹介した。

レイは私との再会を喜んで私に抱きついてきた。


悪魔はこっちを睨んでいる。

「拾ったと言うか、助け出しただけで…」


悪魔は「何かおかしいとは思わなかったか?」と聞いた。


(そう言えばレベルが異常に高かったっけ)


「レベルが高いくらいで…」

と言うと悪魔はテーブルを叩いた。


みんなは静まり悪魔をおそるおそる見ていた。


「スキルを見てみろ。」


そう言われて見てみると敏捷アップやカウンター攻撃、毒の爪なんかに紛れて『怨霊殺し』という物騒なスキルがあった。


「怨霊殺しとはどういったスキルでしょうか?」


私は怒っている悪魔に聞いてみた。


「お前、こいつに殺されるぞ?」


(レイが私を殺す??)


詳しく聞くとそのスキルは霊的な悪いものを文字通り殺すことができるというスキルらしい。

生霊もその中に含まれるので殺されるなんて言ったそうだった。


レイはおいしそうにパンを食べていた。

ムイにミルクをもらって嬉しそうに尻尾を振っていた。


「いやいや、まさかそんな!」


「今はいいかもしれんが、もし敵の手に落ちてお前を殺すように言われたら?」

悪魔はその危険性を何パターンも話して聞かせた。


「敵の手に落ちなければいいんですよね?」


私はレイが殺されてしまうんじゃないかと心配になり慌てて言った。


「そういう問題じゃ…」


私がレイを抱きしめて泣きそうになっている姿を見て悪魔は言葉を止めた。


「私がこの子を鍛え上げます!そして師匠には手を出せないよう呪いをかけます!」


悪魔は一瞬悩んだが「ものにならなかったら、わかってるな?」と言って司令室を出ていった。


レイは「師匠?」と首を傾げている。


私は事情を話すため長老に連絡を取った。

画面越しでもわかるくらい長老は驚いていた。


「そんなスキルを持っていたとは…確かにシア様には脅威ですな。」


私は「どうにかするから大丈夫!」と言って長老に手を振った。


レイはアリとセキを相手に遊んでいた。

(こうやって見ると猫みたいだな)


「レイ!しばらくお姉ちゃんと暮らすことになったけどいい?」と聞くと大喜びしていた。

アリは少し迷惑そうにしていたがセキは喜んでいた。


(ハムスターの本能がそうさせるのかな…)

(いや、ハムスターじゃないけど)


────


私はまず草原の家に連れてきた。

ここには身体強化に特化したマシーンがたくさんある。

「レイ、できる?」というとすぐに何でもこなしてしまった。

しまいにはマシーンを壊してしまい半べそをかいていた。

「壊れちゃった…ごめんなさい」


この施設では物足りないようだった。

私はキリナも誘いダンジョンに来てみた。

レイに「出てくる魔物を倒して。」と言うと4本足で駆け回りすぐに倒してしまった。

キリナも驚いていた。


レイはときどき何もない空中を攻撃していた。

私が何をしているのか聞くと、

「ここにも魔物がいたよ!」と元気よく答えた。

どう見ても何もいない。


(もしかして霊的なものを…)

私はそう考えてゾワッとした。


キリナも「これは、まずそうですね。」と気がついているようだ。


鑑定すると怨霊殺しスキルのレベルも上がっていた。

私は今日はそろそろ帰ろうと二人を魔王城に瞬間移動させた。


美味しそうにご飯を食べるレイを見て(私の天敵か)と思った。

こんなに可愛いのに…


レイに私を襲わせないよう呪いをかけるとして、なんて念じるのがいいだろうか。


(シアを殺さない)

ストレートな感じでいくか、

(味方を傷つけることはしない)

ぼやっとした感じでいくか。


私はずっと味方でありたいと思っているけれど将来何かがあって私を倒さないといけなくなるかもしれない。


私が悪に染まらないとも限らない。

あの勇者のように悪いものに操られるかもしれない。


そうなったらレイは私の大事な人を守る貴重な存在になるかもしれない。


私は悩んでいた。

先のことなんてわからない。


私は考えぬいた結果、


(大切なものを傷つけない)と呪いをかけた。


いつか私がレイにとって大切じゃなくなったときには諦めてそのスキルを受け止めよう。


レイはご飯を食べ終えて毛づくろいをしていた。


「明日はキツネのお姉ちゃんに遊んでもらおうね。」と言うとレイは喜んで飛び跳ねていた。


────


花の守護神に相手をお願いした。


キツネはすぐに気がついたようで「よいのか?」と私に聞いてきた。

私は頷き「お願いします。」と言った。


レイは本当に戦闘センスがよかった。

野生の勘が働くのだろうか?

未来を予知してるように攻撃をかわしていった。


レイは何を教えてもすんなり覚え、レベルはめきめきと上がっていった。

いつの間にかステータスだけならキリナとほとんど変わらないほどまで上がっていた。


魔王はレイをいたく気に入り、暇があれば頭を撫でに来ていた。

「こいつは…立派な戦力になるな。」

と魔王もその強さに気がついた。


私もレイの相手をしているだけでレベルが上がっていった。

アリとセキの相手も対等にできるようになってきた。


1週間ほどでレイのレベルは172になっていた。

(この子もチート性能の持ち主だわ)


私は獣耳の主人公が異世界で大活躍するアニメを思い出した。

(私は1話目でちらっとだけ出てくる故郷の師匠かな…)


想像して虚しくなった。

(呪いが得意なだけのブスは主人公になれないな)


────


いつものようにムイはいろんな場所の監視をしていた。


私が生霊として行ったことのある場所以外は遠視で見ることができなかった。

ver.2になってからは限界のラインから数百kmくらい先までは見えるようになっていた。

だから今ムイは私の知らないところの映像を見ている。


「この先が見たいなら行ってこようか?」


「いいえ、さすがにこんなところまで移動しないですよね?」


ムイと私は急に不安になってきた。


「やっぱり行ってくるね!」

ムイも「無理はしないでくださいね。」と言って見送ってくれた。


私は長椅子に横になる。

この感覚久しぶりだ。


スゥッと抜けるとレイが飛びついてきた。

「お姉ちゃん遊ぼ!」


本体ではなく、生霊の方に。


私は驚いて本体に戻った。


ムイも驚いて固まっている。


「あれ?お姉ちゃん寝てたの?」

レイは私の生霊がいたところを見て不思議そうにしている。


私はレイに「飛びかからないでね。」と言ってからまた生霊になってみた。


レイは生霊がしっかり見えていた。

なんなら会話もできた。


「これは私の魂なんだよ。」

レイは頭を傾げている。


「これを見ても飛びついたらだめだよ。」

レイは「うん、わかった!」と返事をする。


「じゃあお仕事に行ってくるね、いい子で待っててね。」と言うと「いってらっしゃーい!」と生霊に向かって手を振った。


ムイは私をみつけようとキョロキョロしていたがまったく見えなかったらしい。


────


私は瞬間移動できる限界のところまで来ていた。

この先は未知の世界だ。

私は未開拓のマップを開いていくようにものすごいスピードで飛び回った。


あっという間に街が見えてきた。

ざっと見たが問題はなさそうだった。


この大陸の首都的なところはどこだろうかと探していた。


しばらく進むと大きな城が見えた。

(ここかな)


私は慎重に見て回った。


王と思われる人が立派な椅子に座り何か報告を受けていた。


立派な鎧を身に着けた騎士たちが整列していた。


私はその中の一人と目が合った。

ような気がした。


騎士はいつかの賢者のようにキョロキョロと辺りを覗っている。


私はすぐに身を隠した。

少し離れたところでその騎士を見る。


騎士の目はほんのり赤かった。

もしかして…私は鑑定スキルを試してみた。


騎士はビクッとしてまたキョロキョロしている。


・鑑定不能


私はこの表示を初めて見た。

震えが止まらなくなりすぐに本体に戻った。


震えている私を見てすぐにムイが飛んで来た。


「シアさん!大丈夫ですか?!」


「いた…」


キリナは異常事態だと感じ魔王を呼びに行った。


あの瞳は…間違いない…




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