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宝箱の中身

勇者が死んでから2週間が経った。


人間たちはそんなことも忘れたように日常を取り戻しつつあった。

酒場では「最近平和だなぁ〜」と男たちが酒を飲み交わしていた。


(そっちが仕掛けて来なければこっちは何もしないんだから当たり前じゃん!)


私はイラッとしてその男の椅子を倒してやった。

男はびっくりしてキョロキョロと辺りを見まわし、「誰だ!」と怒鳴った。

周りにいた人たちはクスクスと笑っていた。


「いじわるシア!」


アリが小さな声で私に囁く。

私はニヤニヤしながら屋敷に戻った。


王都では新たな勇者を召喚しようと躍起になっているらしい。

しかしそんなに都合よくポンポンと勇者は現れない。

賢者は相変わらず私を探しているようだった。


鑑定してみようかと何度か賢者のいる王都へ出かけたがスキルを使う前に何かを察知されているらしく近づくといつもキョロキョロと探されてしまう。


みつかることはなかったが私はそのたびに急いで逃げた。

まだあの青い髪の男は恐ろしい。


(圧倒的力を手に入れないと…)


私はレベル上げを再開していた。


────


ここ最近、新しいダンジョンの発見が相次いでいた。

私が攻略してダンジョンを壊すたびに新しいダンジョンが生まれている感じがする。


花の守護神がダンジョンを作っている人に名前をもらったと言っていた。


(どんな人なんだろう…)


私は元の世界で言う白髪で髭もじゃで頭に金の輪っかをつけた白い服の神様を想像した。


大きな建物を具現化するだけで相当の魔力を使う。

ダンジョン生成にはどれほどの魔力を使うのか…考えただけでめまいがする。


きっと計り知れない魔力の持ち主に違いない。


────


私は新しくできたというダンジョンにやって来た。

新しいと言うだけあって我先にレアアイテムをみつけようと人間たちが大勢訪れていた。


私はいつものように人のいないところまで進む。


ここは上に上がっていくタイプのダンジョンらしい。

奥に進むとロープのようなものが下がっていて、それを登ると次のフロアにでる仕組みのようだ。


私は辺りに人の気配がなくなると魔物をみつけては倒していった。


攻略まではするつもりはなかったが倒して進むにつれかなり上の方まで来ているようだった。


(ダンジョンもレベルアップしている気がする…)


いっこうに主らしき魔物は出てこない。


私もかなり強くなっただろうからこれには助かった。

強い魔物を倒すとやはり効率がいい。


(ダンジョンを作ってる人はわかってるなぁ〜)

なんて思いながら魔力が残り少なくなったので帰ることにした。


一瞬辺りが金色に光った気がする。


私は何事かとキョロキョロと見回し探知してみるが何もない。

(気のせいかな…)

と疲れたせいにした。


屋敷で改めてステータスを確認するとレベルは250を超えていた。

悪魔のレベルが874だったのを思い出し、(まだまだだな…)と思った。

魔王に至ってはレベル2400を超えていた。


(あの人いったい何歳なんだろう…)

見た目は可愛らしい少女であったがきっと相当な年齢になっているだろう。


────


私は前回途中で帰ったダンジョンに再びやって来ていた。

順調に上に進んでいく。


急に開けたところに出た。


(ボスエリアかな?)


私は魔物の気配を探した。


進むと大きな木の周りに色とりどりの花が咲く丘に出た。


(きれいだなぁ)


私はしばしその美しさに目を奪われた。


いくら探してもなんの気配もない。

上に向かうロープも見当たらない。


戻ろうかなと思ったときにまた金色の光が一瞬射し込んだ。


そして目の前に宝箱のようなものが現れた。


私は恐る恐る開けてみる。


中には両手サイズの大きな卵が入っていた。


(これは…どうすべきだろう…)


私はそっと箱の蓋を閉じる。

こんな怪しいものを手に取るのは危険だ。


他に何もないので今日はもう帰ろうと思った。


いつものように瞬間移動で地下室に戻る。


「シア!それなに?!」


アリが飛びついてカリカリとかじっているのはさっきの宝箱だった。

それはふわふわと宙に浮いていた。


(え??なにこれ?!)


「シア!この中になんかいる!!」


アリはかじるのをやめてこちらに飛び戻ってきた。

私とアリはその浮かんでいる箱から目が離せなかった。


箱はゆっくりと開き中から卵が出てきた。


その卵はゆっくりとこちらへ向かってくる。

私は思わず両手で受け止めた。


卵は温かく、ほのかに鼓動を感じる。


「シアのことが好きみたいだね!」

アリは自分より大きな卵の上に乗っかりそう言った。


その不思議な卵は私のあとをついてくる。


悪魔は「また面白いことしてるな。」といつものように笑いムイは心配そうに私と卵を見ている。


ククルは「まぁ!かわいい!」と卵をなで、ちょうど卵が入るサイズの肩掛けのバッグをくれた。

私は卵をバッグに入れて持ち歩くことになってしまった。


(なんの卵なんだろう?)

最初は怪しんでいたが不思議なことにだんだん愛着が湧いてくる。


アリも卵に耳をくっつけては「あんた誰なの?」と話しかける。



卵を抱えたままダンジョンに行くわけにもいかず私は地下室で本を読んだりハピリナに行ったりした。


魔王や魔族たちにも聞いたがこの卵のことを知ってる人は誰もいなかった。


「あなたはいったい何者ですかー?」


私は卵を持ち上げて覗き込む。



それから1週間、私は卵を大事に持ち歩いた。

見た目は変わらず触ると温かく鼓動が聞こえる。


「シア!割れてる!」

アリが卵のバッグから顔を出し叫んだ。


私は急いで卵を取り出す。

とうとう何かが産まれるようだ。


卵の殻はゆっくりと割れていく。

小さな赤い手が見えた。


(赤い…手…手???)


てっきり鳥が出てくると思っていた。

普通なら殻を割るのは嘴でしょうが。


手でパリパリと殻を割っている。

私はドキドキしながらそれを見守る。


やがてそれは殻を割り出てきた。


「ママ!」


赤いトカゲのようなものに羽が生えていた。


(これは…)


「シア!ドラゴンだ!!かわいい!」


アリが自分より大きなドラゴンに飛びついた。


(ドラゴン!!)


それは赤いドラゴンだった。

私は鑑定スキルのことをすっかり忘れていた。


・種族 レッドドラゴン


ドラゴンは私に擦り寄り「ママ〜」と懐いている。


アリは「名前つけてあげないと!」と楽しそうだ。


(名前…これってまさか…)


私は嫌な予感を感じながらこの子に名前をつけた。


「あなたは今日から…『セキ』!」

赤を音読みしただけである。


ドラゴンは嬉しそうに飛び回った。

「セキ!ボクはセキ!」


悪魔とムイが階段を降りて来て飛び回るドラゴンを見た。

悪魔は笑い、ムイは呆れていた。


嫌な予感は当たり、セキは私について回った。

卵を入れていたバッグはセキの定位置になった。


私はこれからハムスターとドラゴンを連れて生活しなくてはいけないようだった。


(いや、かわいいけど!!)




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